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番外編

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海斗の帰りを待とう、なんて思ってたけどそうもいかない情報が耳に届く

颯からは 貨物を調べて、なんて言った手紙だったけれど実際はその物について取引される場所は何処かの国の貨物なんてものではなく、ごく普通に一般人も乗せる豪華客船の中で行われると言う

豪華客船だけど、旅の抽選に当たった人は結構安く入れて其にて優雅に船の上を楽しむみたいなこと

俺みたいな貧乏人は、当選しても中で遊ぶお金なんて持ち合わせてないから意味ないのだけどね

「 さて、どうしようかな 」

豪華客船は現在、山口県の下関にして停泊してる

此処まで新幹線で片道約6時間なんて素晴らしい旅をしに来たんだけど、肝心の入る方法が分からない

勿論、新幹線代は颯持ちだ

海軍が検問して、チケットがある御客だけ中に入れるみたいだけど御客は豪華なドレスや高そうなスーツを着てる高貴な人っぽい

颯から借りたスーツを着てるんだけど
肝心のチケットは無いし
海軍なんて俺の顔がブラックリストによって知ってるような彼等がいるなんて聞いてない

「( 聞いてないよ、颯!! )」

まだ外国の潜入調査ならいいのだが、日本の豪華客船含めて潜入調査は事前の下調べがなければ、かなりの難易度が高い

一人できたのは間違いだと思う

船の構造や地図とかあればいいんだけどそれもない
船だから入るところもあの一ヶ所しか無さそうだし、20人以上は待機してる海軍全員と殺りあうとなると中に入る前に騒ぎで入れなくなる

とりあえず、一旦考えるかと眺めていた路地の影からその場を離れる

停泊時間は夜の17時まで、後2時間は時間があるからその間に計画を練って考えよう

「 駅弁食べたけどなにか食べたいな。お、お寿司あるじゃん 」

ここにはいい魚の市場がある為に寿司もまた新鮮だと、目についた回転寿司へと入っていく
値段は100円ではないけれど、それでも手軽の為に腹ごしらえをして落ち着こう

あの豪華客船が見える場所に座り、流れてくる回転寿司を横目で見てから
手を拭き箸やらお茶を準備し一皿目のマグロを取り醤油をつけ両手を合わせる

「 いただきますっ 」

箸を割り詰まんでから口に入れようすれば、スマホのバイブは振動する

「 なに? 」

今から食べようと思ったのに、と先にポケットに入れていたスマホを出せば見覚えのない電話番号に眉を寄せとりあえずとってみた

「 もしもーし 」

" あ、646先輩っすか? "

「 ....あ、君は158だね! 」

聞き覚えのある口調と声に、誰か察すれば電話の相手は明るく返事してから聞いてきた

" そうそう!今何処にいるっすか?俺も行きます "

「 えっ、市場の回転寿司 」

" 了解!向かいますね "

あれ?君は高校に行ってたのではないのかと、疑問になりながらとりあえず来れるならどうぞとばかりに場所を教えて、やっとマグロを口にいれる

「 んー、美味し。次はこれにしよ 」

回転寿司はいい、好きなの取ってパクパク食べれるのだから幸せだと颯のお金だしと考えて、好きなものを取っては食べていく

フグやウニもまた口にいれ、何気無く158を待っていれば入り口から入って来た黒髪にスーツを着た男性は黒のサングラスを外し、辺りを見てから俺を見るなりやって来た

あれ、俺はこんなにも明らかに悪そうな人と知り合いだったかな?と考えて頬に含んだウニを咀嚼していれば、目の前に来た男は座った

「 6、じゃなくて拓さん!上司から心配だから着いて行けっと命令されたので助っ人に来ました。あ、俺も寿司食べよ 」

あ、158だったと来て早々箸を取り口に咥えて割ながら片手で適当に取り醤油たっぷりつけ食べる彼に、俺は新しいのを持ちながら問い掛ける

「 そんなことはいいんだけど、学校は?遊馬くん 」

158、別の名を八木 遊馬
今朝会ったばかりの気がするんだけど、と思いながら炙りサーモンを口に含み傾げれば彼は蒲焼きを食べ笑った

「 お婆ちゃん死んだって事で早退しました。まっ、俺、家族いないんだけど、教師以外は信じるでしょ 」
 
「 お婆ちゃんの死に早退....高校生なら有り得るのかな.... 」

「 だから急いで拓さんが乗った新幹線の次の便で来たっすよ?滅茶苦茶、旅が長くて寝てた 」

社会人なら等しい人の死ぐらいしか早退はさせてはくれないだろうね
兄弟か、両親か、それでも早退出来るか難しいと考えながら皿を積み重ね新しいのに手を伸ばすのを止め、パネルを持ち美味しかったのを注文する

「 まぁ、此処まで6時間だもんね。御苦労様。出たら、ふかーく話聞かせて?態々着いてきただけじゃないでしょ? 」

俺がなんの情報を持って来なかった事はきっと知ってると思う
その為に追加の人を連れていかせたのだろうけど、此処だと人目が多いから深い話は出来ない

理解してる遊馬はにこりと笑って答える

「 はいっ、拓さんの忘れ物を全部持ってきました 」

「 ....やっぱり、ね 」

今回ばかりは助かったと、炙りサーモン5貫と、ウニを注文してる間に流れてくる寿司を食べる

「 というか、めっちゃ食べてるけど誰のお金なんですか? 」

「 依頼者の颯へ、請求 」

「 よし、沢山食べよ 」

颯の事だから余り気にしないのは知ってるし、この程度の額なら眉すら動かさない
それだけあの人は普段から金の単位が違うんだよね

羨ましいような、そうでもないような....

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