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七話 人魚の恋心

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その日、デリットは自らの手で人魚の身体を拭き手当てをしながら誰も居ないことを理解して問い掛けた

「 御前、誰の差し金で来たんだ?言えば普通に返してやる 」

「 !! 」

感のいい彼が騙される筈は無く人魚は目を見開いた後に辛かったのか涙を流し彼に抱き付き声を上げない泣く

そっと抱き締めたデリットは落ち着き話を聞くまでその濡らせば淡い栗色のに変わる黒髪へと触れ何度も撫でた


『 そうか、俺は.... 』

部屋に戻ったウィンドは理解すれば胸に感じる暖かさと冷たさの理由が分かるも其を口に出すことが出来ないためにデリットが自身に向けてない言葉だと分かる

『 ....これが、心と身体をってことなのか....デリットは....ルイは....俺を...... 』

自身が彼に向けるのは敬愛であり__だと知ったウィンドだがどうすることも出来ない感情だということも理解し吐き気がするような噎せ返る思いを感じ枕へと顔を埋める

『 口に出して、言えればこれはどれだけスッキリすんだ...... 』

きっと其は自分が感じるほど以上の事なんだろうがそれほど傷つくのではないかと恐れている感覚もある

『 はぁ....難しい...... 』

こんな事が有るのだなと思ったデリットはこの年齢になって声を失った事への意味を理解するとは思わなかったと溜め息を吐く


「 ......気になるか?これは本だ 」

「 んー?本?あ、たまに、海にも流れてきます....! 」

此所に来た理由を知ったデリットは其から自身が読んでいた人魚の本を樽の置かれた彼の横で見ていれば手元を覗く彼は笑みを溢す

「 そうだろ?なぁ、人魚は人の姿を得ることが出来るのか? 」

「 んー....やり方は分かりませんが、いるのは確かです.... 」

「 やっぱりいるんだな 」

まだ幼い人魚の彼にはどうやって人になるかは知らないし聞いたことはない
だがあの時に見た男は波長で分かるほど人魚だったという事に頷く

デリットは本の頁をなぞり何処か考えていればじっと此方を見る人魚に笑みを向け頭から頬へと触れる

「 どうした? 」

「 人間には、名前があるという....その、名前は? 」

「 俺はデリット、そうだな....御前に名をあげよう.... 」

ぱぁと表現を明るくし期待の眼差しを向ける人間に彼は本へと視線を落とせば名前を与えた

「 シレーヌ、意味を人魚と言う。そのまんまか? 」 

「 んん!しれぇぬ?僕は、しれぇぬ! 」  

「 シレーヌな、嗚呼、御前はシレーヌだよ 」

美しい人魚に与える名前に喜び青色の濃い尾びれを揺らすシレーヌと呼ばれる人魚の少年は笑顔を浮かべる
その様子に新しいクレーが来たときと同じ様な感覚のデリットは地下室が静かな事もあり本を読み進めた

探す内容は....
人の姿を得た人魚が
何故日に日に鱗や背骨が変わるかと言うことだ

その理由を知りたくて、もし病気なら治してやろうと考えていたデリットだが沢山の本を見ても有るのはガセネタに過ぎない人魚への伝説しかない


「 キャプテン!やっと飯の時間にきてくれたんだな! 」

「 嗚呼、悪いな....腹が減った何かあるか? 」

「 あるよ~ 」

ジャックは安堵するように笑顔を向ければデリットはそんなに籠っていたかと考えながら普段座る場所へと腰を下ろせばティタンはトレーに乗せたカレーとナンを差し出す

「 ほぅ、久々だな 」

「 そう!スクードの故郷のご飯だね 」

「 ....ありがとう。 」

両手を合わせ御辞儀をするスクードは手で食べていればデリットも風習には従うためにナンを千切ればカレーに付け口にいれる

「 美味いな。スクード...こんなもんか? 」

「 ......スワディシュトゥ。 」

とても美味しかったとヒンディー語で告げるスクードに分からずともデリットとティタンは其なりに理解すれば軽く笑い
彼もまた食べていれば落ち着き食堂に入ってきたウィンドは鼻に香る珍しい匂いに首をかしげる

『 ん?これ、なんの匂い?? 』 

「 おや~?航海士さんはカレーを知らないんだねぇ~?スクードの故郷の味だよ。食べてみて! 」

『 スクードの?それは楽しみだっ!!? 』

ウィンドはふっとデリットぎ居ることにばっと驚けばオーバーリアクションに彼は首を捻るも理解してるクルーは軽く笑っていた

彼は少し離れてデリットが視野に入らない場所で初めて見るカレーにどうやって食べればいいか傾げていればティタンはデリットを見た後にスプーンを差し出す 

「 食べ方は自由だよ~。カレーにナンを付けるのもいいしのせるのもいい。別々に食べてもねぇ~。此所は貴族の食卓じゃ無いんだからさ 」 
 
『 あ、ありがとうございます 』

マナーがあるのかと色々見ていたウィンドを察してかティタンは言えば彼はデリットが食べてるように両手を合わせたあと、ナンを千切り皿に入ったカレーを付ければ口へといれる

『 ふぁ、からっ!!あ、でも美味しい! 』

「 ....よかった。これ、好き。 」

スクードは喜べばウィンドは新たな味を堪能しつつ出来るだけデリットを見ないように食べていく
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