上 下
165 / 193
番外編

04

しおりを挟む

~ 颯 視点 ~


秘密主義の黒澤 鴉史について何か知れればいいと思って、データベースへとアクセスをした

流石に彼奴のロックは解除出来ず、下手に触れば不正アクセスをされた事がバレてしまう為に一度きりで手を引いた

だが目を盗んで此処迄来て、なにもなく帰るのも性には合わない為に興味すら湧かなかった自分の事について調べた

そして後に拓海が見た内容と同じ事が書かれており、其を見終えたと同時に開いた奥の扉

「 来いってか.... 」

俺のファイルのロック番号はクソだと思う程に単純であり、敢えて見せるようにも見えた
性格が悪い黒澤の事だから何か企んでるのだろうと、扉の方ほと行きながら持ってきていた拳銃を取り出しエレベーターへと乗り込む

地下へ行くボタンは既に押されたように明かりがつき、扉が閉まれば降りていく
普段、地下へと行く時よりも尚更下に行ってるような感覚があるほど降りていく時間は長い

「 ....此処はなんだ? 」

エレベーターが開き、拳銃を構えたまま中へ進む
薄暗く明かりさえ然程ない通路や部屋は、研究室にも見える

視線の端にある縦に並ぶカプセル

緑色のような液体と共に、赤子が入ってるのを見れば試験管ベイビーを造る場所だと言うことは理解できる

「 ....研究室にしては、人が居ないな 」

それとも隠れてるのか、気配がない事に疑問を抱き、そして更に奥へと進んだ部屋を開けば目の前にある横に置かれたカプセルは、此処迄に見たものとは違っていた

明らかに何かを守るように頑丈な強度ガラスで造られたカプセルに近づき、そっと中を覗き込む

「 なっ....! 」

それは緑色の液体に入った俺と瓜二つの顔をした男性だった

全裸だし、いや、それはどうでもいいんだが
この男性の身体には俺達にある刺青はない

実験台やら試験管ベイビーにも見えないほどに、只眠ってるだけの男性だが自分と同じ顔は気味悪く、拳銃を向けていた

「 ....気持ち悪っ。死ね 」

引き金へと手を掛けた俺は、カプセルへと繋がるホースに銃口を向けていれば、背後に感じる気配に振り返る

「 誰だ!? 」

「 その人を殺さないで 」

「 ....は? 」

何処かで聞き覚えのある声
だが、直ぐに頭には過らず拳銃を声のした方へと向けたまま気を張って意識を集中する

暗闇から姿を見せた男は、身長共に俺の知る人物だ

「 ....っ、拓海じゃないな 」

「 そうだね。その名前では無いことは事実。俺の恋人に拳銃なんて物騒なの向けないで.... 」

「 恋人?コイツがか.... 」

拓海ではない、なら誰だ?
同じ年齢の者で同じ顔の奴は見たことがない
初めて見る拓海と瓜二つ、だがこっちの方が髪の長い男と、そしてカプセルに入った俺と瓜二つの男

その説明をしてくれと思いながら、銃口を男に向けていれば、彼はカプセルへと近付きガラスに触れ覗き込む

こいつに、俺の存在など興味ないことは直ぐに分かった
此処に、同じ顔の俺がいても無視をしているのだから

「 そう、ルイス。俺の恋人....。ずっと寝てる、俺も普段は寝てるけど、ルイスの方が長く寝てる.... 」

寝てる、だけ?
液体がはいり口にチューブもなにもつけてなく、呼吸をしてるとは心底思えないが男の言葉は嘘には思えず、拳銃を降ろしホルスターへと入れその前へと立つ

見下げればやっぱり同じ顔だ

「 大好きなんだ。俺の恋人.... 」

恋人と言うには余りにも嬉しそうには言わない

寧ろ、悲しそうな声で呟くからこそ俺にはやっぱりコイツが生きてるようには思えなかった

まるで人形のように寝てるだけの男を只、見ていれば拓海と同じ顔をしたこいつは動き出し、カプセル横にあるスイッチを押しガラスの扉を開いた

白い煙が漏れ、同時に液体は徐々にホースから流れ消えていく
カプセルの中身が無くなると同時に男は近くにあった白衣を掴み身体を抱き上げ身体に被せ着せる

「 おはよう、ルイス。少し散歩に行かない? 」

「 .....今日は何年の何月何月、何時何分だ? 」

喋るとは思わず目を開けた男が最初に開いた言葉は、現状確認だった

その質問に、男は白衣のポケットに入っていた腕時計を見てから今日の日付と時間を正確に答えれば、彼はゆっくりとカプセルから出て来た

「 そうか、よく寝た。アラン、散歩と行ったな....何処に行くんだ? 」

「 ちょっとぶらぶらしよ 」

なにも言わず俺にその光景を見せるように、アランと呼ばれた拓海と同じ顔をした男は片手を引き歩き出した

俺はその少し離れた後ろから着いていく

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子学園でエロい運動会!

ミクリ21 (新)
BL
エロい運動会の話。

メス落ち♡からの創世再始動

ひづき
BL
赤い蔓状の触手に捕まり、幼少期から知り合いの神父に空中で犯される青年アリスタ。 地上には無数の死体があるのに、それどころじゃないのに、きもちいい♡らめぇ♡ 人外攻め/強姦/空中浮遊/野外露出/触手/流血/小スカ匂わせ/嘔吐イキ/攻めフェラ(ノドコキ)/メス落ち/男体妊娠匂わせ/惨殺/転生/公開プレイ(観客は死体オンリー)/精神破壊/洗脳………などなど順不同 以上を詰め込んだ頭の悪いお話です。 なるべくグロくならないよう、さらっと、しれっと略したら全体的に短くなりました! ひとつでもダメだと思った方は読まずに引き返して下さい。 宜しくお願い致します。

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】息子とすることになりました♡

みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。 近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。 章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。 最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。 攻め:優人(ゆうと) 19歳 父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。 だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。 受け:和志(かずし) 43歳 学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。 元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。 pixivにも投稿しています。

【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】

海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。 発情期はあるのに妊娠ができない。 番を作ることさえ叶わない。 そんなΩとして生まれた少年の生活は 荒んだものでした。 親には疎まれ味方なんて居ない。 「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」 少年達はそう言って玩具にしました。 誰も救えない 誰も救ってくれない いっそ消えてしまった方が楽だ。 旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは 「噂の玩具君だろ?」 陽キャの三年生でした。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...