すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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番外編

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手術を行うまえに、颯の身体の造りを調べたアランによって手術は行われる

アンドロイドが、なんて思っていたけど
この研究を一番知ってるのは彼だし
もう、ロボットの領域を変えたいたから
ルイスは身を任せた

生身の心臓を入れると同時にルイスを動かしていた機能をほんの一瞬止めて、それをまた活動し始める
心臓が無くても似た臓器は入っていた為にそれに繋がった全ての神経や血管を心臓丁寧に結合する必要がある

アランと優秀なロボット4人で行われた手術は休憩を挟むこと無く12時間を使用して行われた

手術を終えたと同時にアランは倒れたと聞いて驚いたが、ルイスが大丈夫だと告げ安堵した

そして、颯は丸2日間の睡眠から目を覚ませば感じる鼓動に驚いた様子の後に笑っていた

「 ちゃんと繋がって完治するまでは動くの禁止ね。どう、本物の心臓は? 」

「 ドクドク音が鳴って、変な感じだ.... 」

「 感情に変化して動くからね。只、身体を動かすために規則正しい動きをする造り物とは違う.... 」

ルイスの心臓がまた動いてる事にアランはベットへと座り、颯の胸元へと耳を当てその鼓動に安堵してように微笑んだ 

研究者でありながら、手術をしたのだから心配してたのだろうね
起きなかったらどうしようって....

「 大丈夫そう....少しは感染しないよう薬と、食事すら気にかけるけど君の回復力なら大丈夫だよ 」

「 ありがとうございます 」

「 いいよ、改めて俺達の子供みたいで感動してるから 」

点滴を見てから、アランは部屋にやって来たルイスからカルテを受け取りそれを見ては軽く颯の頭に触れ背を向ける

容態を見に来ただけのようで、此れからやることが山積みみたいだからね

「 それじゃゆっくり休んでね。拓海、エッチは3ヶ月ぐらいは我慢だよ。ルイス....この結果なんだけど.... 」

そう言いながら立ち去ったアランに、俺はいい逃げされたと思っては苦笑いを溢し颯へと視線をやる

「 気分は大丈夫? 」

「 あぁ、不思議なぐらいに暖かいぐらいだ.... 」

「 俺は心臓を持って生まれ普通の試験管ベイビーだけど、颯は全て造られてるもんね違和感あるのかも 」

颯の元あった心臓は、取り出してからアランが見せたくれたけど、そこだけ人工的に造れなかったように機械の形をしていた

高密度に造られた機械の心臓はアラン達が持つのと同じもの
規則正しくしか動かないために、変動は然程ない
だが、今は違う事に颯は嬉しそうにベッドへと倒れ胸元へと手を置く

「 トキメキとか感じるんだよな....彼奴に会ってみたい.... 」

ふっと呟いた颯の言葉
その言葉に、一瞬胸へとチクリと針で刺されたような痛みが走る

君にとって俺と過ごす、恋人ごっこの時間より海斗に会いたくて仕方無いんだと知れば俺が傍にいる事なんてしない方がいいんじゃないかな....?

「 きっと、感じたことのないドキドキを体験できるよ。お化け屋敷とか入ってみたら? 」

嘘をつかないと思ったのに、嘘をついてしまった
応援してるような口振りに、颯の表情も明るくなり優しげな笑みを溢した

「 悪くないな....楽しそうだ 」

「( あぁ、俺の事なんてその瞳には映らないんだね )」

小さかった痛みは吐き気がするような感覚へと変わって、嘘をついたり、感情を抑えようとしても、此処には俺の邪魔をする人はいない

「 拓海....? 」

ベッドのスプリングが軋む音と共に、颯の着けた点滴のホースは揺れ、彼は俺を見上げては驚いた表情を向ける

「 嘘....俺の前では、海斗の話をしないで.... 」

君にとっては過酷な言葉かも知れないけど
君が無意識に俺を繋ぎ止めては傷付ける言葉の方が酷いことだと知って欲しい

「 今は、俺の恋人でしょ!!? 」

子供が親を取られるように
大切な何かを奪われて、余所見をされるように、颯の視線が他に向くのが気に入らない

手首を掴んだ手に力が入り、隠すことの出来ない嫉妬を向ければ颯は一瞬眉を下げ、鼻で笑えば片手を動かし俺の頭へと触れてきた

「 素直で宜しい....もう、嘘を付くなよ....拓海。酷い顔をしてるぞ? 」

「 誰のせい?誰のせいで俺の心臓は、握り潰されるほどに痛いと思うの!? 」

君には分からない、これから分かるかもしれない

それでも、嘘を付くのを止めてしまった俺は、誰よりも嫉妬深くて独占欲が強いんだよ

「 分からないから、教えくれ。御前の痛みを身体で.... 」

君は狡いと思う、俺を捉えては逃がしてくれない

「 心臓が止まっても知らないから.... 」

噛み付くように口付けを落とし
その脆くなった身体に触れていく

今だけは海斗には渡さないよ....

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