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番外編
06
しおりを挟むボスとは違う上司から呼ばれた急用な依頼
そのパートナーは颯だったのだが、俺は見張りかねて家の外で立ちながらスマホを弄っている
「 すれ恋、すれ恋....あ、これだね~。20代から30代が主にやってんだぁ。なら28歳ぐらいがいいのかな? 」
年齢を決めれば適当にプロフィールを埋めていく
あからさまに金持ちは俺っぽくないから年収500万から700万ぐらいにして、後は適当に嘘を埋めていく
俺にとって嘘なんて簡単で適当な渾名をつけることにした
「 まぁ、あの子と会うのが目的なら名前はそのままでいいかな....拓海、と....ってなに、" 他の人が不快に思う可能性のある言葉が含まれてます "....って、俺の拓海、不快なの!?全国の拓海に謝って! 」
まさか、拓海が使えないってことにショック受ければ仕方なくもう名前の片方だけ取って" タク "と言う名前にすればこれは登録できた
「 全く....登録だけでも面倒だよ 」
名前を記入してこんな大変だと思わずに溜め息を吐けば、耳につけた通信から颯の声が聞こえてくる
" 646、終わった "
「 了解、処理班来させるね 」
家から何一つ音が立たなかったことに流石だと思いながら、玄関から堂々と入っていく
「 律儀だねぇ、毎回並べるなんて 」
寝室へと行けば彼は抱いていた子供を夫婦の間に寝かせ、ホルスターからナイフを取り出せば夫婦の手首を切り痕を残す
無理心中とばかりの演出だ
『 ....子供に罪はない 』
「 だけど相当、返り血浴びてるよ?もう少し血管の位置を....って! 」
颯は何処か昼間みた表情より暗く、それでも俺に言われた事に気付いたのか俺のスーツの裾を掴みごしごしと顔を拭く様子は悲惨だ
『 ....さて、報告に行くか 』
「 おい、俺のスーツ! 」
ごく普通に歩き出した颯に着いていきながら靴の足跡も後に処理班が全て無くすのを知ってる
彼等は警察の元にいる俺達の仲間だからね
外へと出れば、近くに止めてあった灰色のバンへと乗り助席に座った颯はボックスから香水を取り出す
「 俺の横では使わないでね?海君に君と良く一緒に居るなんて知られたくないから 」
『 ......あぁ、そうだな 』
香水を着けるのを止めた颯はボックスへと戻す
彼は血の微かな匂いを誤魔化すために、特殊な甘い匂いの香水をつける
それは上司から匂いが気になる奴は持っていくといいと言われてる配布されてる香水で、実際には売ってない
殺し方が下手な颯は良く血を浴びるからこそ、この香水を昔から使っている
彼の隣を通れば、同じ仕事をしてる人間なら気付くほどの特殊な香り
『 そう言えば、御前の息子は何歳になったんだっけ.... 』
「 君のところと同い年だよ。18歳 」
『 もう、そんな歳か.... 』
「 早いよねぇ、年取っちゃう 」
小さい頃を思い出すと可愛いと思う、だけど今のちょっと口煩くなって可愛くなった部分もまた成長を見てると魅力的に思える
『 ....そうだな 』
颯は息子である陽妃を溺愛してる
その事は上司も知ってるからこそ
陽妃を消すタイミングを見計らってるが
そんなことしたらこの人、組織抜けるとか言い出すから手は出さないのだろ
その代わり、陽妃もまた此方側の人間にさせようとしてるのは分かる
同じ任務をして、時にパートナーになる俺達でも幾つもの秘密を隠してる
もし上からの命令されたなら、俺達は殺し合うだろ
そして、死ねと言われた方は手を出さず殺されることを受け入れるだけ
俺達は生まれた時から政府の犬
「 ちょっと、寿司でも食べに行かない?お腹すいちゃった 」
『 焼肉なら奢ってやる 』
「 やった!なら焼肉にしよ~ 」
悲しいとき帰らせても、悲しいという表情は簡単には誤魔化すことは難しい
だからこそぱーと食べて元気になろうって事で、颯と共に焼肉屋へと向かった
その途中で通信で報告したから
まぁいいでしょ
それより、颯が奢ってくれるなら食べて食べて食べまくらないとって思う
「 ....そうだった、君。暴飲暴食者だったね.... 」
『 なんかいったか? 』
「 いや....なんでもない.... 」
颯を見てると俺の食欲なんて赤ちゃん並に見えてくるよ
なにこの焼肉屋なのに寿司屋みたいに積み重なった皿
お店の人、運ぶ方が一生懸命で皿放置だなんて....
『 とりあえず、メニュー全部食ってみるか.... 』
「 これから!? 」
海君、お兄ちゃんちょっと帰るのが遅くなりそうだよ....
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