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番外編
04
しおりを挟む~ 颯 視点 ~
秘密主義の黒澤 鴉史について何か知れればいいと思って、データベースへとアクセスをした
流石に彼奴のロックは解除出来ず、下手に触れば不正アクセスをされた事がバレてしまう為に一度きりで手を引いた
だが目を盗んで此処迄来て、なにもなく帰るのも性には合わない為に興味すら湧かなかった自分の事について調べた
そして後に拓海が見た内容と同じ事が書かれており、其を見終えたと同時に開いた奥の扉
「 来いってか.... 」
俺のファイルのロック番号はクソだと思う程に単純であり、敢えて見せるようにも見えた
性格が悪い黒澤の事だから何か企んでるのだろうと、扉の方ほと行きながら持ってきていた拳銃を取り出しエレベーターへと乗り込む
地下へ行くボタンは既に押されたように明かりがつき、扉が閉まれば降りていく
普段、地下へと行く時よりも尚更下に行ってるような感覚があるほど降りていく時間は長い
「 ....此処はなんだ? 」
エレベーターが開き、拳銃を構えたまま中へ進む
薄暗く明かりさえ然程ない通路や部屋は、研究室にも見える
視線の端にある縦に並ぶカプセル
緑色のような液体と共に、赤子が入ってるのを見れば試験管ベイビーを造る場所だと言うことは理解できる
「 ....研究室にしては、人が居ないな 」
それとも隠れてるのか、気配がない事に疑問を抱き、そして更に奥へと進んだ部屋を開けば目の前にある横に置かれたカプセルは、此処迄に見たものとは違っていた
明らかに何かを守るように頑丈な強度ガラスで造られたカプセルに近づき、そっと中を覗き込む
「 なっ....! 」
それは緑色の液体に入った俺と瓜二つの顔をした男性だった
全裸だし、いや、それはどうでもいいんだが
この男性の身体には俺達にある刺青はない
実験台やら試験管ベイビーにも見えないほどに、只眠ってるだけの男性だが自分と同じ顔は気味悪く、拳銃を向けていた
「 ....気持ち悪っ。死ね 」
引き金へと手を掛けた俺は、カプセルへと繋がるホースに銃口を向けていれば、背後に感じる気配に振り返る
「 誰だ!? 」
「 その人を殺さないで 」
「 ....は? 」
何処かで聞き覚えのある声
だが、直ぐに頭には過らず拳銃を声のした方へと向けたまま気を張って意識を集中する
暗闇から姿を見せた男は、身長共に俺の知る人物だ
「 ....っ、拓海じゃないな 」
「 そうだね。その名前では無いことは事実。俺の恋人に拳銃なんて物騒なの向けないで.... 」
「 恋人?コイツがか.... 」
拓海ではない、なら誰だ?
同じ年齢の者で同じ顔の奴は見たことがない
初めて見る拓海と瓜二つ、だがこっちの方が髪の長い男と、そしてカプセルに入った俺と瓜二つの男
その説明をしてくれと思いながら、銃口を男に向けていれば、彼はカプセルへと近付きガラスに触れ覗き込む
こいつに、俺の存在など興味ないことは直ぐに分かった
此処に、同じ顔の俺がいても無視をしているのだから
「 そう、ルイス。俺の恋人....。ずっと寝てる、俺も普段は寝てるけど、ルイスの方が長く寝てる.... 」
寝てる、だけ?
液体がはいり口にチューブもなにもつけてなく、呼吸をしてるとは心底思えないが男の言葉は嘘には思えず、拳銃を降ろしホルスターへと入れその前へと立つ
見下げればやっぱり同じ顔だ
「 大好きなんだ。俺の恋人.... 」
恋人と言うには余りにも嬉しそうには言わない
寧ろ、悲しそうな声で呟くからこそ俺にはやっぱりコイツが生きてるようには思えなかった
まるで人形のように寝てるだけの男を只、見ていれば拓海と同じ顔をしたこいつは動き出し、カプセル横にあるスイッチを押しガラスの扉を開いた
白い煙が漏れ、同時に液体は徐々にホースから流れ消えていく
カプセルの中身が無くなると同時に男は近くにあった白衣を掴み身体を抱き上げ身体に被せ着せる
「 おはよう、ルイス。少し散歩に行かない? 」
「 .....今日は何年の何月何月、何時何分だ? 」
喋るとは思わず目を開けた男が最初に開いた言葉は、現状確認だった
その質問に、男は白衣のポケットに入っていた腕時計を見てから今日の日付と時間を正確に答えれば、彼はゆっくりとカプセルから出て来た
「 そうか、よく寝た。アラン、散歩と行ったな....何処に行くんだ? 」
「 ちょっとぶらぶらしよ 」
なにも言わず俺にその光景を見せるように、アランと呼ばれた拓海と同じ顔をした男は片手を引き歩き出した
俺はその少し離れた後ろから着いていく
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