鬼上司は部下を甘く激しく愛する

獅月 クロ

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題名じゃ、なんの映画かは分からないけど
これが始まるまで三時間は掛かるから、取り敢えず見て回ろうって決めた

「 そういえば、熊狼さんの奥さん…姫乃とか言う、名前なんだろか?姫ちゃんって言ってたの…多分、奥さんだろうし 」

「 いや、名前じゃなくて…彼奴は奥さんの事を姫って呼んでるだけだ 」

「 ……そうなの? 」

「 彼奴の奥さん、この人だ 」

「 へ? 」

姫って名前のつく人じゃなくて、姫ちゃんって呼んでるだけ、って事に驚いたけど
ゆっくりと歩いた先にある、CDショップの前に立ち止まれば、さっき熊狼さんが自撮りしてた場所には、大きな宣伝用のポスターと一人の女の子が載っていた

それも、アニメキャラ

「 二次元キャラが…結婚相手……?え、イタイ人…? 」

「 いや、この声優な 」

「 あ、中の人!へ?声優さんと、結婚してるの? 」

「 嗚呼 」

二次元キャラと結婚して、婚姻届けを書いて妄想してるだけ…とかならもっとヤバい人って印象がつくけど、声優さんって事に驚く

広告には、人気ゲームのアニメ化!
ケモノヒメって書かれていて、その中に登場する、黒髪に赤い目をしたロング髪の玉藻前ってキャラクターだ

おっぱいデカくて、着物を着崩したような格好をした美人キャラ、その声優さんって事なんだろう

「 今、このケモノ姫ってやつに登場してるから、姫って言うんだろ…。前は赤ずきん、妖精さん、とか…色んな言い方をしていた 」

「 ふぁ……なんか、キャラと中身も好きなんだね 」

「 そうだろうな。当時…好きな声優と付き合ったと、喜んでいたのを知ってる 」

好きな声優さんと結婚した、それはきっとファンなら嬉しいのだろう

確かに、ちょっと想像してみたけど…
好きなお尻を持つ俳優さんと結婚したって思うと、其れだけで毎日幸せかもしれない

私の場合は、芸能界にいる人じゃないから実感が沸かなかったけど…
他の、女性社員から人気でモテる夕凪社長と恋人同士なのだから…
幸せなんだろう

「 熊狼さんが幸せそうで、私も嬉しいな。でも…人気の声優さん?だから、色々自慢とかも出来ないんだろうね…スキャンダルとかありそう 」

「 そうだろうな。だが、彼奴は元々言いふらすタイプじゃないからな…。俺達と此処で出会った事すら、誰にも言わないだろ 」

「 見た目派手なのに、中身は変わらないって事か…流石です 」

手を繋いでデートをしてたって言ってもいいのに、そう思うのに言わないのだろうね…

けど、そんなに大好きな人と遊園地にも映画にも行けないのは、ちょっとだけ寂しいんじゃないかなって思った
きっと、行きたかったと思う…

「 会社が、見た目を気にしないような場所なら…彼奴は普段通りだろうが、秘書という立場で派手な髪は言われるからな 」

「 なんで、ファッション系に行かなかったんだろ? 」

「 こっちの方が給料がよく、定時で上がれ、週二の決まった休みがあるから…らしい 」
 
「 うん…納得 」

そりゃ、めちゃくちゃ給料いいの知ってるよ
私なんて足元には及ばないぐらい、年収がいいらしい
それで、決まった休みがあれば他の仕事なんてできないね
うん、私も…この夕凪社長と口喧嘩しなければ、仕事は良いって思うもん

めちゃくちゃ納得すれば、彼は歩き出した為に少し手を引かれた後に着いていく

「 そういえば…透羽は、何故…この仕事に入ったんだ? 」

「 熊狼さんと似た理由。給料がいい。後…社員マンションがあったから…かな。母親には迷惑掛けたくないから…自立出来やすかった 」

「 そうか… 」

「 うん、過労死しちゃったんだけどね。あ…此処は良い会社だよ。コブラは強敵だけど 」

親の話をすると暗くなりそうだから、敢えてコブラの事を言えば、彼はくつりと笑った

「 ふっ、勝てるといいな 」

「 いつか勝つから! 」

左手で気合いを入れ拳を握る

いつか勝つ、そう思うからこそ張り切れる

何気無く、母親の事は深く聞いてこなかったのは優しさかな
それならちょっと嬉しいかも…

「 わ、可愛いランジェリーショップ。そのベンチに座って、待ってていいよ 」

「 入る 」

「 へ?いいけど… 」

ランジェリーしか無い店なのに、男性が普通に入れる事が驚きだけど…
恋人同士で入ってるカップル連れもいるから、いいのかな…?

てか、この人は…こういった系には恥ずかしがらないタイプなんだね

「 透羽、俺はこれが好きだ 」

「 誰が付けるかんなもん 」

入った理由って…
好みの下着を着けて欲しいからなんだ、買うかよ

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