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二話 売られる人魚
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しおりを挟むそれでも港へと脚を運べばあの人魚達は売られてることに慣れることの無いウィンドは口元に手を当て肩を震わせる
恐怖とトラウマに記憶と感情が支配される前にデリットは彼の肩を掴み自身へと引き寄せる
『 っ! 』
「 帰ったらチェスにでも付き合って貰うぞ 」
一瞬肩を揺らすも目線の先にあるデリットに今日だけで何度助けられたかと思う
敢えて違うどうでもいいことを告げる彼の言葉にウィンドはぎこちなく笑みを溢す
『 負けて、俺を鮫の餌にしないでくださいね? 』
「 はっ、御前は既に俺の餌だ 」
『 え? 』
なんの事かと目を丸くしデリットと共に行けば今から一旦船に戻ろうとしていたクルーと出会い
彼は呼び止めれば同じ小船で船に戻る
町より余り乗ってない此方の船の方が安堵するようなそんな感覚に
「 御前はこっちだ 」
『 あ、はい? 』
甲板へと上がれば呼ばれるウィンドはもう平気なのにと思い着いていく
背を向けながら踵のあるブーツを鳴らしズカズカと歩くその姿は昔と何一つ変わらないことにふっと柔らかな笑みが溢れ落ちる
『( 昨日から幸せだ....一緒に居られるなんて.... )』
デリットがそう思って無くとも何一つ問題はないウィンドにとって彼の傍に居られるなら何でもいいと胸高鳴らせていれば
着いた先はデリットの船長室
前にも入ったがと何処か緊張し中へと脚を踏み込めばよく見てなかったが絢爛豪華な物が置いてあり比較的に明るい部屋なんだと気付く
「 ほら、座れ。チェスするぞ 」
『 え、やっぱりするのですか? 』
「 当たり前だろ?このくそ暇な滞在時間に俺の暇潰しになれ 」
『 !分かりました、相手になりましょう 』
昔と何一つ変わらない
デリットが言えば此処では絶対的な権力もあり否定することは出来ないが其でもいいとウィンドは頷き彼がテーブルの椅子へと腰を掛ければその前の椅子へと座りチェスを始まる
ウィンドが白であり、デリットが黒の駒を使っていく
「 ....うーん 」
『 待ちましょうか? 』
「 いや、平気だ 」
カタンと置きウィンドの駒を倒し進む黒き駒にふっと彼はスンッと鼻を嗅ぎ外へと視線を向ける
『 少しだけ雨が降りますね 』
「 ん?あぁ、よく分かるな 」
『 昔から海辺の近くで住んでいたので... 』
視線をチェス盤に戻しさほど考えることなく次の駒を動かすウィンドに彼はまた眉を寄せ動かしていく
「 ....嗚呼、この船に足りないクルーを思い出した 」
『 なんでしょう? 』
「 優秀な航海士だ 」
『 航海士、確かに嵐のときもキャプテン以外に気付いた人が居ませんでしたね 』
成る程と頷きながらチェス盤に意思を向ければいつの間にか自分の方が負けそうなことに気付き動かせば彼は手に駒を取りポーンを倒すし次にウィンドがナイトを動かしていく
「 前に居たんだが敵に殺されてな。船を落とすならまずは航海士からと.....腕も立つ航海士を見付けるまでに時間が掛かった 」
『 ....てことは見付かったので? 』
「 嗚呼、御前が航海士になれ。チェックメイトだ 」
互いに譲りはしなかったもののデリットの言葉と共にカタンと置けばウィンドは少しばかり驚くも肩を落とす
『 負けてしまいました。俺で良ければ精一杯勤めさせて貰いましょう 』
「 そうと決まれば....スクードいるか? 」
「 此処に....。 」
『 !?いつから.... 』
立ち上がったデリットは窓を開ければひょこっと逆さまの状態で顔を覗かし部屋へと入るなり頷いたスクードにデリットは親指をウィンドに向ける
「 話を聞いていたならこいつの部屋を前に航海士が使ってた場所に変えろ。それと海図の書き方を教えてやれ 」
「 .....分かった....教える。こっちだ....航海士。 」
顔色一つ変えることなくデリットの言葉に従うように頷いたスクードは彼の部屋を表から出ればウィンドは軽く頭を下げた後に着いていく
部屋の場所は新人クルーのハンモックではなくベッドのある一人用のちゃんとした個室
しっかりシャワーも内装された比較的にいい立場の者に与えられる部屋であり長年前の航海士が使ってたのもあり海図やら航海士として必要な物も揃ってる程に探っただけで何が必要なのかすぐわかる
「 此処。使って....慣れたら....海図....教える。」
『 ありがとうございます、凄いですね..... 』
興味津々に辺りを見渡していたウィンドはもう一度スクードに挨拶をしようとし視線を落とせば其処には既に彼の姿は無かった
「 御前が航海士!?スゲーな! 」
『 はは、だよなぁ....俺も思う 』
ジャックと晩御飯を食いながら話していた彼は軽く笑った後にビールジョッキを持ち唇へと当て、呑んでいれば食堂へとデリットは入ってきた
「 御前等、新しい航海士に" ウィンド "に任せたから言うことを聞けよ 」
「「 アイアイキャプテン!! 」」
『 あ.....!よろしくお願いします 』
態々其だけいいに来たデリットにクルーは内心驚くも直ぐに立ち上がり頭を下げた彼に其々に拍手をする
「 頼るぜ、航海士!! 」
「 これからよろしくな!! 」
直ぐに受け入れられる優しさはきっとそれほどデリットの人の能力を見る目が有るのだろうと心の中で解釈してたウィンドはふっと彼へと視線を向ければ
軽く笑ってる笑みを見ればにこやかに笑みを溢す
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