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番外編
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しおりを挟む馬鹿みたいにヒーロー気取ってみて
油断して、撃たれて死にました
なんてくそカッコ悪いなと思ってたけどどうやら俺はまだ死んでなくて....
意識が有ることに更にくそカッコ悪いと思った
目を開けるのも億劫で気絶ふり決めのば、耳に届くのは俺の鞄をひっくり返して見物する奴等
「 只のクソガキにしてはよく動くと思ったが、入ってるのは教科書と学生証程度かよ.... 」
「 だが、噂で聞く政府の管理してる犬って可能性もねぇか? 」
「 あ?こんなオール1、2を行き来する奴があるか 」
「( 悪かったな、オール1と2で.... )」
その様にしろと言われてるのだから仕方ないのだが敢えて馬鹿そうな奴に言われると腹立つっすね....
軽く手首を動かせば鎖で繋がれてることや、撃たれたのが肩だと分かれば下手に攻撃しかけても此方が負けるだけ
でも、捕まって情報得られず逃げたらそれこそ颯さんに殺されそうだ
" 使えねぇ犬が!それでも俺の犬か! "
なんて声がリピートされる位浮かんだから逃げるのは選択肢から外れた
じゃ、全員殺すか?と考える
" 口を割って殺せ!また陽を狙った奴が来たら、次は御前を殺すぞ "
「( うん、これもダメっすね.... )」
流石に颯さん殺されたくはないと解決案を考えていれば男達は有るものを見付けたらしい
「 君達、此は貴重じゃないかい? 」
「 なんだよ、只の古びたネックレスだろ? 」
「( !! )」
厳つそうな声の男達とは別に、ナルシストっぽい口調の男が告げた物に僅かに目を開け自分の首元を見れば肌身離さず持っていた、ネックレスが無いことに気付く
「 馬鹿ですねぇ。此には" Mitt kära barn "って書かれてるのですよ 」
「 みぃっ、ちゃら....ってなんだよ? 」
「 Mitt kära barn。私の愛する子って意味ですよ。英語ではなくスウェーデンの我が子に贈る最愛の言葉ですね 」
「( っ、おとうさん.... )」
この言葉の意味を知ったのは小学生5年生の頃に必死で辞書をひっくり返して知った
私の愛する子、それは自分の子供に贈る言葉であって只の犬に贈るはずが無いことを知ってどれだけ嬉しかったか....
立場上、父と名乗れない組織の人が唯一我が子だと言う証に何かしら贈る習慣があるのは知った
「 ってことは、このクソガキって 」
「 えぇ、103.158二つのNo.が画かれてる。103は噂では一ノ瀬 颯のNo.この子は正真正銘、彼の子ですよ。えぇ、いい拾い物をしましたね 」
「 只の子猿かと思えばガキかよ。なら、がっぽり身代金をもらえるんじゃね? 」
No.を知ってると言うことは元組織の人間なのか、それとも情報を得た内通者かは知らないがこの人達に颯さんと俺の関係がバレた事に悔しくなる
「 さぁ、それはどうでしよ?噂では我が子に贈る物は謂わばGPSがついてるとか、付いてないとか 」
「 GPS!?なら壊すか! 」
「 焦ることも無いでしょ。なんせ彼自身が迎えに来ないことを自覚してんじゃないですか? 」
図星だった
颯さんはきっと陽妃さんは助けに来ても俺は自業自得だと放置すると思う
あの人の事だ、今頃陽妃さんが無事ならよかったと安心してそれで満足してると思う
「 ....そうっすね、もう....その通り過ぎてなんも言えないっす....あの人は、来ないと思いますよ.... 」
俺は所詮、水槽の中にいるゴミを食べるエビぐらい
目立つこともなければいつ死んだかも分からないような、エビの替えぐらい沢山いる
任務に行く前に何人が殺されたとか、そんな話を聞いても殺された子を悲しむものなんていない
何処の輩かと言う方が重要だからこそ俺達の扱いはまさに捨て駒
「 起きてやがったか!さっきに御返しだ!! 」
「 っ! 」
ドカドカと歩いてきて頬を殴った男にぐらっと身体は揺らぎ、咥内は血の味を感じた
この状況、どのみち俺が死んだら替えの犬を飼うだけ
そして生きてたら怒られるのは目に見えてる
「 ははっ....傑作、あの人は来ねぇのに、ムキになってさ....身代金?あの人が出すわけ.... 」
「 一ノ瀬颯と電話が繋がりました 」
「「 えっ 」」
「 金が欲しければくれてやる。だが、そいつを殺したらテメェ等全員全裸で公開処刑だと 」
「 そんな.... 」
何故、俺なんかない捨て駒に金を出すのか分からない
なんで、お父さん....
滲む涙と口に広がる血の味に奥歯を噛み締め、肩を振るわせれば厳つい男は高かに笑った
「 此所に来させろ!殺してやる 」
「 ふふふっ、随分と薄汚い小猿を可愛がる者も居るもんですね 」
顔を上げればナルシストの男はネックレスを床へと落とし取り出した拳銃を数発当てた
粉砕するそれに怒りが生まれるも怒れば彼等の思うつぼだと知ってる、知ってるのに腹が立つ
「 おやおや、悔しいですか?辛いですか?でも、パパを殺すまで其処で見ていてくださいね 」
ふふっと笑った男に男達は指を鳴らし其までに遊んでやるとばかりに笑った
俺の選択肢はどうしたらよかったんすか....
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