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十三話 買い物に行きましょ
しおりを挟む御披露目パーティーに行く前に、病院へと行き赤ちゃんの様子を診ることにした
十八週目に入る
お腹の膨らみは自分では分かるほどだけど、
まだまだ世間で言う安定期には入ってないから
このまま動くのは不安だ
まぁ、流産の八割は赤ちゃんに何かしらの影響があるからって聞いたから、今のところ順調だし大丈夫と思っている
『 ……うわ…ここまでくると、ハッキリ分かるね… 』
「 嗚呼、元気そうだ 」
エコーで見る赤ちゃんはまだ二百グラムの重さ位しかない
大きさは十三センチ前後、まだまだ小さいぐらいなのにエコーで見ると改めてお腹にいるんだと実感させてくれる
嬉しそうに呟く隆一の表情を見た後に、画面へと向ければそろそろ信用してきた産婦人科医は告げる
「 ダウン症とかの心配は今のところない…ですね。性別はもう少しかな、二十週辺りからハッキリ分かりますよ 」
『 よかった…?なら…二十週目位にまた来る? 』
「 ルイがいいなら来てみよう、性別は気になるな 」
じゃ、そうしようと次の予定を決めては女医さんと話して検査を終える
血液検査とか諸々毎回有ることに、大変だと思うけどこれも赤ちゃんの為だと思えば此処から回数が増えても行くしかないかな……
『 赤ちゃんどっちかなー 』
「 さぁな…。どっちでも可愛いさ 」
病院から出て、今日の事は特に言われなかった
食べることをまた言われると思ったけど、隆一がちゃんと考えて作ってくれるし、間食に梅のおにぎりとか食べてるから前みたいに食べない日は続いてない
『 そうだね!隆ちゃんイケメンだし、女の子になっても可愛くなりそう 』
「 俺に似た女の子はゴツくて可哀想だろ……そこは、御前に似たらいい 」
最初は子供なんて、とか思ってたけどこうして見たり感じたりすると嬉しいと思う事は増えた
手を繋いで車のある方へと行きながら話し、お互いに笑いあってから車に乗る
今日は隆ちゃんが運転して来てくれた為に、助手席へと座りシートベルトをつける
「 体調はどうだ? 」
『 んー?平気だよ 』
「 なら、少し……店に寄ってもいいか? 」
エンジンを付けながら右側に居る隆一は此方を向き、後ろの座席に手を伸ばしなにやら取ればクッションを掴み、腰へと挟んできた
まだ必要ないと思うけど、と思いながらされるがままになっていれば彼は口角を上げる
『 あ、ありがとう。うん、大丈夫だよ。寄り道しよ 』
「 ん……なら行こう 」
何処に行くんだろ?いつもならすぐ帰るのに、と思いながら久々に外の景色を見ると思い、視線を向ける
優しい運転の為に、苦しくないし怖くない
蓮さんと似た運転の仕方だなーって改めて思っていれば、少し他愛もない会話をしてたら辿り着いたらしい
「 此所だ。出来上がったと言う連絡来てな 」
『 ……わっ!あぁ、わかった! 』
変な言葉を漏らすも駐車場に止まり、車から降りれば横にある綺麗な店に理解する
軽く片手を取り手を引く隆一に引かれるまま、店の中に入れば
綺麗な宝石が使われた、ジュエリーの数々
全てがガラスケースの中に入っていて、値段を見ればゼロの数に一瞬疑問符が浮かぶほど
片手で何気無くゼロを数えては、唖然となる
『( たかっ!!? )』
此処って高級ジュエリーショップだったの!?
そりゃ、隆一が来るところってそんな気はしてたけど!
