すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

文字の大きさ
上 下
175 / 193
番外編

14

しおりを挟む

" 今はまだ、地上にはでないで " 

其がアラン(2号)の言葉だった

何処で何号かと判断するのは彼が教えてくれた  
手首にある刺青のような数字は全てのアンドロイドの識別判断であり
誰に話したか分かりたければ手首を見せて貰えばいいと....

そんなの、急に手首を掴んで数字を見せて貰おうとして驚かれないかと疑問になってやってみたけど本人達は平気そうだった

「 ん? 」

何気無く居たルイスの姿をしたアンドロイドに、後ろからだけど彼の手首を掴んで白衣の袖を軽く捲る

その瞬間は驚いたと言うより、なんの用事だ?とばかりに疑問を抱いた様子
颯と同じ顔なのに、全く感情が感じられなんて....

「( 22.... )」

全く違うルイスだと知れば手を離したと同時にこの人は俺には目もくれず歩き出した
それは決められたルートを進むようにも見えた

頼まれていた物を持ち、アラン(2号)を探しいつものモニタールームへと向かった
けれど、其処にはいなくて脚を向けるのは彼等が寝ていると言うカプセルの場所
それも、ルイスの元へと行けば其処には椅子に座ってカプセルのガラスに触れていた彼の姿がある

「 ルイスの本体だよ 」 

俺が来たのを知ってるように発した言葉
その斜め後ろ立ちカプセルの中を見る
寝ているように目を閉じ揺れ動く髪  

俺の知る、颯はこの綺麗な姿に反して
ボロボロだと言うのに....この人は、まるで人形のように美しいと言う言葉が合う 

「 君に会ってからずっと寝てる.... 」

「 なんで? 」

「 人の寿命には限りがある。だから寝てそれを止めてる....ルイスはね、アランがいないことを知らないんだよ 」

「 どういうこと? 」

起こしていたルイスは確かにこの人だろ
だが、アランの言葉は俺の疑問を答えるように続ける

「 アランは先に死んだんだよ。ルイスを見ていたくてね....ずっと見ていたら肉体の寿命が来て亡くなった。俺はその前に与えられた記憶やらデータに過ぎない.... 」

空気に触れ起きている時間や動く心音の回数で生き物の寿命は決まる
だが、長く生きる生き物は小さな生き物より心拍数の回数は少ないもの

人間の身体は、その身体に比例して生きてる間の心臓が脈打つ回数は決められているもの
病気にならなければ、誰もが同じ時間を生きる
だが、その心拍数の回数を極限まで減して生きてるのか死んでるのかも分からない状態で置いておく

時間が止まったように....それは同時に好きな相手に会えない時間でもある

未来への科学より好きな人の傍にいたいと願ったアランが自分の残り時間
全てルイスの為に使ったのなら....ルイスが起きたときには本人はもういないのだろ

俺の前で、ルイスを愛しそうに微笑んだアラン(2号)はその想いはデータの中のものなんだね....

「 だから、気になった...君はアンドロイドとは違う。でも、研究の中で生まれた子供....恋愛とか好きだとか俺に教えて欲しいよ。そのプログラムを俺に頂戴 」

まるでデータを欲しがるアンドロイドそのもの、いや....彼はアンドロイドか
それでも俺に与えれるものはなにもない

「 俺が教えれることはないよ....好きな人にハッキリと思いを伝えれなかった。守ろうとして守れなかった....それに比べたら、君の方が傍にいるし、人間らしいよ 」

「 俺のは只のオリジナルのプログラム....。好きと言う気持ちなんて分からない 」

「 好きという気持ちを言葉にするのはきっと難しいよ 」

「 そう言うものなの? 」

「 ....理系の君に説明するのは難しいけどね 」

守りたい、と思う感情すらルイスを守れと言うプログラムを埋め込まれてるなら俺にはなにも言えなくなる

好きな人を守りたい、傍にいたい、きっと彼には既に持ち合わせてるから" 好き "という言葉を具現化する事にしてるのだろう

「 あぁ~あ、恋愛とか言ってた君のプログラムを貰えば俺もわかると思ったのに....まだその答えがでないな 」

「 役立たずでごめんね。でもさ、その人との子孫を残したいとか思ったら好きなんじゃない? 」

「 遺伝子研究してるのに? 」

「 あーもう、それじゃ分からないよ。俺まで分からなくなってきた 」

何処までアランが自分のアンドロイドにデータを残したかは分からないし、きっと人工知能だから時間に立つに連れてデータ以外の事も覚えてるに違いない

其が何処までオリジナルのか、2号のものなのかはきっと区別がつかないほど混じりあってる

そうじゃないと、ルイスを見る表情がそんなに悲しそうなのは出来ないよ

他のアンドロイドは冷たい瞳を持っている
ルイスを含めて感情が無いように其処に意思がない
だが、2号は表情豊かでルイスをみる視線も優しい 

俺はその瞳を知ってる 

颯が陽妃を見るときに優しげに微笑む表情や、頭に触れる時の壊れ物を扱うような優しさ
海斗を見る時の照れながらも強がる態度 
人を殺す時に悲しそうにすることも
あれ等が全て感情と言うものならきっとこの人は他のアンドロイドより持ち合わせてる

「( 答え合わせはきっともう出来てるんだよ )」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

処理中です...