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番外編
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しおりを挟むアランを見た瞬間に子供達はぱっと明るい表情を見せ、遊んでいた手を止めては駆け出し此方へとやって来た
「 お父さん!お客さん? 」
「 お父さんっ、今日はなにして遊ぶの? 」
「 今日はちょっと来ただけだよ。君達のお兄さんを連れてきたから仲良くしてね 」
「「 はーい!! 」」
「( えっ....? )」
アランをお父さんと呼び、似てる顔である俺を友達?と呼んだ
完全に区別がついてることに驚くより、
彼等の父親がこの人自身だと言うことと、子供達が素直に喜んでることに疑問になった
どう言うこと?傾げる俺に彼は子供に触れ、彼等がまた遊び始めれば俺を連れ保育園の中を歩きながら答えてくれる
「 先生である彼女達が俺を父親と呼べば子供も真似るでしょ。刷り込みと同じ....見たものを親と思う。因みにアランの区別はつかないから"俺"の顔は全員そう呼ぶよ。お陰で忙しくても誰しら此処に来るからね 」
この人には" 子供 "という認識はあっても" 我が子 "と言う認識が無いのだと言うことは分かった
子供達の中を見れば、何処と無く颯に似た雰囲気をもつ子はいる
「 中には刷り込みが成功しない子もいる。そんな子程、地上に出す。残りは捨て駒だね 」
「 なんでそんな事をするの? 」
「 プログラム通りに動く子供なんて、忠犬のように命令を聞くじゃん?反抗してる子ほど人間らしいと思うんだ 」
振り分けするのは生まれて来てから少し成長して分かると言う
知性が付き始めた2歳前後、人の言葉を理解するからこそ何でも鵜呑みにして忠実に言うことを聞くのは大量生産型の子供と同じ
そして唯一、一人は誰とも関わらず常に警戒する子ほど、人としての感情を持ち合わせてる
まさに優秀な子を選び育てるための環境だと分かった
颯はきっとこの中で、自分は彼等と違うことを直ぐに認識して父親と呼ぶ男が毎回違うことも察したのだろう
見えない"目"だからこそ、少しの変化にも気付いていた
あぁ、颯が小学生の時に人の視線が嫌いなことは言っていた
それは....此処にいる子達は気付かないけど、研究者から見れば"使える"か"使えない"かを判断する冷たい感情の無い瞳だからなのだろうね
「 此所の子供と上の組織で作られてる子供は決定的に有ることが違う、それはなんだか分かる? 」
組織で作られてるのは俺のことを言って、此所の子供のことは颯に例えたら考えやすい
決定的に違うこと、それは....
自分の胸元へと触れ、彼へと視線を上げた
「 颯には心臓が無いんですよね。そして上の子は人工授精によって生まれてる 」
「 答えは60点ぐらいかな。こっち.... 」
子供達がいる部屋とは違い、また奥へと進んだ先にある場所は赤子の声が聞こえてくる
広い部屋はあり、ガラスの下へと覗けば保育器に入った子供に世話をするナースの格好をしたアンドロイド
それを見てからアランに着いていく
彼が見せてくれたのは....
そう、颯の生まれた最初の姿である数多く並ぶカプセルだ
「 此所で生まれる子は、肉体から全て造り出した" 人造人間 "だよ。俺達は既に人造人間を造り出すことに成功したんだ 」
少しでも気を許したのは間違いなように、彼はまるで実験の成果を報告するように楽しそうにそれを見せてきた
ヘソの緒うと同じようなチューブは繋がり、母体の中にいる赤子のような姿はまだ人にはなりきれて無かった
「 実際の母親から生まれた人間を殺して人造人間を増やす理由が分からない。颯はその際で苦しんでるのに!! 」
「 言ったでしょ?近い将来、子供は減りそして下らない大人だけが残る。それならいっそのこと有能な子供だけを増やして未来を作ればいい 」
恰も当たり前のように言って子供の入ったガラスに触れたアランに、此処に来て見付けていた実弾の入った拳銃を向けた
「 その下らない実験を今此所で俺が終わらせてあげる 」
颯のような人はもう、居なくていい
今頃牢屋で意味のない拷問をされているのに俺はこの現状を、時間の感覚さえ狂ってみていて、研究に協力しようなんて頭まで壊れそうだよ
「 死ねないことにどれだけ苦しむか貴方には分からないでしょ! 」
どんな酷い拷問も、どんな心が傷付いても
簡単に死ぬことを許されない身体
肉体は全て人工的に造り出されたものだと海斗や陽妃が知ればどう思うか
どうやって本当の父親だと信じればいいのか、それすら分からなくなるのに....
拳銃を向けた俺に彼は此方へと振り返り、人を嘲笑うように笑った
「 だから?なに? 」
「 っ!! 」
その言葉を聞いた瞬間に引き金を弾いた
鳴り響く銃声音と共に顔を避けた彼のせいで脆いガラスはヒビが入り其処から水は流れ出した
「 あ~ぁ、一人....殺しちゃったね 」
「 ....!! 」
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