流石に貰うのが怖くなると思い、ガラスケースから視線を外せば彼は既に店員に話し掛けていた
「 五十嵐様。御注文の品は此方でよろしいですか? 」
「 嗚呼、それだ。ルイ……左手を出せ 」
『 ふぁい……はい! 』
早々に受け取っては、既にお金は払ってるのだろ
箱を胸ポケットに入れ彼は私を向かせてから左手を取り薬指へとはめた
「 待たせてごめんな……。結婚式挙げるまで、これをつけてて欲しい 」
『 ん……もちろん…… 』
パヴェデザインでありダイヤの付いた見るからに高級なそれは綺麗で私には勿体無いと思うほど、
けれど指輪を貰った嬉しさと実感に緩くなってる涙腺は制御が出来ず、涙が流れる
『 っ…………嬉しくて…… 』
「 もっと早く渡せば良かった。好きだよ、ルイ 」
『 ん……私も…隆ちゃん好き…… 』
溢れる涙を優しく拭いた彼は、そのままそっと抱き締めてきた
おめでとうございます、とばかりに拍手する店員さんに気恥ずかしくなり隠れるように胸元へと顔を埋めた
何度も頭を撫でる感覚に落ち着けば、店員さん達に挨拶してから車へと戻った
『 キラキラ……ふふんっ 』
「 ダイヤに俺達の名が刻まれてる。顕微鏡とかでみないと分からないが… 」
『 えー、そこは内側でしょ 』
見えるの?とばかりに見ても見えないもので
顕微鏡なんて家に無い
残念だと思って肩を落とせば、隆一は頭に触れれば顔を寄せる
「 御返しは、キスでいいぜ? 」
『 ふはっ……もちろん、ありがとうー 』
「 ん、どういたしまして 」
そんなのいくらでもするのに、頬へと口付ければ赤信号が青へと変わると同時に車は進む
指にはめられた指輪を何度も見たり軽く触っては一人喜んでいた
『( でも、私から隆一にあげれるものってないや…… )』
御返しに時計やネクタイピン、と言っても彼が使うのより安くなってしまう
値段とか気にしないかも知れないけど、私が気になる……
待てよ、寧ろ私の通帳なんて母親と一緒だったから無いのでは?と思い出した時には死にかけた
『( あ、私……本当に猫と身一つしか持ってないまま婚約したんだ…… )』
口から魂が飛びそうな感覚に、ガラスへと額を当て外を眺める
どうやら指輪以外にも、夕食のご飯やら買いに来たのか次はスーパーへと来た
案外、普通の小さめのスーパーだ
『 久々のスーパー!新鮮! 』
「 そうか?何か食べたいものあったら言ってな?此所の野菜コーナーが俺は好きだ 」
『 家に色々届くのかと思ってたけど、買ってたんだ? 』
普通にカゴを持つ、隆一の姿を見て溶け込めてる休日のサラリーマンに見える
普段着だし、美形だと言うことを気にしなかったら案外こんなもんなのか……
もっとキャーキャー言われて囲まれるのかと思ってたから、予想と違ったと思いつつ問い掛ければ彼は先に入り口付近の野菜コーナーを見ながら笑った
「 最初はレシピ通りの物は届いてたが、俺の手料理がいいと言ってからは帰りや休日にまとめ買いしてるんだ。おかげで今日は体重含めて何も言われなくて良かった 」
『 手間かけさせてた…… 』
「 手間とは思ってない。今日は帰って何を作ろうか……そう考えてるだけで仕事中も楽しいからな 」
夫は完璧すぎる、と胸がじーんと熱くなり野菜を見るその横顔を見ていれば彼はトマトを数えて十個程カゴにいれる
うん、ほぼ三食べてるからそのぐらいいるよね……
『 そっか、嬉しいよ。今日も楽しみにしてる 』
「 嗚呼……。ルイ、大丈夫か? 」
『 ん?えっ、なにが? 』
ふっと通りすがったマダムの匂いに眉を寄せ、パーカーの袖で口元を押さえていれば、振り返った彼は問い掛けてきた
無意識でやってたから気付かなかったけど、私…吐きそうなんだ
「 気分悪そうだが… 」
『 ……そうみたい、隆ちゃんの匂い嗅いどく 』
「 それで大丈夫なものなのか? 」
通路側ではない右側の腕を掴み、軽く服へと鼻を押し付けて、両手で抱き締めれば彼はカゴを左手に持ちかけて歩き出す
柑橘系の柔軟剤の匂いがするから、まだ平気と思う
スーパーの中ってこんなにも色んな匂いが混じってるんだ、と改めて思いながら選ぶのを見ていく
「 グリーリーフ取ってくれるか? 」
『 何個? 』
「 三つぐらい 」
『 わかった…… 』
動かせない右手のかわりに、手を伸ばしてビニール袋に入ったグリーリーフを掴みカゴへと入れ次のところに歩く
歩き辛そうだけど、彼は嫌がる表情は見せず逆にちょっと笑ってる
