竜は一夜を交した黒豹に恋をする

獅月 クロ

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~ レイバン 視点 ~


猫科の朝は遅い、気が向いたら起きるってぐらいだからこそ、差し込む日差しに嫌そうに枕に顔を擦り付けていれば、
香る愛しい番の匂いに、大きな欠伸を漏らし頭が覚醒する。

「 ふー。んっ~…… 」

猫科特有の背伸びをすれば、ゆっくりと顔を動かし横を見れば、人型の姿で爆睡してる竜久の姿がある。

下半身から腹に掛けて軽く掛けていた毛布を爪で引っ張り、そっと胸元まで掛ければ彼は両腕を上げ背伸びをする。

「 ン……ん…?あぁ、…おはよう、レイ… 」

「 おはよう、竜久 」

薄っすらと微笑んだアメジスト色の瞳をした彼は手を伸ばし、私の毛並みに触れ頬から首元を何度か撫でれば、腕を下げ枕へと方頬を当てる。

「 どうかしたか? 」

「 ……いや、改めて…番…なんだな、と… 」

「 嫌だったか? 」

「 そんな訳ない…只、恥ずかしい…だけさ…… 」

散々、獣らしく激しく行為をしたのに其れでも恥じらう姿に腰に痺れを感じ、全身が震える感覚になれば、ガバッと被さる。

「 っ~~!!竜久!! 」

「 ちょっ、ばか…、なんで興奮してんだ! 」

「 だって、御前が可愛いからっ 」

「 なわけ、あるか…! 」

擦りついていれば首元に腕を当て、嫌がってる彼は本気で怒ろうとはしない。
だから動くのを止めじっと見詰めれば、観念したように僅かに目を泳がせた後、私の首に触れ鼻先へと口づけを落としてきた為に、私からも額を擦り付ける。

「 ん…レイ…レイ…。好きだ… 」

「 私もだ、竜久 」

お互いに額を合わせていれば横にある襖は開いた。

「 レイ様、朝御飯の……おや…… 」

「 おはよう、茜! 」

「 っ~!!!? 」

現れた茜はこの状況を見て、顎に手を当てくつりと笑ってみせた。

「 夜だけでは足りなかったようですね。お邪魔でしたらご飯は後でも宜しいですよ? 」

「 どうする?竜久…… 」

「 食いに行くから、襖を閉めてくれ!! 」

「 はいはい、では…顔を洗って来てくださいね 」

何故、竜久がそんなに声を張るのか知らないが、茜はくつくつと笑って襖を締めてからその場を離れた。

掛布団を顔に掛けてる彼を眺めていれば、ボソボソと言い始めた。

「 やっぱり…聞かれていた…死にそうだ… 」

「 ん?? 」

腹でも痛いのか?と思うがそんな事は無いようで、彼は少しブツブツと呟いてから私と共に風呂に行き、暑い為に冷たい水で顔やら身体を洗ってから部屋着に着替えて食卓へと行く。

「 よっ、レイ様!待ってたんだぜ、食べよう! 」

「 先に食べてても良かったのに…まぁ、食べよう 」

律儀に待っていた彼等に申し訳なく思うも、いつもの場所に正座すれば、横に座布団があることに気付き、疑問に思えばどこに座ればいいのか悩んでる竜久に、茜が告げた。

「 伴侶なので、レイ様のお隣へどうぞ 」

「 あ、嗚呼… 」

少し戸惑うのには無理はない。
結婚式を早々に挙げたが、竜久は泊まりに来ては無かったからだ。
彼にも借りてる部屋の事があるために荷物をこっちに持ってくるまで、別々に生活していた。

やっとその引っ越しも終えて一緒に住み始めた最初の朝だから、座る場所も気にするか。

「 それでは、頂きます 」

「「 いただきます! 」」

白ご飯、一匹丸々の鯖の塩焼き、アサリの味噌汁、漬物、炭火焼きの焼き鳥が3本ずつ置かれていれば、何故か竜久のだけ、焼鳥の数が多いことが気になる。

「 なんか、竜久の量は多くないか? 」

「 ん、あぁ……いるか? 」

「 駄目ですよ。これからの為に竜久様には体力作りをしてもらわなければならないので 」

「 子供のためにってやつか! 」

「 ブッ!ゴホッ、ゴホッ 」

味噌汁を飲んでいた竜久は、彼等の言葉に吹き出せば心配で何気なく背を擦れば彼は平気だと、その手を止めせた。

「 竜久…妊娠したのか? 」

「 気が早い…というか、こんな時に言うものじゃないだろ 」

「 そうでもありませんよ。猫の妊娠確率はほぼ百%なのですよ 」

「 そう、なのか… 」

産むのは竜久なんだから、それは関係あるのか疑問だけど、
案外…その辺りは鵜呑みにしてる竜久が可愛いなって思いながら食事を進める。

どちら似の子供が生まれるか、それもまた楽しみだとばかりに話す彼等に、竜久の耳はほんのり赤く色付いていた。

部屋に戻ったら襲うかな……。

「 竜久…。交尾しよう 」

「 夜にしたばかりだからしない。ほら、退いてくれ。布団を洗う 」

「 ケチ… 」

「 何度でも言え。御前は良いかも知れないが、こっちは…節々が軋むんだ…。手加減を覚えろ 」

朝御飯を食べたし、またいちゃつきたいと思っても、竜久は私が座っていた布団を引っ張って奪った。
何もない畳の上でヤル気は起きず、その場で横たわれば彼は一式分の敷布団を抱いては部屋を出て行く。

彼が居なくなった部屋で何気無く天井を見上げては、人族と同じ手を伸ばし手の甲へと視線を向ける。

「 手加減と言われても…… 」

理性を止めたまま行為をしても、途中から記憶が薄れる程、理性が削ぎ落とされ本能のままに求めてしまう。
其れが発情期の匂いにやられたαらしいのだが、何方かと言えば竜久が尻尾を絡めながら喘いでいたのが原因だと思う。

「 あんな、可愛いの…反則だって… 」

身体を横たわらせ、軽く膝を胸元へと寄せては暖かな日差しによって眠気は誘われる。

確かに、いつもより体力は奪われてるかも知れないと思っていれば布団を何処かに置いてきた竜久は、戻って来た。

足音で分かる為に完全には寝てはないが耳だけ起きていれば、彼は小さく息を吐く。
 
「 本当…猫科だな。こうやって見れば可愛い気があるのに…。御前が攻めとは… 」

寝てるだけが可愛げあると言われても、可愛いと言われる言葉すら余り好きでは無いから如何でも良かった。
けれど、私の横に来てこっちを向いて横たわった竜久が何気無く髪に触れて撫でてくる感触は心地いいし、一緒に寝てくれるのは嬉しい。

「 ずっと……竜久と、居たい… 」

「 !…ふっ、居るさ。御前の傍に… 」

優しい掌の感触が、やけに心地良くて少し目を閉じてるはずなのに眠りに置いていた。

そのまま、十時ぐらいまでは二人で二度寝をしていた。

「 おやおや……。暑苦しそうですね 」

「 しに、そ…… 」

竜久…普段は余りデレないけど、寝てる時とか布団の中はデレて来るってわかった。

気付いた時には竜の身体で、肉体を締め付けられていた為にそれこそ骨が軋んで身体の節々が痛かった。

茜に助けて貰わなければ、あのまま絞め殺されていたと思う。

本人は全く無自覚で爆睡してるんだから罪深い……。

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