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番外編
03
しおりを挟む一時限目の授業が始まるほんの数秒前
八木 遊馬は急用な電話が来たらしく
直ぐに早退した
今日は遅刻してくるし、来てちょっとゆっくりしたと思えば早々に立ち去る
忙しい人だなと特に気にせず思っていたのだけど、一時限目に担当する教師は遊馬のお婆ちゃんが亡くなったことで早退した、と告げた
その事にはクラスメートも少しざわついた
ほんの今朝に、殺人事件が多いと話してた後だからこそ何かに巻き込まれたのかと思うけれど、年寄りのお婆ちゃんだと思うからきっと病気か寿命だろうと思う
遊馬がいなくなり、落ち着きを取り戻した教室は変わらない授業を進めていく
今日はごく普通に天気もよく、なにもなければ平和な一日だと思う
放課後のチャイムが鳴り響く
学校ある間はスマホを余り弄らないこそ全部の授業が終わり、夕方になっていく夕陽が教室に差し込む頃
スマホを取り出しメッセージを確認するも、拓斗さんからの返事は返ってきては無かった
『( 忙しいんだろうね....仕方ないか....相手は社会人だし )』
スーツを着てたからきっと会社に勤めてる仕事の人かと推測は出来る
まだ二回しか会ってないから、仕事の内容を聞くのは図々しいと思う
お兄ちゃんの仕事内容も余り知らないのだから、言ったり聞くもんでもないかとスマホをポケットに入れ教室を出ようと振り返る
『( あ.... )』
いつもなら休み時間の度に楽しそうに話していた、遊馬と海斗だけど今日の海斗は詰まらなさそうに静かだった
それよりも遊馬のことが心配してるみたいな彼の表情は何処か暗く教室を出ていった
クラスメートや私を含めて、遊馬のお婆ちゃんが死んだと聞かされても他人事なのにその人と親しい人は他人事ではない
なのに、他人事と思ってる人にこの話は過ぎ去った過去の事だからこそ海斗が暗い表情をしてても気付かないんだ
私もついさっきまで遊馬の事を忘れて、拓斗さんの事を考えていたのだから言える立場でもない
けれど、なんとなくほっては置けなくて教室を急いで出た
『 海....っ! 』
階段に差し掛かる寸前で降りた彼を追い掛けようと、横に立っていた二人の話してる男子を避けようとすれば急に脚に感じた衝撃とぐらっと揺らぐ視界に驚いた
「 ふはっ 」
鼻で嘲笑うかのように笑った男子はクラスメートではないのは分かる
けれど、この体勢から整える事など私には出来なくて一瞬の出来事に考えた次の思考は....落ちると言うことだ
「 !? 」
『 !! 』
女子達の虐めですら精神的に来てるのに同じ性別である男子からもされるとなると、相当私は嫌われてると思う
馬鹿みたいに笑ってるのが嫌になるほど、辛いと目を覚ました時には身体は落ち衝撃があった....いや、可笑しい
其処まで、痛みは無かった
「 おい、大丈夫か? 」
『 っ....はっ、あ、うん.... 』
確かに私は倒れて痛ければ目の前に座ってる海斗に驚いてキョトンとすれば、彼は怒ったように背後に立つ男子へと告げた
「 おい!ふざけるのも大概にしろ! 」
「 チッ、うっせ。根暗野郎 」
「 マジうぜっ 」
吐き出すように二人の男子はその場を離れて姿を消せば、背後を見てた私ははっと我に返り身体を動かし上から退いた
『 すみません!ありがとうございます! 』
彼もまた巻き沿いにあったのに私を反射的に守ったのか下敷きになるよう壁に背を打った様子の海斗は、少し眉を寄せるも落ちてる鞄を拾い上げ告げる
「 別にいい。足元には気を付けるんだな 」
『 あ、はい.... 』
何となく立ち去る一瞬の横顔が拓斗さんに似てた気がすると固まった私は、彼に慰めるか励まそうか考えてたのにそれすら出来なかったことに落ち込む
『 ....本当、ボロボロ 』
お兄ちゃんの様にかっこよく出来ないし
なにかを踏み出そうとすれば失敗して
まともに御礼すら言えないままに落ち込んでる
昔から泣き虫だとお兄ちゃんには言われてたけど、本当にその通りだと思うぐらい泣きそうな程に鼻先が痛む
『 もう少し....上手く出来たらいいのに.... 』
完璧を求めてはない
けれど、何処か一つでも上手くいって欲しいのだけどそれすら出来なくて悲しくなる
些細な虐めにも耐えれない精神に、只心の弱さを実感する
ゆっくりと靴箱へと行き、僅かに痛む足首を気にしながら学校にある駐輪場にて自分の自転車の場所にいく
『 ....本当、最悪 』
置いてあるはずの自転車は無くなり、鍵をかけ忘れていた事を思い出して鞄を持ちかえ家へと歩き始めた
夕焼けは綺麗なのに、私の心は曇って暗かった
今頃、拓斗さんは何をしてるのだろう
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