鬼上司は部下を甘く激しく愛する

獅月 クロ

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付き合うと同時に、同棲を初めて半年が経過した

「 ……… 」

鞄に入れていた小瓶を取り出せば、中身が空になってるから、無くなる頃だと思って来たけど…

無くなったで…少し不安になるぐらいに依存してたんだなって思う

「( 避妊薬…どうしよう )」

中出ししても構わないと言ってたから、ゴム着けるときは後処理が面倒だと思ったときぐらいに着けてくれる程度で、土日はほぼ生だった

まぁ、元々生理が頻繁に来てほしくないから呑んでたのもあるけど…

まだ付き合って半年程度、止めるには早い気がする

婚姻届けもなんやかんやで出してないし…

「( 仕方ないか… )」

フッと溜め息を吐いては、
今日は休みの日だし、産婦人科に取りに行こうかなって思った

遼がヤッたばかりで寝てるしてるタイミングなら、出掛けても問題無いでしょう

「( 言い訳しても、心の中で思ったら意味ないから…バレるだろうからいいか… )」

後々の事はその時考えようと思い、茶々っと仕度をしてから家を出た

マンションを下りて愛車へと乗り込み、早々に車を走らせる

いつも貰う場所が一番、医者と話しやすいから、そこにしようって思い向かう

「 こんにちは 」

「 こんにちは、今日は如何なさいましたか? 」

「 予約していた朝陽ですが…。いつもの薬をお願いします 」

「 朝陽さんですね。畏まりました。お掛けになってお待ち下さい 」

お薬手帳を差し出せば、中身を確認次第頷いてくれた為に、近くのソファに座る。

待ってる間に横にある雑誌を見れば、全て結婚、妊娠、子育ての内容ばかりで…
フッと妊娠の雑誌を持ち開く

マタニティブラとか、ヨガの仕方とか色々書いてあるし
その期間に食べてはダメなのとか色々ある
 
「( へぇ…… )」

妊娠と言ってもちょっと大変なんだなって思えば、検査を終えて出て来た患者へと視線が行く

「 26週目って…元気そうでよかったね 」

「 嗚呼、身体には気をつけような 」

お腹が少しふっくらとした女性と、連れ添うような男性に無意識に自分のお腹を触ってしまう

「( 妊娠…か…… )」

下手な事が無い様に避妊薬を呑んでいたけど、
毎日のように溺愛してくれる遼を見てると、結婚とか、夢や憧れでは無くなるのかなって思う

正直、妊娠って大変って聞くし…
自分の身体に新しく命が宿るってのは凄く変な感じだし、早々が一切つかない為に実感は湧かないと思う

「( まぁ、あの人の年齢からすれば欲しいんだろうけどね )」

゙ 俺がそろそろ三十六歳って知ってるか ゙

なんて、言ってたってことは少なからず子供は欲しいんだろうけど……

「( んーー…結婚、とか…早い気がする )」

まだ付き合って半年なのに、それなのに結婚して、子作りもしましょうとかせっかちなのかなって思う

目線を雑誌へと落としてから、それを元の場所へと戻し、ゆっくりと立ち上がり受け付けへと行く

「 すみません 」

「 はい、なんでしょう? 」

「 準備してもらって申し訳ないですが、やっぱりその薬いいです。…妊娠、考えたくなって 」

「 おや、では検査でもしませんか? 」

「 そうですね…今からでも大丈夫でしたら、お願いします 」

「 大丈夫ですよ。もう少しお待ち下さい 」

やっぱり、此処の病院は優しいなって思って次に呼ばれるまで、元のソファへと戻る

ふっと、鞄に入れていたスマホが振動し始めた事に気付き、鞄を開き中から取り出す

「 着信二件…りょーちゃんだ…… 」

夕凪社長、っていう名前が書かれた電話番号が二件もある事に、止まったそれを見てからどうしようかなって考えていれば、三件目が振動し始めた事に、仕方なく受話器を取る

「 もしもーし? 」

゙ どこにいるんだ? ゙

一言目から、どこにいる?って内容に
私は子供かって思う
通話越しなら心の声が聞こえないのはちょっと嬉しいよね

「 ちょっと出掛けてるだけ。すぐに戻るよ 」

゙ すぐってどのぐらいか?出掛けるなら一緒に出ていたが… ゙

「 デートじゃないんだし、寝てていいよ。それじゃ… 」

゙ あ、おい。透羽! ゙

説明するのも面倒だと思い、早々に通話を切って画面を見れば、スタンプ連打されてる為に、この人の方が子供っぽくないかなって思う

「 …どうせ帰ったらバレる 」

隠し事が出来ないのはこの半年でよくわかった為に、今言わなくてもいいよ

ふぅと深く溜め息を吐いていれば、看護師さんに呼ばれて中へと入る

血液検査とかだから茶々と終わるだろうって思ってたんだけど…

終わらなかった……

「 おや、朝陽さん…避妊薬…飲んでいた? 」

「 飲んでましたよ?半年… 」

全ての検査が終わってから、よく知る女医は検査結果を見た後に、それを机の上に置いたまま、私の方を見てきた

「 こんな事を言うのはあれだけど…貴女、妊娠してるの 」

「 ………へ? 」

宇宙猫のようにポカーンとした私に、彼女は続けた

「 もうそろそろでニヶ月目に入るから、悪阻も酷くなってくるわね…心当たりある? 」

「 ……あり過ぎて恐ろしい 」

まず、付き合って四日目ぐらいに飲んだ避妊薬が、いつもの味と違うことに気付いた

それ以降、一ヶ月後に何故か生理になって、
めちゃくちゃ不機嫌だったあとに、
避妊薬を飲んだのに、二ヶ月目以降もあった…

そして、ここ二ヶ月ぐらいピタリと生理が止まったから、
避妊薬はやっぱり効果あるんだ?と浅はかに考えてたけど……

「 あの野郎……中身変えやがったな 」

あの人ならやりかねない…

帰って首でも締めてやろう……マジで…

「 もし…嫌なら… 」

「 いや、多分…産みます。今付き合ってる彼氏の子なので。絶対に…と言うかその人連れてきます 」

「 そ、そう?それならいいけど…今から連れてこれる? 」

「 大丈夫です 」

責任取れとばかりに連れて来ようと思い、一旦検査結果を聞くのを止めて、外に出れば通話をかけた

三コールで以内で取るのは気持ち悪いけど、半ばキレ気味に告げる

゙ どうした? ゙

「 テメェ、避妊薬を変えやがったな!中身、何入れやがった?? 」

もはや、キャラ崩壊とばかりに口調悪くなって言えば、通話越しの彼は少し無口になってから鼻で笑った

゙ 妊娠したんだな?おめでとう。結婚しよ ゙

「 おめでとうじゃねぇよ!!何が入ってたんだって聞いてるんだよ!! 」

゙ 便秘薬 ゙

「( 快調だったわけだ…… )」

ビフィズス菌による便秘薬で、ごく普通に自然的な便を促すやつだったらしく、私はしゃがみ込んで落ち込んだ

「( そりゃ、うん…薬止めて半年ぐらい経てば妊娠するわな…… )」 

あんな、中出しセックスばっかしてんなら……

すぐに、この犯人を現場に呼んだ

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