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番外編
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しおりを挟むお兄ちゃんの事を考えていれば眠れなくなって、いつの間にか朝になっていた
夢だったらいいのに、そう願いながら恐る恐る一階へと降りる
鼻に付く朝食の香りとお弁当にいれたと思われるお肉の香りに、いつものようにお兄ちゃんがお弁当を作ってくれたんだと思った
「 おはよう、陽。晩御飯食べなかったんだな?調子悪い? 」
『 あ、平気だよ....残りを晩御飯に食べるから置いといてね 』
「 そうか?まぁ、分かった 」
昨日の晩御飯、そう言えば食べてなかった
御風呂も入ってないからメイクもボロボロだし、残飯だってきっと見たと思う
だけどお兄ちゃんは普段と変わらない態度で告げてくるからそれがちょっと怖いと思ってしまう
『 御風呂、入ってくるね。疲れて寝ちゃって....時間だったら先に行ってて? 』
その場を逃げるように風呂場へと向かった
脱衣場のカゴにまたあれが有るんじゃ無いかと怖かったけれど、服ともに無かった
ウィッグを外し、服を脱いでから風呂場に入りシャワーを浴びる
お兄ちゃんが持ってた銃がもし、弾丸も入ってる殺傷能力のあるものならば....
いったい誰に、いつ使ってるのか分からない
猟師だと聞いたことも警察官だと聞いた事もない、何処かの社長としか聞いてないからこそ
お兄ちゃんの素が分からない....
『 ずっと一緒にいるのに、お兄ちゃんの知ってることは....名前と元雑誌モデルで、今は社長だってこと....家族なのにな.... 』
何故、今まで深く考えようとしなかったのか
其すら分からないと頭を悩ませて、さっさとメイクを落とし身体と頭を洗えば風呂を出た
「 仕事行ってくる。今日は帰るのは遅くなると思うから先に夕食の残りで悪いが食べててな 」
『 あっ、うん!行ってらっしゃい 』
「 行ってくる 」
お兄ちゃんが背後に立つときに気配とか足音とか全く無い気がする
だから声を掛けられた時に驚いて、振り返ってしまうんだ
お兄ちゃんが本当に其処にいるのか確認するように
精一杯に笑えば、お兄ちゃんは優しげに微笑み仕事へと向かった
離れた場所から秘書さんとお兄ちゃんの声が聞こえたことに、もうそんな時間なんだと思いながらメイクをし終えてリビングへと行く
相変わらず美味しそうな朝御飯を、一人手を合わせて食べる
『 あ、拓斗さんだ.... 』
少し気が沈んでた私にとって朝一に拓斗さんからのメッセージの続きを送られてくるのは嬉しい
次は食事に行こう、その約束通りに彼はメッセージをくれた
" 10月5日 晩御飯一緒に食べない? "
ほんの一週間後にくれたお誘い
私はその日は学校だけど、晩御飯なら大丈夫だと思い返事を返す
お兄ちゃんには晩御飯はいらないと伝えればきっと許してくれる
そう思うから答えてからスマホを鞄にいれ、食べ終わった皿を食器洗い器へと突っ込み御弁当を持って学校へと向かった
拓斗さんとメッセージ出来たお陰で気分はいいと自転車を漕ぐ脚も軽やかになる
町にある電気屋にあるテレビには昨日の通り魔殺人事件のニュースが流れていた
犯人は無実を主張してるが証拠があるからこそ警察は逮捕したと言う
犯人が逮捕された事で安心する、人々だけど不意に思い出すお兄ちゃんの拳銃に寒気は走る
『 お兄ちゃんは....人殺しなんてしない.... 』
優しくて、かっこよくて、なんでも完璧にやるあの人はそういうのをするわけ無い
きっとお兄ちゃんは悪ではなく善だと思う
ヒーローみたいに助けてくれるのを小さい頃から知ってるからこそ、違うと信じたい
" 陽を泣かせたやつは誰だ?あ"ぁ? "
" ごめんなさい!! "
よく虐められていた私を助けてくれた
お兄ちゃんには似合わないよ....
もし、お兄ちゃんが誰かを殺めて悲しませたとしても私は育てられた恩を含めて受け入れる以外の選択肢はない
『 大丈夫....私のお兄ちゃんだから.... 』
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