137 / 193
番外編
04
しおりを挟む拓斗さんと食事の日がやって来た
正直、お兄ちゃんに出会い系で知り合った男性と会うことをお願いしたけどお兄ちゃんの事だから、ハッキリ伝えて其処で終わると思う
それでいい、私には拓斗さんがいるのだから会ってみようなんて言った人が幻滅してくれればそれで十分
心の何処かでお兄ちゃんが心配だけど今は楽しもうと学校が終わり一度家に戻り着替えてから、待ち合わせ場所へとやって来た
5分ほど先に早く来てしまった事に相手からすれば待ち浴びてるような感じになることに少し恥ずかしいけれど、ぴったりに来る方が難しい
なんせ、家から歩いて来たのだから時間過ぎてるとも思ってたぐらい
気取った踵のある白のブーツ、既に歩いてきたから多少痛いけれどデートなんだからと思えば気にしなくなる
夕方の肌寒くなる時間帯、厚手の服を着てきた事に安心しながら待ち合わせ場所である映画館があるショッピングモールの入り口付近で待っていれば向こうから歩いてくる姿に気づく
『 あ、こんば.....ん? 』
ふっと、私と目があって立ち止まった彼はずっと此方を見てくる
それも顎に手を置いてじろじろと見てくる様子はなにかを考えてるようにも見える
『( まさか、男ってばれた!? )』
厚手の服を着てるからちょっとがたいはよく見えるかも知れないけど、華奢な部分だけは自慢できると思いドキドキとしていれば、彼は考えを止めにこにこと笑って目の前に来た
相変わらずのハーフみたいな格好いい外見と金髪と青い目はにこやかに笑って告げた
「 こんばんは。待ってる子が余りにも可愛いから目に焼き付けていたよ。ガーリーコート似合ってる 」
『 !?あっ、ありがとうございます.... 』
時間ぴったりにやって来た拓斗さんの言葉に頬が熱くなるのが分かる
手元がもふもふとしたガーリーコートだけど膝より短くミニスカートを履いた脚は膝から見える
けれど男の生足なんて抵抗があるためにカラータイツを履いている
可愛い、って言われたから少し嬉しくて男だと思われてない事に安心感はあるも胸はチクリと傷んだ
それを誤魔化すように笑顔を向ける
『 そうだ、映画ですよね!なに見るんですか? 』
拓斗さんもまたショッピングモールへと脚が動けば何気無くその横を歩き問い掛けてみれば彼は何処か考える素振りを見せた
「 実は考えてないんだよね 」
『 ええっ.... 』
「 ほら、陽ちゃんの好きな映画を俺も観たいからさ。その場で決めればいいかなって 」
入り口入ってすぐにあるエレベーターのボタンを押し、降りてくるのを待ちながら答えた拓斗さんの言葉に嬉しいけれど申し訳ない気もする
私は映画館等来たことないからどんな映画が好きだと言われても....
返事に困り そうですねぇ、なんて言葉を濁しエレベーターが来れば先にどうぞとばかりに開けてくれた拓斗さんの然り気無い
レディーファーストを受けながらエレベーター入ってすぐの真正面を見れば映画のポスターなどがある
『 アトラクション系とか観てみたいです 』
「 激しいの好きだよね。でも、俺もそれは気になっていたんだよね 」
前にゲームセンターで遊んだときに玩具と言えど銃の使い方が上手い拓斗さんを思い出し気にはなる
それに、お兄ちゃんは本物を持ってたから尚更かな
『 これにしましょ? 』
「 いいね、新シリーズだし。気になるのは観てみよう 」
三階にたどり着きエレベーターを降り
シマネ館へと入り私がどうすればいいか考えてる間に拓斗さんはチケットの購入に向かっていた
「 大人2枚で 」
「 畏まりました 」
『 あ、私.... 』
自分の分は出します!って言葉は拓斗さんが自らの唇に人差し指を当てた事で防がれた
その子供っぽいのに大人びた雰囲気に言葉は消え会計を任せてしまえば彼はチケットの片方を私に差し出してから、ポップコーンの前へと来た
「 買う? 」
『 いえ、観ながらは食べませんね 』
「 同じだね、俺もなんだよねー。なら見終わってから食べようか 」
『 はいっ 』
ポップコーンや飲み物を買うのを止めて、拓斗さんの後ろを着いていき、上映される場所へと入ればそそくさ後方の席へと行く彼は前を見て告げる
「 どっちがいい? 」
『 私、通路側で! 』
「 んじゃ、俺はこっちだね 」
中央側へと座った拓斗さんの横に座る
映画館ってこんなにも人との距離が違い事に胸が高鳴りドキドキしていれば彼は片手を差し出した
「 ほら、俺の手に片手のせて 」
『 なんで、ですか? 』
「 そりゃ驚いたときの反応みたいから 」
『 っ.... 』
恥ずかしいのに手を握ることは嫌ではなく、寧ろ嬉しくてそっとその手の平へと自分の手を重ねればまるで恋人繋ぎのように指は重なり握られる
私より一回りは大きな手に少し驚き、恥ずかしさより男らしい手を指で撫でていれば彼はクスリと笑った
『 えっ....なんですか? 』
「 可愛いなって..... 」
『 っ~~!始まりますよ。黙ってください 』
「 予告だけどね、分かったよ 」
そうやって私の心を簡単に乱す拓斗さんに繋がった手の平から心音が伝わるんじゃないかと思うほど心拍数は早くなる
時より此方へと顔を向けクスリと笑っては前を向く彼に予告の内容など頭に入らなかった
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
メス落ち♡からの創世再始動
ひづき
BL
赤い蔓状の触手に捕まり、幼少期から知り合いの神父に空中で犯される青年アリスタ。
地上には無数の死体があるのに、それどころじゃないのに、きもちいい♡らめぇ♡
人外攻め/強姦/空中浮遊/野外露出/触手/流血/小スカ匂わせ/嘔吐イキ/攻めフェラ(ノドコキ)/メス落ち/男体妊娠匂わせ/惨殺/転生/公開プレイ(観客は死体オンリー)/精神破壊/洗脳………などなど順不同
以上を詰め込んだ頭の悪いお話です。
なるべくグロくならないよう、さらっと、しれっと略したら全体的に短くなりました!
ひとつでもダメだと思った方は読まずに引き返して下さい。
宜しくお願い致します。
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる