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番外編
04
しおりを挟む颯との話を終えて社長室のオフィスから出た所で、後から出てきた秘書君に止められた
「 和泉さん。少しお話、宜しいですか? 」
「 えーもう、帰るしぃ 」
振り返り相手を見て態とらしく口先尖らして言えば、明らかに雰囲気がブラックになった秘書君に苦笑いが漏れる
「 分かったよ。そう殺意を向けないで、怖いから真面目に怖いから 」
「 分かってくださるなら結構です。では、此方にどうぞ 」
完全に俺の言葉をスルーして少し通路から外れた道を行き扉の閉まった部屋へと入っていく
なにされるんだろ、なんて馬鹿なことを考えれるのは今の内
きっと颯の前では言えない話だろうから此処に連れて来たのだろうね
「 それで、話とは? 」
「 ある方のスキルを上げて欲しくて 」
スキル、それは俺達が与えられた課題であり簡単に言えば" 出来ること "を増やすということ
一番の目的が医者なら、其までに
スキル1、コミュニケーション能力の上達
スキル2、判断能力
スキル3、英会話能力
とか其々定められたスキルを受け取れば依頼された相手のスキルUPを目指すために俺達は行動する
その為ならどんな事でもするのが上からの命令だ
「 へぇ、誰の? 」
笑っていた表情はすっと消え去り、仕事のモードへと変われば秘書君、いや俺達のボスはスーツの胸ポケットからメモ帳を取り出し開くなり一枚の写真を見せてきた
「 一ノ瀬 陽妃。彼の恋愛スキルを上げなさい 」
「 恋愛スキル?え、陽妃って男の子でしょ?なんで? 」
仕事モードに切り替わってたけど一瞬で理解できなくなった内容に首を捻る
これまで恋愛スキル、と言うより強姦して犯せ、それが依頼主からの願望とかそういうマニアックな依頼もあったけれど
今回は、恋愛スキルなんてわけわからない事にクエスチョンになる
「 確かに陽妃さん男の子ですが。俺達の実験に必要な頭脳と身体の持ち主。恋愛と言う感情が産まれれば将来的に有能になる 」
「 ....実験ね、颯に言えないことは其のところね。親元に帰すなんて嘘なんでしょ? 」
俺達が育ててる我が子は試験ベイビーの一人、時間が開けば他の同じ遺伝子を持つ子に会いに行ってスキル上げをするのだがその目的は親元に帰すこと
正確には親元から受け取った子供は能力ある無しに関係無く殺して、本人だとばかりに全く別の他人の子を返す
そうすると自然と優秀な能力を持つ子は世間に増える
この人が後に言ってたギフテッドを増やすための実験は既に、俺達が産まれてきた時から始まっていたんだ
そんなのこの時には知らないと言うか然程興味はなかった
「 貴方は素直に従っていればいいです。恋愛スキルを上げるからと貴方が本気で恋してはいけませんよ。これはあくまでも.... 」
「 任務なんだよね。分かってる....犬は素直に飼い主の言うことを聞くよ 」
写真を取り、其を見れば俺が昔みた赤子の写真とは遥かに成長していた
颯の子供とはいえど、感が鋭い颯の目を盗んで恋愛ごっこをするなんて馬鹿げてる
きっと颯に見つかって殺されるのが落ちだなと写真をメモ帳にいれていれば、ボスは自らの腰に手を当てた
「 直接会うのは不自然なので出会い系アプリのすれ恋使っては如何ですか?運命的な演出が出来ますよ 」
「 ....出会い系アプリね、出会うならボンキュボンッのお姉ちゃんとヤれるようなアプリがいいよ 」
「 上手く出逢えればヤれるでしょ。ですが女性とセックスするときは.... 」
「 ゴムをつけて避妊薬飲ませろって言うんでしょ?分かってるよ。そんなに俺達の精子は貴重かな 」
ヤるときはその為の女が用意される
妊娠させるためのに、女が
けれど女は俺達の顔を見ることなく妊娠して子供を産む
あの時の任務は俺も颯も好きじゃない
なんせ、気持ちいいとかそんなの関係無く気を失ってる相手を孕ませるのだから罪悪感で死にたくなる
「 貴方達が只の" モノ "では無いから言ってるのですよ 」
「 ....はいはい、分かってるよ。恋愛ごっこするためにそのすれ恋?ってアプリ入れて運命的な演出しながら恋心芽生えさせればいいんでしょ。頑張ります 」
「 えぇ、此方で判断して" 惚れた "と分かった場合、給料を差し上げます 」
相変わらず社畜だと思う
けれど恋愛ごっこは得意だと思う
騙すのは颯の子供って点を除けば問題ないのだから
海斗が医大に行くために、そして颯の親に俺達の仮親が借金し、死んで残したその額を返す為なら心を氷らせる事なんて容易いんだよ
ごめんね、颯
ボスの命令だから君のお子さんとイチャイチャラブラブするかも
知ってぶちギレない事を願っとこ
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