117 / 193
番外編
17
しおりを挟む
~ オマケ・愛犬の日常 ~
小さい頃から海斗の傍にいる拓海さん達の楽しげ様子に憧れ、陽妃の傍に居る颯さんの優しさに憧れていた
彼等は俺にとって最高の先輩であり同時に求めてるものを全て持った人達だった
俺には家族がいない
組織の人に世話され、餌を与えて、訓練をされていた生まれながらの番犬だと知っている
上司が任務を受けて世話される事もなく、只生きてきた俺にとって毎日が寂しくて仕方ない
そんな時に、憧れていた上司でもあり先輩の颯さんに拾われた
「 御前が15101158か? 」
「 なんっすか? 」
まだ幼稚園の頃
俺達と同じ年齢であり共に訓練を受けていた子達は一般の子より心の成長は早く何処か感情がないまま返事をする
此所では名前を呼ばれない、産まれたときに与えられた数字かそれとも海斗や陽妃のように引き取られた選ばれた子には名前がある
名無しの俺は組手をしていた相手に頭を下げて挨拶してから、呼ばれた人の元に行けば彼は隣に立っている彼の上司に告げた
「 こいつ貰っていい? 」
「 実力共に平均か、甘く見れば平均よりちょっと上だぞ 」
まるでペットショップにやってきた客が、適当に目をつけた魚を気に入って持って帰る位のレベルの口調
死んだら新しい魚を買うんだと思うけど、俺達に死ぬとか死にたくないとか、そんな面倒な感情は無く只答えを待っていた
「 十分。いい動きをしてたからな 」
「 そうか、御前が欲しいなら好きにしろ。後で契約書書けよ 」
「 サンキュー 」
売れ残った俺達は、死ぬための任務を受けるための只の捨て駒
たくさん生まれてる実験体の試験管ベイビーの中の一人だからこそ、直ぐに分かった
きっと本能だと思う
どんなに憧れてても、どんなに離れてたり容姿が違っても目が合えば自然と手を伸ばしたくなる相手は俺の....
「 許可が降りた。今日から御前は俺の犬だ 」
初めてくしゃりと頭を撫でられて、驚いたと同時にふわりと浮いた身体の浮遊感に目線を向けた
「 名を与えよう。綺麗な月毛の馬のような髪をしてるから遊馬。今日から御前は遊馬だ 」
彼より明るく白銀の髪
小さい頃は他人と違って気持ち悪いと言われていたけれどこうして見ると嬉しくなる
にこりと笑った颯さんは俺の頬へと口付けを落とした
「 ふあっ.... 」
「 沢山遊んで、可愛がってやる 」
仔犬を買ったようなそんなテンション
それでも俺に名前をくれた人は今日から俺のご主人様
「 遊馬、首輪を上げよう 」
直ぐに颯さんは俺にネックレスをくれた
馬のシルバー細工がついた、高価であり
それにて俺の名前と彼の名前が刻まれたもの
「 これ、なんてかいてある?よめない.... 」
訓練はやっていても言葉はまだ幼児のままで、英語のようにけれど違う言葉っぽくて傾げれば彼は俺の首にネックレスをつけてから馬のシルバー細工へと口付けを落とす
そして、告げた言葉はスウェーデン語だった
「 この意味を分かるまで内緒だ 」
「 んー、わかったです!しゅくだいですね 」
「 そう宿題だ 」
そのネックレスは後に同じ、けれどシルバー細工が違うものを陽妃が持ってるのを知ったけれど俺には余り興味なかった
彼が最初にくれたのは俺であり、陽妃さんはその後、それだけで優越感に浸るし彼が此所にいる間は俺の傍にずっといてくれから嬉しくなる
只、俺は後に拓海さんから聞くまでこの人が見えてなかったとは知らなかった
白馬のような髪、と言ったのは誰からか聞いたのだろ
それとも俺のイメージかは分からない
只、彼は組手を見る事なく俺のナンバーを呼んだのは確かだった
でも....この時の颯さんは19歳ぐらいだから手術し終わってるよな?
彼が俺を選んだ理由を考えながら先へと進む
「 遊馬、フリスビーで遊んでやろう。避けろよ? 」
「 と、とら....ぎゃっ!! 」
訓練所に連れてこられ、何をするのかと思えば徐に拳銃に玉を入れそのまま発砲してきた颯さんに普通に驚いて涙目で逃げた
実弾なんて始めてだし、ご主人からごく普通に撃たれるなんて思わなかった
「 御前の足音はよく分かる。バタバタ駆け回って、もう少し音を小さくしろ 」
学校の屋内体育館みたいに走ればきゅっきゅっと滑る音と共にドタバダと重みのある音も響く
それにて銃声は更に響くから、俺の位置なんて的確に分かるのだろ
ズダンッ!!と音と共に身体に走った衝撃に前へと滑るように倒れた
「 うっ.... 」
まだ小学生にもなってない子供には感情は抑えていても恐怖は有り、泣きそうになる
「 泣くなよ。俺の犬なら.... 」
赤く染まった肩に手を置き歩いてきた颯さんはカランっと空の弾を落とし新たに入れれば、引き金を引いた
「 ぐふっ....! 」
額に当たった衝撃と共に倒れて、目を閉じた俺は死んだかと思ったけど痛みはそんなに無くて、彼は笑った
「 今日で5回は死んだな 」
「 えっ、なんじゃこりゃ!? 」
ガバッと起き上がれば身体は真っ赤に染まってるけど、ベトベトもしてる気がすることに驚いて言えばケラケラと声を上げる
これだけこの組織の人が素直に笑ってるのを初めて見た
「 俺、特製トマトソース弾。当たった場所は分かるだろ?因みに赤の着色料入りだから落ち辛いぞ~多分 」
「 うわ....トマト 」
トマトソースの使った銃弾をこの日から毎日、毎日、毎日嫌と言うほど当たったりするからそのせいでトマト嫌いになったのは言うまでもないっすよね
「 さて、風呂に入るか~。行くぞ、遊馬 」
「 わんっ! 」
「 ふはっ、可愛いやつ 」
ふざけて吠えて返事をすれば俺の頭を不器用にもくしゃりと撫でるその手が好きだ
小さい頃から海斗の傍にいる拓海さん達の楽しげ様子に憧れ、陽妃の傍に居る颯さんの優しさに憧れていた
彼等は俺にとって最高の先輩であり同時に求めてるものを全て持った人達だった
俺には家族がいない
組織の人に世話され、餌を与えて、訓練をされていた生まれながらの番犬だと知っている
上司が任務を受けて世話される事もなく、只生きてきた俺にとって毎日が寂しくて仕方ない
そんな時に、憧れていた上司でもあり先輩の颯さんに拾われた
「 御前が15101158か? 」
「 なんっすか? 」
まだ幼稚園の頃
俺達と同じ年齢であり共に訓練を受けていた子達は一般の子より心の成長は早く何処か感情がないまま返事をする
此所では名前を呼ばれない、産まれたときに与えられた数字かそれとも海斗や陽妃のように引き取られた選ばれた子には名前がある
名無しの俺は組手をしていた相手に頭を下げて挨拶してから、呼ばれた人の元に行けば彼は隣に立っている彼の上司に告げた
「 こいつ貰っていい? 」
「 実力共に平均か、甘く見れば平均よりちょっと上だぞ 」
まるでペットショップにやってきた客が、適当に目をつけた魚を気に入って持って帰る位のレベルの口調
死んだら新しい魚を買うんだと思うけど、俺達に死ぬとか死にたくないとか、そんな面倒な感情は無く只答えを待っていた
「 十分。いい動きをしてたからな 」
「 そうか、御前が欲しいなら好きにしろ。後で契約書書けよ 」
「 サンキュー 」
売れ残った俺達は、死ぬための任務を受けるための只の捨て駒
たくさん生まれてる実験体の試験管ベイビーの中の一人だからこそ、直ぐに分かった
きっと本能だと思う
どんなに憧れてても、どんなに離れてたり容姿が違っても目が合えば自然と手を伸ばしたくなる相手は俺の....
「 許可が降りた。今日から御前は俺の犬だ 」
初めてくしゃりと頭を撫でられて、驚いたと同時にふわりと浮いた身体の浮遊感に目線を向けた
「 名を与えよう。綺麗な月毛の馬のような髪をしてるから遊馬。今日から御前は遊馬だ 」
彼より明るく白銀の髪
小さい頃は他人と違って気持ち悪いと言われていたけれどこうして見ると嬉しくなる
にこりと笑った颯さんは俺の頬へと口付けを落とした
「 ふあっ.... 」
「 沢山遊んで、可愛がってやる 」
仔犬を買ったようなそんなテンション
それでも俺に名前をくれた人は今日から俺のご主人様
「 遊馬、首輪を上げよう 」
直ぐに颯さんは俺にネックレスをくれた
馬のシルバー細工がついた、高価であり
それにて俺の名前と彼の名前が刻まれたもの
「 これ、なんてかいてある?よめない.... 」
訓練はやっていても言葉はまだ幼児のままで、英語のようにけれど違う言葉っぽくて傾げれば彼は俺の首にネックレスをつけてから馬のシルバー細工へと口付けを落とす
そして、告げた言葉はスウェーデン語だった
「 この意味を分かるまで内緒だ 」
「 んー、わかったです!しゅくだいですね 」
「 そう宿題だ 」
そのネックレスは後に同じ、けれどシルバー細工が違うものを陽妃が持ってるのを知ったけれど俺には余り興味なかった
彼が最初にくれたのは俺であり、陽妃さんはその後、それだけで優越感に浸るし彼が此所にいる間は俺の傍にずっといてくれから嬉しくなる
只、俺は後に拓海さんから聞くまでこの人が見えてなかったとは知らなかった
白馬のような髪、と言ったのは誰からか聞いたのだろ
それとも俺のイメージかは分からない
只、彼は組手を見る事なく俺のナンバーを呼んだのは確かだった
でも....この時の颯さんは19歳ぐらいだから手術し終わってるよな?
彼が俺を選んだ理由を考えながら先へと進む
「 遊馬、フリスビーで遊んでやろう。避けろよ? 」
「 と、とら....ぎゃっ!! 」
訓練所に連れてこられ、何をするのかと思えば徐に拳銃に玉を入れそのまま発砲してきた颯さんに普通に驚いて涙目で逃げた
実弾なんて始めてだし、ご主人からごく普通に撃たれるなんて思わなかった
「 御前の足音はよく分かる。バタバタ駆け回って、もう少し音を小さくしろ 」
学校の屋内体育館みたいに走ればきゅっきゅっと滑る音と共にドタバダと重みのある音も響く
それにて銃声は更に響くから、俺の位置なんて的確に分かるのだろ
ズダンッ!!と音と共に身体に走った衝撃に前へと滑るように倒れた
「 うっ.... 」
まだ小学生にもなってない子供には感情は抑えていても恐怖は有り、泣きそうになる
「 泣くなよ。俺の犬なら.... 」
赤く染まった肩に手を置き歩いてきた颯さんはカランっと空の弾を落とし新たに入れれば、引き金を引いた
「 ぐふっ....! 」
額に当たった衝撃と共に倒れて、目を閉じた俺は死んだかと思ったけど痛みはそんなに無くて、彼は笑った
「 今日で5回は死んだな 」
「 えっ、なんじゃこりゃ!? 」
ガバッと起き上がれば身体は真っ赤に染まってるけど、ベトベトもしてる気がすることに驚いて言えばケラケラと声を上げる
これだけこの組織の人が素直に笑ってるのを初めて見た
「 俺、特製トマトソース弾。当たった場所は分かるだろ?因みに赤の着色料入りだから落ち辛いぞ~多分 」
「 うわ....トマト 」
トマトソースの使った銃弾をこの日から毎日、毎日、毎日嫌と言うほど当たったりするからそのせいでトマト嫌いになったのは言うまでもないっすよね
「 さて、風呂に入るか~。行くぞ、遊馬 」
「 わんっ! 」
「 ふはっ、可愛いやつ 」
ふざけて吠えて返事をすれば俺の頭を不器用にもくしゃりと撫でるその手が好きだ
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる