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番外編

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~ オマケ・愛犬の日常 ~


小さい頃から海斗の傍にいる拓海さん達の楽しげ様子に憧れ、陽妃の傍に居る颯さんの優しさに憧れていた

彼等は俺にとって最高の先輩であり同時に求めてるものを全て持った人達だった

俺には家族がいない
組織の人に世話され、餌を与えて、訓練をされていた生まれながらの番犬だと知っている

上司が任務を受けて世話される事もなく、只生きてきた俺にとって毎日が寂しくて仕方ない

そんな時に、憧れていた上司でもあり先輩の颯さんに拾われた

「 御前が15101158か? 」

「 なんっすか? 」

まだ幼稚園の頃

俺達と同じ年齢であり共に訓練を受けていた子達は一般の子より心の成長は早く何処か感情がないまま返事をする

此所では名前を呼ばれない、産まれたときに与えられた数字かそれとも海斗や陽妃のように引き取られた選ばれた子には名前がある

名無しの俺は組手をしていた相手に頭を下げて挨拶してから、呼ばれた人の元に行けば彼は隣に立っている彼の上司に告げた

「 こいつ貰っていい? 」

「 実力共に平均か、甘く見れば平均よりちょっと上だぞ 」

まるでペットショップにやってきた客が、適当に目をつけた魚を気に入って持って帰る位のレベルの口調

死んだら新しい魚を買うんだと思うけど、俺達に死ぬとか死にたくないとか、そんな面倒な感情は無く只答えを待っていた

「 十分。いい動きをしてたからな 」

「 そうか、御前が欲しいなら好きにしろ。後で契約書書けよ 」

「 サンキュー 」

売れ残った俺達は、死ぬための任務を受けるための只の捨て駒
たくさん生まれてる実験体の試験管ベイビーの中の一人だからこそ、直ぐに分かった

きっと本能だと思う

どんなに憧れてても、どんなに離れてたり容姿が違っても目が合えば自然と手を伸ばしたくなる相手は俺の....

「 許可が降りた。今日から御前は俺の犬だ 」

初めてくしゃりと頭を撫でられて、驚いたと同時にふわりと浮いた身体の浮遊感に目線を向けた

「 名を与えよう。綺麗な月毛の馬のような髪をしてるから遊馬。今日から御前は遊馬だ 」

彼より明るく白銀の髪
小さい頃は他人と違って気持ち悪いと言われていたけれどこうして見ると嬉しくなる

にこりと笑った颯さんは俺の頬へと口付けを落とした

「 ふあっ.... 」

「 沢山遊んで、可愛がってやる 」

仔犬を買ったようなそんなテンション
それでも俺に名前をくれた人は今日から俺のご主人様

「 遊馬、首輪を上げよう 」

直ぐに颯さんは俺にネックレスをくれた
馬のシルバー細工がついた、高価であり
それにて俺の名前と彼の名前が刻まれたもの

「 これ、なんてかいてある?よめない.... 」

訓練はやっていても言葉はまだ幼児のままで、英語のようにけれど違う言葉っぽくて傾げれば彼は俺の首にネックレスをつけてから馬のシルバー細工へと口付けを落とす

そして、告げた言葉はスウェーデン語だった

「 この意味を分かるまで内緒だ 」

「 んー、わかったです!しゅくだいですね 」

「 そう宿題だ 」

そのネックレスは後に同じ、けれどシルバー細工が違うものを陽妃が持ってるのを知ったけれど俺には余り興味なかった

彼が最初にくれたのは俺であり、陽妃さんはその後、それだけで優越感に浸るし彼が此所にいる間は俺の傍にずっといてくれから嬉しくなる

只、俺は後に拓海さんから聞くまでこの人が見えてなかったとは知らなかった

白馬のような髪、と言ったのは誰からか聞いたのだろ
それとも俺のイメージかは分からない

只、彼は組手を見る事なく俺のナンバーを呼んだのは確かだった

でも....この時の颯さんは19歳ぐらいだから手術し終わってるよな?

彼が俺を選んだ理由を考えながら先へと進む

「 遊馬、フリスビーで遊んでやろう。避けろよ? 」

「 と、とら....ぎゃっ!! 」

訓練所に連れてこられ、何をするのかと思えば徐に拳銃に玉を入れそのまま発砲してきた颯さんに普通に驚いて涙目で逃げた

実弾なんて始めてだし、ご主人からごく普通に撃たれるなんて思わなかった

「 御前の足音はよく分かる。バタバタ駆け回って、もう少し音を小さくしろ 」

学校の屋内体育館みたいに走ればきゅっきゅっと滑る音と共にドタバダと重みのある音も響く
それにて銃声は更に響くから、俺の位置なんて的確に分かるのだろ

ズダンッ!!と音と共に身体に走った衝撃に前へと滑るように倒れた

「 うっ....  」 

まだ小学生にもなってない子供には感情は抑えていても恐怖は有り、泣きそうになる

「 泣くなよ。俺の犬なら.... 」

赤く染まった肩に手を置き歩いてきた颯さんはカランっと空の弾を落とし新たに入れれば、引き金を引いた

「 ぐふっ....! 」

額に当たった衝撃と共に倒れて、目を閉じた俺は死んだかと思ったけど痛みはそんなに無くて、彼は笑った

「 今日で5回は死んだな 」

「 えっ、なんじゃこりゃ!? 」

ガバッと起き上がれば身体は真っ赤に染まってるけど、ベトベトもしてる気がすることに驚いて言えばケラケラと声を上げる 

これだけこの組織の人が素直に笑ってるのを初めて見た

「 俺、特製トマトソース弾。当たった場所は分かるだろ?因みに赤の着色料入りだから落ち辛いぞ~多分 」

 「 うわ....トマト 」

トマトソースの使った銃弾をこの日から毎日、毎日、毎日嫌と言うほど当たったりするからそのせいでトマト嫌いになったのは言うまでもないっすよね

「 さて、風呂に入るか~。行くぞ、遊馬 」

「 わんっ! 」

「 ふはっ、可愛いやつ 」

ふざけて吠えて返事をすれば俺の頭を不器用にもくしゃりと撫でるその手が好きだ


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