鬼上司は部下を甘く激しく愛する

獅月 クロ

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十月とは言えど、多少の肌寒さは感じるもので…
暖かさを求めるように軽く擦り寄れば、フッとそれ以上に進まない事に気付き、ぼんやりと目を覚ませばしっかりとした鎖骨が目線の少し上にあったのを見て、
顔を上げれば、自分の片腕を枕の下に挟んで寝てる、綺麗な顔に一瞬叫びかけた

「( あ、私…社長と付き合うことになったんだった… )」

あんなにヤッたのに実感わかなくて、一瞬社長!?ってなったけど…
改めて思うと、付き合ったんだよね…
それに夜はシャワーを浴びてから、綺麗になったベッドで寝てのだから彼が居ても不思議ではない

というか…この人、違和感無しに私の腰に軽く手を添えてる程度でよく寝れるよね

あんなに胸元にゴリゴリ顔を埋められて、気にしないんだろうか…
いや、下手に起きられても困るからいいか… 

腰も重いし、身体も怠いからもう少し寝ようかなって思い、折角だから胸元へと額を擦り付ければ、腰に当てていた手は下がっていた布団を持ち上げ、肩方まで上げてくれた

「( え…この人…起きてるの…? )」

※条件反射

え、起きてるなら恥ずかしいんだけど…と思い寝たふりを決め込むことにした

そして、そのまま二度寝したのは言うまでもない…

やっと起き上がれたのは11時ぐらいで、空腹が気になって目を覚ました

「 ふぁ…お腹、空いた… 」

寝癖のある髪を掻き、寝間着のままベッドから下りて、家から持ってきたフカフカのハムスター柄のスリッパを履いて、トボトボと寝室を出れば、廊下にいい匂いがする

なんだろ?と思い、リビングへと行けば
昨日と同様にキッチンに立ってる遼の姿がある

「 りょーちゃん…おはよ…? 」

「 ん?あぁ、はよう。顔を洗って歯磨きしてこい。オムライス作った 」

「 食べる! 」

「 先に洗えよ? 」

「 はーい 」

オムライス!このケチャップの匂いと、玉子はそれだったんだーと喜べば、さっさと洗面台の方へと行き、顔を洗い
家から持ってきた物を置いてあるから、それを使う

一気に、洗面台も女性物の私物が増えたなって思うぐらい、化粧水とか置かれてるからね

今日、買い物行くなら壁にかけれるカゴとか買うのもいいかなって思う

顔を洗ってから歯磨きをして、マウスウォッシュも終えて、化粧水を軽く付けて髪型を整えてからリビングに戻る

「 わー、凄い…ファミレスみたい 」

「 そうか?一品じゃ足りないと思ってな 」

「 うん…そうだけど、全部手作り? 」

「 嗚呼 」

ワンプレートだけど、オムライス、ハンバーグ、ポテト、ウィンナー、ミニトマトとポテトサラダが乗ってることに驚く

てか、めっちゃ見栄えがいい…

「 …何でも出来るよね 」

「 独り暮らしが長いと、手料理ぐらい出来るだろ 」

「 なんか…ごめんね… 」

手料理ぐらいって、出来ないよ…
てか、こんなに寝てる間に作るとか凄くない?どれも美味しそうなんだけど…
すぐに座れば、彼も前の席に腰を下ろす 

「 別にいい。俺も休みの日で気が向かないと作らないからな…明日からは外食か、デリバリーになる 」

「 仕事終わる時間もズレるし…そうなるか 」

「 そうだな。…いただきます 」

「 いただきます 」

仕事先が同じでも、上がる時間は違う
私は定時で上がるけど、彼は遅くまで残ってたりする

金曜日だって、私達が先に上がって飲み歩いてた後ぐらいで、この人は仕事を終えて外食に行ってたみたいだからね
そう考えると、休みの日ぐらいしか一緒に食べれないのかな…

「 ん、オムライスおいしー!ふわとろだし、玉子甘めなの好き 」

「 そうだろうと思った。味覚にあったなら良かった 」

「 うん! 」

残念だけど、休みの日にこうして一緒に食べれたらいいかなって思い、美味しいオムライスを口に含んで食べていれば、彼はハンバーグを口に付けることなく、半分を切ったのを私の皿に乗せてきた 

流石に、寝起き?で胃もたれするみたい

「 オムライスおかわりある? 」

「 中身だけならあるぞ…って食えるのか? 」 

「 食べれる!貰うね 」

「 嗚呼… 」

そんな、マジか?みたいな顔をしないでほしい
美味しいものを沢山食べる!それはダイエットしろって言われ続けて、
小さい頃に泣き泣きダイエットして、ご飯が食べれなかった代償だからね
今思えば、ある程度の運動をしたら食べても痩せれるって分かるから、食事に関して我慢はしてない

「 全部、おいしかった!ハンバーグも本格的で良かった!ごちそうさまでした 」

「 嗚呼…それはなにより 」

「 じゃ、買い物デート行こう。着替えてくるよ 」

皿をシンクに置き、後は任せ
軽く歯磨きをし終えてから、寝室に戻ってスーツケースを開き服を取り出して着ていく

「 私服か…スーツ系でいいか? 」

「 仕事着っぽく無ければ、私はこれにしたよ 」

ジャジャーンとばかりに、寝室に戻ってきてクローゼットを開く彼に、着てる服を見せる

淡いピンク色のランダムティアードロングスカートにブラウンの首元が厚みのある肘丈のセーターを着れば、彼は顔から足元まで見た後に、クローゼットへと視線を戻す

「 似合ってるな、可愛い 」

「 へへっ、ありがとう 」

「 嗚呼…なら、俺もセーターにするか… 」

セーターって言うからもっと厚いのかと思ったけど、インナーの上から黒色の無地のニット ハーフネックを着た彼は、濃いめのジーンズを履いた程度でピシッと締まるんだけど…

それに何もない首元に、リング付きのネックレスを着ければどこのファッションモデル?とツッコミたくなる…

「 …ねぇ、脚長いの羨ましいね 」

よしっと高価な腕時計をつけては満足気にしてる彼のズボンのポケットに指を引っ掛けながら視線を落とせば、ぽんっと頭に触れられる

「 御前もスタイルいいだろう 」

「 いや…そういうことじゃないんだよ… 」

私のスタイルじゃないんだよ…
貴方のバランスがいいねってことだよ!!

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