190 / 193
番外編
11
しおりを挟む手術を行うまえに、颯の身体の造りを調べたアランによって手術は行われる
アンドロイドが、なんて思っていたけど
この研究を一番知ってるのは彼だし
もう、ロボットの領域を変えたいたから
ルイスは身を任せた
生身の心臓を入れると同時にルイスを動かしていた機能をほんの一瞬止めて、それをまた活動し始める
心臓が無くても似た臓器は入っていた為にそれに繋がった全ての神経や血管を心臓丁寧に結合する必要がある
アランと優秀なロボット4人で行われた手術は休憩を挟むこと無く12時間を使用して行われた
手術を終えたと同時にアランは倒れたと聞いて驚いたが、ルイスが大丈夫だと告げ安堵した
そして、颯は丸2日間の睡眠から目を覚ませば感じる鼓動に驚いた様子の後に笑っていた
「 ちゃんと繋がって完治するまでは動くの禁止ね。どう、本物の心臓は? 」
「 ドクドク音が鳴って、変な感じだ.... 」
「 感情に変化して動くからね。只、身体を動かすために規則正しい動きをする造り物とは違う.... 」
ルイスの心臓がまた動いてる事にアランはベットへと座り、颯の胸元へと耳を当てその鼓動に安堵してように微笑んだ
研究者でありながら、手術をしたのだから心配してたのだろうね
起きなかったらどうしようって....
「 大丈夫そう....少しは感染しないよう薬と、食事すら気にかけるけど君の回復力なら大丈夫だよ 」
「 ありがとうございます 」
「 いいよ、改めて俺達の子供みたいで感動してるから 」
点滴を見てから、アランは部屋にやって来たルイスからカルテを受け取りそれを見ては軽く颯の頭に触れ背を向ける
容態を見に来ただけのようで、此れからやることが山積みみたいだからね
「 それじゃゆっくり休んでね。拓海、エッチは3ヶ月ぐらいは我慢だよ。ルイス....この結果なんだけど.... 」
そう言いながら立ち去ったアランに、俺はいい逃げされたと思っては苦笑いを溢し颯へと視線をやる
「 気分は大丈夫? 」
「 あぁ、不思議なぐらいに暖かいぐらいだ.... 」
「 俺は心臓を持って生まれ普通の試験管ベイビーだけど、颯は全て造られてるもんね違和感あるのかも 」
颯の元あった心臓は、取り出してからアランが見せたくれたけど、そこだけ人工的に造れなかったように機械の形をしていた
高密度に造られた機械の心臓はアラン達が持つのと同じもの
規則正しくしか動かないために、変動は然程ない
だが、今は違う事に颯は嬉しそうにベッドへと倒れ胸元へと手を置く
「 トキメキとか感じるんだよな....彼奴に会ってみたい.... 」
ふっと呟いた颯の言葉
その言葉に、一瞬胸へとチクリと針で刺されたような痛みが走る
君にとって俺と過ごす、恋人ごっこの時間より海斗に会いたくて仕方無いんだと知れば俺が傍にいる事なんてしない方がいいんじゃないかな....?
「 きっと、感じたことのないドキドキを体験できるよ。お化け屋敷とか入ってみたら? 」
嘘をつかないと思ったのに、嘘をついてしまった
応援してるような口振りに、颯の表情も明るくなり優しげな笑みを溢した
「 悪くないな....楽しそうだ 」
「( あぁ、俺の事なんてその瞳には映らないんだね )」
小さかった痛みは吐き気がするような感覚へと変わって、嘘をついたり、感情を抑えようとしても、此処には俺の邪魔をする人はいない
「 拓海....? 」
ベッドのスプリングが軋む音と共に、颯の着けた点滴のホースは揺れ、彼は俺を見上げては驚いた表情を向ける
「 嘘....俺の前では、海斗の話をしないで.... 」
君にとっては過酷な言葉かも知れないけど
君が無意識に俺を繋ぎ止めては傷付ける言葉の方が酷いことだと知って欲しい
「 今は、俺の恋人でしょ!!? 」
子供が親を取られるように
大切な何かを奪われて、余所見をされるように、颯の視線が他に向くのが気に入らない
手首を掴んだ手に力が入り、隠すことの出来ない嫉妬を向ければ颯は一瞬眉を下げ、鼻で笑えば片手を動かし俺の頭へと触れてきた
「 素直で宜しい....もう、嘘を付くなよ....拓海。酷い顔をしてるぞ? 」
「 誰のせい?誰のせいで俺の心臓は、握り潰されるほどに痛いと思うの!? 」
君には分からない、これから分かるかもしれない
それでも、嘘を付くのを止めてしまった俺は、誰よりも嫉妬深くて独占欲が強いんだよ
「 分からないから、教えくれ。御前の痛みを身体で.... 」
君は狡いと思う、俺を捉えては逃がしてくれない
「 心臓が止まっても知らないから.... 」
噛み付くように口付けを落とし
その脆くなった身体に触れていく
今だけは海斗には渡さないよ....
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる