すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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番外編

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それから直ぐに颯は目の手術が行われたらしく、学校には来なくなった
 
寮生活から、与えられた偽物の両親と共に過ごす俺は名を" 拓海 "と自ら名乗った

上司は偽の両親の記憶を改竄し
恰も俺を実の子供とばかりに思い込み接するように仕向けた

無理もない、彼等の長男はもう殺されてるのだから現実逃避と記憶を混乱する薬を使えば精神的に弱い人を思い込ませるのは簡単なんだ

俺は寮ではなく、このボロアパートに暮らしている

「 ....本当、傑作 」

買ってきていた颯への退院祝いのプレゼント
そんなものは何処にも無くて漁られていた痕跡もある

あの夫婦の問題点はギャンブル依存症

それを俺が息子の立場で止めさせるなり改善するなりしろって命令されてたのだが、こっちも学生としての生活やら任務もある
到底、両親迄も目が行き届く訳もなく苛立ちは募る

「 ダメだなぁ。リクと会ってから感情豊かになった気がする....殺さなきゃ 」

怒りと言う感情は消し去って、仕事としてやってる情報屋や任務の事を頭の片隅に考えながら明日の授業の準備をする

どんなに瞬間記憶力を持っていても、課題はこなさないと点数に響くから仕方無く渡された課題をやる

その頃の颯にも両親が出来て家族がいるらしく、俺と会うことも無くなっていた

「 御前さ、誰撮ってんの? 」

「 誰でもいいでしょ 」

中学二年生になってから別々のクラスになり、俺は颯と尚更会えないことに痺れを切らし仕事用のカメラを持ち、グランドで体育をしてる颯へと向けていた

「 盗撮....それもめっちゃ堂々と 」

「 いいんだよ、本人もきっと気付いてる 」

「 ......ストーカー並みに気持ち悪いぞ 」

「 ストーカー?失敬な、家までは着いていってないよ。家の前で待ち伏せはしてるけど 」

「 それをストーカーって言わないで何て言うんだよ 」

きゃっ、颯が体操着で顔を拭いてるなんて腹チラ見えたことに喜んでカメラのシャッター押しながら話に答える

「 ストーカーって付け回すことを言うんでしょ?俺は只、目線の先に彼がいるだけ 」

「 彼....写真撮ってたの男かよ、やべぇ奴.... 」

引いてるクラスメートを気にせずカメラのレンズを眺めていれば、颯の傍にやって来た女子生徒に嫉妬心を向けた

「 あの子!リクに触った!牛みたいな乳押し付けて!リクあんな、巨乳好きなの!? 」

「 リク?あぁ、一ノ瀬な....綺麗な顔してるし、女子にモテモテだよなぁ 」

「 ........ 」

腕を組まれても引き離す事のない颯も颯だけど、あの女もベタベタして何様のつもりなんだと嫉妬に腹が立つ

「 御前等、授業に集中しろ 」

「 うぃ、おい。拓海....前をみとけ 」

クラスメートの言葉を無視して外を眺める俺は、視界から颯が消えれば前を向いた

詰まらない勉強に溜め息すら出るも、其よりも颯が巨乳好きだと言うことに腹が立つ

俺には胸はない....

「 なっ、それでさーこいつったら 」

「 だからちょっと見てただけだし 」

理科の授業を終え、試験管を廊下にある手洗い場で洗いながら話をしていれば不意に男子は俺の腕に触れ視線を背後にやったことで、なんだろ?と見れば其処には颯がこちらに向かって歩いてきていた

「( わ、颯だ! )」

その事に嬉しくなり、話し掛けようと笑顔を向ける

「 リクッ! 」

お久し振り!退院したんだね、そう話そうとすれば一瞬此方を見た颯は冷たい目を向け女子達と共に立ち去った

「 えっ.... 」

「 うわ、明らかにスルーしたな 」

「 シカト決め込んだわ 」
 
颯?目が見えるようになって、傍にいたのが俺だと分からないの?

そう考えていた俺は、シカトされた事より気になり何気無く颯の行動を見ていれば確かに彼の近くには俺と同じ年齢であり
金髪に青い目をしたハーフの子がいた

「 颯、弟いるんだよね?可愛いー? 」

「 あぁ、可愛いよ 」

その子と話してるときの颯は俺に向ける笑顔と同じ様に笑っていた

「( あぁ、間違えてるんだ颯....その子じゃないんだよ )」

間違えてるなら正せばいい

俺と似た奴は必要ないと思った時には

行動していた

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