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番外編
07
しおりを挟む夜中の夢が原因なのか、それともお兄ちゃんが普段より遅く帰って来た音に起きたのかは分からないけど
あれから上手く寝れなくて、横になっていた身体は日の出が昇る前に起き上がり、スマホを弄っていた
学校に行く準備をいつもの時間にして今はちょっとだけ落ち着こうと思い、スマホを触りながら不意に思い出したクラスメートの言葉
『 ....メッセージだけなら、気晴らしになるかな 』
会う会わないの以前の問題として、只相談できたり単純な会話を楽しめるならいいと思った
誰とも会わないのだから、お兄ちゃんには黙っていれば怒られない
其処まで弟のスマホを見るほどプライバシーがない人では無いために、興味本意で登録してみた
『 ....へぇ、面白そっ 』
年齢設定は余り考えてなかった為に自分の年齢を使い、陽という文字を使ったまま
ハル、と言う捻り気の無い渾名を決める
此で登録できたみたいだと学校行くのが楽しみになり胸元に手を置く
スマホにある時計を見ればもう少し6時になる頃、後30分もすればお兄ちゃんが起きてくるって思い
今日はお兄ちゃんの分も自分で弁当を作ることにした
『 お兄ちゃん驚くかな 』
どんなに憧れて望んで、そして悔しく思っても好きなお兄ちゃんには変わらない
八つ当たりしたらきっと悲しむと思って冷蔵庫を開け弁当箱にいれる材料を決め作る
ピンクのエプロンつけて、黄色のバンダナで前髪押さえて作っていく
お兄ちゃんよりは下手だけど交代で晩御飯を作ったりするから、それなりに出来る
『 お兄ちゃんお肉好きだから。タコさんウインナー、だし巻き玉子、ピーマンの肉詰め、唐揚げ、あっ!照り焼きチキンいれよ! 』
二段箱の一番下には中に鶏のそぼろを振りかけたご飯を詰めて、上の段にはぎゅうぎゅうにお肉系の物を詰めていく
『 お肉だけにぎゅうぎゅう....入らない.... 』
一段上にはピーマンの肉詰め、唐揚げ、だし巻き玉子入れただけで一杯になった為に他の弁当にもおかずを入れてから
お兄ちゃんって分かる風呂敷に包み、リボン結びをして置く
『 よーし、朝御飯は唐揚げとだし巻き玉子でいいよね 』
沢山作った唐揚げはきっと朝に出しても喜んでくれるのは目に見えてる為に、使ったものを後片付けしていく
「 はよう....いい匂いがする 」
まるで犬のようにクンクンと匂いを嗅いで二階から降りてきた、お兄ちゃんの寝癖に心の中で笑いながら答える
『 おはよう、今日は私が作ったから是非食べてねっ! 』
「 陽が....ありがとう!!お兄ちゃん、頑張れる!! 」
目を輝かせてキッチンへと来るなり抱き締めた来たお兄ちゃんがバンダナに頰を擦り当てて来ることに恥ずかしさ含めてあるも、やっぱり喜んでくれるのは嬉しい
『 お弁当もあるんだよ 』
「 はっ!お弁当とか....陽は本当いいお嫁になれる。お兄ちゃんのお嫁になりな 」
『 ならないから、早く顔を洗って準備して来て 』
「 はいっ、やって来ます 」
片手を上げてから敬礼したお兄ちゃんは嬉しそうに脱衣場に向かった
そんな後ろ姿を見てるとやっぱり昨日考えていた事が馬鹿馬鹿しくなるほど私はお兄ちゃんには敵わないし、お兄ちゃんの笑顔が好きなんだと思う
『 頂きます! 』
「 どうぞ 」
朝の準備をして、カッターシャツにネクタイを着けたお兄ちゃんは両手を合わして左手に箸を持ち唐揚げを摘まめば口に入れる
サクッとした音に彼の頬は分かりやすく緩み、ご飯を掻き込む
「 美味しい、衣はサクサクでジューシーだ。俺より上手いぞ 」
『 またまた、でも....ありがとう 』
料理の上手なお兄ちゃんに褒められると嬉しい以外の感想はない
やっぱり頑張って作っていて良かったと、お兄ちゃんがおつみのように唐揚げが入っていくなかで私は不意に聞いてしまった
『 お父さんって....どんな人だったの? 』
「 ....父? 」
一瞬手が止まり此方を見てきた彼に不味いことを聞いたかなって目線泳がせば、彼は立ち上がる
椅子の引いた音に肩は揺れ、心臓は高鳴る
お兄ちゃんはそのまま炊飯器を開けどんぶり茶碗大盛りにご飯を乗せながら答えた
「 そうだな....嫁さんが大好きで子供にも嫉妬するような、そんなバカップルの両親であり父親だったよ 」
それはいつも聞いていた両親の話だった
けれど違う、なんて面影位しか思い出せない事に私が言えるわけもなかった
『 そっか、仲のいい夫婦なんだね 』
「 あぁ、とてもな 」
何処か他人事のように答えたお兄ちゃん
大盛りご飯片手に、残りの唐揚げとだし巻き玉子をおかずにしながら食べてはご飯を食べていく
なんとなく言葉に信憑性が感じられないし、夢で見た父親は違っていた気もした
不意に触れるネックレスを強く握りしめ
考えていた
お兄ちゃんが何か隠してるのは
妹なら分かる....でも、聞けないもどかしさが嫌になりそうだよ
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