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番外編

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もう一度、出逢ったことすらまるで夢のよう
そして過ごした時間は幻術のように心をポカポカと春の陽気にさせる

季節はもう秋だと言うのに暖かな心はそれを感じさせないほど帰る道のりも軽やかっだった

お兄ちゃんに似た柴犬のぬいぐるみを持ち、明かりのついてない我が家へと帰り玄関の鍵を開け中へと入り、リビングへと行けば脚を止めた

『 あ.... 』

学校帰りに遊んでからカフェにまで行った私は、お兄ちゃんが早く帰ってきていたことを考えてなかった
ダイニングテーブルの上にはサランラップが被さった料理が並び、その横には手紙もある

『 ....お兄ちゃん 』

" 仕事に戻る。ご飯食べててな、お兄ちゃんより "

きっと私の為に晩御飯作るだけに帰ってきたと思う
其なのに私はご飯すら食べれないほどにお腹がいっぱいだ

『 ごめん、なさい.... 』

手紙を握り締め、静かに謝り学生鞄から弁当を取り出し残飯へと捨てて
弁当箱を洗い、そのまま部屋へと戻りベッドへと横たわる

『 ....拓斗さん 』

拓斗さんとの時間を優先したから、お兄ちゃんとの時間は無くなった

けれど、なんとなくそれでもいい

胸に感じる春の陽気は私は少し悪い子へと変えてるような気がする

お兄ちゃん以外の人を好きになったのは初めてかも知れないと思うほどに、拓斗さんが気になる

片腕にぬいぐるみを抱き、ポケットからスマホを取り出せばあの出会い系サイトを開く

200人とすれ違ってる事を見て、拓斗さん以外に興味ないなと余り見ずにまたね、を押していけば一人のプロフィールに手が止まる

その人は、私にメッセージを送ってきていた

スーパーいいね、と言って課金アイテム使えば成立してなくても片方からメッセージが送られてくること....

その内容は、拓斗さんからだとわかった

" このアプリやってたんだね。良ければメッセージやり取りしないかな?拓斗より "

プロフィールにはタクさん、と書かれてるけどメッセージにはちゃんと拓斗と書いてある

やっぱり、拓斗さんだと嬉しくなり直ぐにいいねを押しメッセージやり取り可能にしてから返事を返す

『 こんばんは、陽妃です。是非、お願いします 』

メッセージ出来るとは思わなかった
メアドとか聞いとけばよかった!なんて後悔してたところだから嬉しいと返事が来るまで楽しみに待っていれば、少しして返ってくる

" 此方こそ宜しくお願いします "

拓斗さんと始まったメッセージのやり取りは凄く楽しい
実際に会った時と同じ口調だし、絵文字や顔文字をしつこくない程度に時々使ってくるから私も普段のように使える

『 ふふっ、いいなぁ....拓斗さん格好いい 』

彼の使ってる自撮りのアイコンをスクショして、それをアルバムの中に有るのを見ては笑みはふにゃんとにやける

自撮りをしなくても格好いいの知ってるから、尚更この写真は会えない間に見る物として見れる

『 プリクラのメルヘンっぽい拓斗さんもいいけどね 』

スマホのケースの中に挟んでいたプリクラを取り出し、其を見て撮影してる時を思い出す

" カメラ此処だと思うよ?ほら、近づいて "

" わっ!私、変な顔! "

" そう?可愛いよ。次のポーズは何にする? "

" これで! "

女子高生らしい遊びを初めてした私にとって、拓斗さんとの時間は本当にデートみたいで楽しかった

彼の彼女には、私は慣れないけどそれでももう少し" 女子高生 "として会って遊んだりしたいと思う

『 ....ん?お兄ちゃん帰ってきたのかな? 』

一階から聞こえてような物音に帰ってきたならお帰りと伝えようと思った私は、ベッドから起き上がり、一階へと向かった

部屋は明かりはついてないものの、聞こえてきたシャワーの音に風呂場と思い脱衣場へと向かう

スーツを散らかしたように床へと置いてあるも、篭の中にあるカッターシャツを見て目を見開いた

『( これって.... )』

カッターシャツの下にあった硬いものは、ゲームセンターで遊んだそれとは比べ物にならないほど、ずっしりとした重さと触れただけで身体に感じる恐怖に手を引っ込めた

黒のホルスターに入ってる、拳銃は玩具にも見えないし何故お兄ちゃんが持ってるのかも分からなかった

カッターシャツを元の位置に戻していれば、湯槽から上がる音に脚は鋤くみ後ろにあったカゴを蹴ってしまう

ガタンッ、その音にお兄ちゃんの影は此方へと向き硬直した身体は身動きが取れなかった

「 ....陽?まだ起きてたのか? 」

扉を開いたお兄ちゃんは私を見るなりごく普通に首を傾げた
そのなに食わない顔に、何故か恐怖すら覚えて何も言えず逃げてしまった

『 っ! 』

「 陽?....俺の裸位、見慣れてるだろ.... 」

何故、お兄ちゃんが人を殺せる物を持っているのだろ

その疑問は昔、お兄ちゃんが一度捕まったときに周りから言われた言葉を思い出すと涙さえ溢れる

" 人殺し "

兄は一度....殺人容疑の罪で捕まっている

けれどそれはもう10年前の話しであり、
あの時はアリバイがあって直ぐに釈放された

人殺し、そう言われたお兄ちゃんが持ってる銃の重さは
きっとゲームセンターでやるそれとは遥かに違う

笑ってゾンビを撃つのとはまた違う....

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