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番外編
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しおりを挟む早乙女 葵
11歳で実技訓練主席で卒業し
12歳で幹部の仕事をこなし
14歳で組織を抜け逃亡した
同期である俺と匹敵する相手だとは知っている
組織の機密情報を外へと流し外部から壊しにかかることを計画してたらしいけど
政府の管理してるこの組織はそう簡単に壊れるわけでもなく多額の金で口封じなんてお手の物
早乙女の思い通りにはならないと思ってたんだけど
目をつけたのは一ノ瀬 颯の所有する大手外資系企業
それは表向きは医療器具や薬を扱ったものを国を通して世界に配布し利益を得る
医療関係の会社だけど、その裏は同族が働く場所でもあり
薬に見せ掛けた大量の火薬やら武器を売る裏企業
政府の為ならどんな手段も選ばないと言われ、実際にトップである颯は政府の命令を受け医者だろうか患者だろうと、命令一つで殺していく
それに反発する者も多いのは確かだけど、だからと言って一人の逃亡者が反抗できるほど小さな会社ではない
もっとこう、颯本体から落とさないと
その横に立つ全てを握る黒幕は嘲笑うだけ
颯は只の操り人形、その横に立つ男こそ本物のトップなんだけど早乙女が何処まで情報を得てるのか気にはなる
もし、颯はトップでもなく只の社長と言う座に座る同族だと知っていれば彼を狙う筈も無いのだが....
「( 何処まで知ってるか....いや、まずは今回の取引を何処の国に流そうとしてるのか探るのが先だね )」
遊馬がチップを金へと交換しに行く間に、手に持った拳銃の弾を分解し麻酔弾を埋め込む
当たった時に無数の針が出る仕組みなんだけど、遊馬君に此を持たせようと思う
あの子はきっと、怒ると手のつけれない怒り猿になりそうだからね....
「 拓さん、お金に変えてきました。後、ざっと聞いてきたけど早乙女はいないみたいです 」
「 ありがとう。時刻は23時過ぎね....とりあえず次の停泊は三日後。其までに情報掴んで三日後に仕掛けるよ 」
置かれた鞄と共に投げ渡した拳銃を受け取った彼はそれを見た後に首を捻る
「 何故三日後なんですか?今日じゃダメなんっすか? 」
「 考えてみなよ此所は船の上だよ?一般客もいるなかで騒ぎなんて起こしたら大パニック、ニュースにもなる。停泊直前に終わらすのが一番でしょ、俺達もそそくさずらかり易いし 」
一時は海斗に迷惑かけずに暮らせる程度のお金は手にいれた
颯に月々に返す分のお金を考えても余裕はある、帰って何を食べさせてあげようかなと思う俺は正直このまま仕事を放棄してもいい
早乙女が絡んでるって言う情報だけでもかなりの習得だし、彼が表に出てうろうろし始めたのなら探りやすいでしょ
「 じゃ、三日後迄なにするんですか? 」
「 もちろん豪華客船に乗った楽しみを味わうんだよ。その中で、取引現場知れたらいいですねぇ~情報分かればいいですねぇ~位だよ 」
「 そんな呑気な!今日取引されたら盗聴出来ないじゃ無いっすか! 」
「 ....いや、それはないね 」
「 何故ですか? 」
もう疲れて眠いと椅子から降りてベッドへと倒れ、上質な羽毛布団とシルクの触り心地のシーツに頬は緩む
けれど、今にも頭が沸騰しそうな彼の様子を見れば面倒さいと思いながら身体を仰向けにさせスマホを取り出し陽妃からのメッセージをやっと返しながら答える
「 黒いダイヤはそう簡単に動かすことは出来ない。動かすなら船を出る前にするでしょ 」
「 ....そういうもんなんですね 」
「 そうだよ。こういう時仕事って忍耐必要だよ。地道に地道に相手の出方を伺う....颯の一番苦手な仕事。だから俺に任せる 」
仕事、疲れた~お疲れ様!そっちは学校どうかな? なんて今の心境から遥かに無理があり、態とらしい内容のメッセージだけど此のぐらいの差が丁度いい
「 そう言えば、なんで拓先輩の方が颯先輩より年上なのに任務受けてんっすか? 」
ベッドの間スペースに座る彼に背中が僅かに沈む感覚と言葉に小さく鼻で笑う
「 それは俺が犬だからよ 」
「 犬?俺も愛犬ですし、っ....! 」
腕を引き、油断してた彼は簡単にベッドへと身を沈め俺はその首筋にナイフを当てた
「 君は愛玩動物。だけど俺は彼の忠実な犬....君を殺せと命令貰えば殺せるし実の息子も友人でさえ殺せるよ 」
「 ....流石、二つ名が" 嫉妬の番犬 "だけありますね.... 」
ナイフを向けられいても軽く笑う様子は何処か颯を思い出させる
似てる顔立ちだけど遊馬の方が大人びて凛々しい容姿はきっと颯が発達してたらこうなっていたんだと思うほど
その顔に" 嫉妬 "する
「 君の二つ名は...." 憤怒の猿 " だったかな....? 」
「 よく御存知で.... 」
「 そりゃ二つ名を与えられてるのは現段階で七人しかいないからね 」
にこりと笑った俺に彼は一つ息を吐き自らを落ち着かせようとしてるのが分かる
表情は豊かなのにそれを隠すように他人への怒りを持つ
この状態で俺が上にいるのも気に入らないほどに颯以外に尾を揺るのが嫌なのだろ
でもね、それは俺も同じなんだよ
「 猿と犬が犬猿の仲だとはよく言ったものだよね。俺は颯が君を拾って来たときから大嫌いだよ.....俺が仲良く出来ない間に随分とベタベタしてくれたらしいじゃん? 」
「 本当、奇遇っすね。話聞いて怒り狂いそうでした。俺の父親になにしてくれてんっすか?ぶっ殺しますよ? 」
颯、俺とこの子を一緒にさせたのは間違いかもしれないよ
どちらも互いに羨ましがってる反面嫌ってる相手なのに一緒に任務がこなせるなんて思えない
「 っ、本当。憤怒で短気....よく組織にいられるよね 」
「 捨て駒相手に嫉妬しないでくれます?滅茶苦茶ウザイ。周りの奴殺してんの知ってんすよ、裏切り者が 」
「 ....君、颯に見せるときの顔と性格違いすぎて驚きなんだけど。笑える 」
腹を蹴り飛ばした彼によってベッドから倒れた俺は起き上がりるも、首付く赤い線をものともしない遊馬は手についた血を舐め口角を上げた
その表情はまさに嘲笑う颯そのものだった
「 そりゃ大好きな人だからです。貴方に手助けに来たのが間違いでした。俺は俺で情報探るんで勝手に寝てていいっす。寧ろ永眠しろ犬野郎 」
吐き出して部屋を出ていった遊馬にあの子の怒りは本当に小猿並に直ぐにカリカリするよねって溜め息は漏れる
けれど、颯の傍にごく普通に居られる理由がある遊馬君は気に入らない
「 颯の子じゃなければ殺してた。くそっ.... 」
小さい頃から傍にいて、笑っていたのを知ってる
俺の知らない颯も見てるだろう、なんて腹が立つのかな....
煮える嫉妬心の八つ当たりの先は
早乙女へと向けようと決意した
やっぱり、殺そう
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