「 ルイとの買い物が楽しすぎて…色々買いたくなる 」
『 そう?食べれそうな範囲なら、大丈夫… 』
「 まとめ買いもいいかもな 」
何度か頷けば、彼はそうしようと決めたらく
途中に置いてあるカートへと持ちかえる
カゴを乗せ片手でカートを押し、材料を選ぶ姿はまさに主夫だ
と言うより量から見るとどっかの業者にも思う
流石に鮮魚コーナーはさっさと離れて、肉コーナーへと行く
『 お肉食べたい…… 』
「 じゃ、今日はレモンタレのしゃぶしゃぶにするか? 」
『 うん!お肉、お肉! 』
「 白菜に豆腐……いいな、美味しそうだ 」
ふっと、前に貰ったお金でお肉を買ったことを思い出して結局あれは食べなかったことに、食べたいなと呟けば彼はパックのしゃぶしゃぶ用の肉をカゴに結構入れる
本人が肉が食べたいみたい
『 そう言えば……最初に十万円くれたのなんで? 』
次の場所に歩きながら問えば、一瞬なんの事だ?と忘れたように視線を向けた彼は、思い出したように鼻で笑った
「 クリーニング代、タクシー代、それと好きなものでも買えばなって思って渡した 」
『 あれ口止め代かと思って、肉を買って…共通の通帳に貯金した 』
やっぱり好きなもの買って良かったんだと、安心しては彼は笑う
「 使わなかったか。お小遣い欲しければ渡すのぞ?まぁ、こうやって出掛けたときに欲しいものを言ってくれたら助かるが…… 」
『 お肉…… 』
「 ふはっ、わかった 」
もう元貧乏だからね!お肉食べれたら十分なんだよ
生魚は今は食べれないから、お寿司なんて考えずお肉だと伝えれば彼は他にも食べれそうなお肉を買ってくれて、鍋の材料やらカゴに入れレジへと行く
支払いは黒いカードだった為に、分かった……
現金にするのが面倒だから、一括で払える時がいいんだ!!
日用品も軽く買って、車に荷物を入れた後に私の限界はピークで車の中で持ってきていたエチケット袋へと吐き出しだ
「 少し、待っててくれ 」
『 ん、うん…… 』
背中を擦ってくれていた隆一は車から降りて、そのままどこかに行けば吐き気と胸焼けに青ざめていく
夕食が食べれるか心配になりながら、待っていれば彼は少し駆け足で戻ってきた
「 ほら、レモン水買って来た。飲めるか? 」
『 ありがとう……隆ちゃん 』
「 あぁ、これなら御前も飲めるの知ってるからな 」
水とかお茶でも気分悪くなるときはあるから、レモン水は助かると透明な飲み物が入ったペットボトルを受け取り、蓋を開けて一口飲めば
胃の辺りがスッとする感覚に落ち着く
『 ふぅ……大丈夫! 』
「 そうか、じゃ帰るか。買い物に付き合ってくれてありがとうな 」
『 んん、久々の買い物は楽しかったよ 』
また連れてくる、と言った隆一の言葉に頷いてマンションへと戻る
「 しゃぶしゃぶだから直ぐ出来る。待っててな 」
『 はーい 』
十八時頃の夕食の時間
ソファーに座って休憩する私はクロを触りながら待っていた
二人用の土鍋を取り出し、ダイニングテーブルの上にカセットコンロをセットして切った野菜など入れれば皿に盛り付け直した肉が届く
「 御待たせ。食べれるだけ食ってな 」
『 お肉ー!うん、食べる! 』
湯の匂い程度でそこまで気にならないと、椅子に座れば前に座った彼と手を合わせて食べ始める
『 しゃぶしゃぶ~って、実際どのぐらい? 』
「 色が変わったぐらいで……ん、そのぐらいで十分だろ 」
『 ふむふむ、いただきますっ…… 』
やったことがそんなに無いために、今更どのぐらいだっけ?と考えていれば教えてくれて
このぐらいかと納得して、レモンタレを付けて食べる
さっぱりとした味わいに頬を緩めれば、隆一も食べていく
「 フッ、最初は同じ鍋とか嫌そうにしてたが、今は平気そうだな? 」
『 あ、本当……嫌じゃない 』
「 そうかそうか、そんなに俺が好きかぁ。もっと好きになれ 」
『 なにいってんの…… 』
最初は使ってたコップを使われるのさえ嫌だったけど、今はもう平気だ
同じ鍋に入った物を食べれることに笑みは溢れる
照れ隠しに言った私に、隆一は尚更ニコニコと笑っている
本当…最初のお堅くて怖そうなイメージが消え去る程に、いつも目尻にシワを作って笑ってるような彼を見てるとこっちまで笑みが溢れる
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