すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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番外編

03

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医学部3年A組のクラス

女子10名男子23名の比較的に男子の多いクラスなんだけど、理由はある

彼等は医学部に入ってくるときから将来の希望校を医大に決めてたからこそ
医者になる人は男性が多く女性が少ないのが狭き門の掟

女は結婚したり妊娠したら働かなくていいだろ、なんてたまに教師も呟くほどに此処にいる女子達はそれを聞いてるからこそ
男子と話すより女子同士で会話するのが好きみたい

もちろん、私も女子と会話するのが好きなんだけど其よりも一番の目的は....

『 じゃじゃーん。新しい寝顔写メ!写真してるからファイルに挟むのもよし、どうするー? 』

「「 欲しい!! 」」

持っているのはお兄ちゃんの颯の写真
お兄ちゃんは18歳過ぎた辺りから29歳位まで雑誌モデル、ファッション系のモデルをしていた事もあり今でもその人気は知ってる人は知ってる

お兄ちゃんは32歳になっても若々しく顔も良いから、中々の" 値段 "で売れる

『 1枚2500円でどう?カメラ目線じゃないからね 』

「 買う!!2枚欲しい 」

「 私も! 」

『 まいど~ 』

この学校に通う生徒の殆どは家柄もよくお小遣いを沢山貰ってる
御嬢様や御坊っちゃまばかり、この位の金額ならおやつを買うぐらいに出すからこそほぼ毎日のように彼女達に売ってる

『( お兄ちゃんごめんね、これもバイト禁止って言ったお兄ちゃんが悪いんだから )』

過保護なお兄ちゃん
バイト禁止だとか部活は運動部以外にしろとか、色々禁止はあるからこそ
それをどう潜り抜けて自分の好きなことを出来るか考えてる方が楽しい

貰ったお札を財布にいれ
残った写真をスカートのポケットに入れ
一時限目の授業が始まる為に席へとつく

「 海斗!ノート見せてくんね?宿題の範囲で良いから 」

「 構わない。英語だよな? 」

「 サンキュー!助かる! 」

和泉 海斗、私の席から斜め後方の端にいる男子であり
余り会話はしたことないけど、何気なく幼稚園から小学校、高校と共にいるクラスメートの一人
 
その前にいる、八木 遊馬もまた同じなのだけどいつからかまったく話さなくなった
小学生になる頃には赤の他人だった為に其処まで興味はないのだが

このクラスでは顔の偏差値が上位にあるほどいいと思う
でも、女子からモテないのは医学部の女子は同じぐらいの男子を餓鬼だと思い、
年上の二十歳過ぎの医大生を気に入るらしい
目の前のイケメンより将来性ある金持ちという辺りはなんというか、現実は甘くないね

『( そういう私も年上好きなんだよね )』

お兄ちゃんを見てると、お兄ちゃんみたいな優しさの男性に憧れてしまう

机に肘を置き頰杖をつきながら思い出す
朝に出逢った人は、かなりタイプだった

爽やかに笑って優しい雰囲気のある男性だったと思うと胸がドキドキと高鳴る

『( ....ホモかぁ、やっぱり私ってホモなんだよね )』

女の子と話すのは楽しいけど、クラスメートの誰が格好いいなんていう話題の方がテンション上がる
オネェみたいに性転換迄は考えたことないし、男であることもいいと思ってる
だけどやっぱり好きになる人は年上だと思う

それもちょっとお金がありそうな男性だと尚更よし

『( お兄ちゃんをぎゃふん!って言わせるほど玉の輿に....フフフンッ )』

「「( 陽妃ちゃんが壊れてる )」」

薄気味悪い笑みをする私は朝のダサい服を着てた男性が、普段はまともな服を着てる事を想像してるとそれだけで1日は楽しかった

妄想はやっぱり良いものだと思いながら放課後、友達と話す
 
「 陽妃ちゃんは" すれ恋 "ってアプリ知ってる? 」

『 なにそれー? 』

「 女の子は18歳から登録できる、出会いアプリ!今流行ってて、CMや雑誌にも紹介されるほど人気なんだよ 」

向けられたスマホ画面へとみれば
それはすれ違う男女の写真がある
出会いアプリ
街でほんの一瞬でもすれ違った相手が、アプリを登録してれば後々知ることができて、会話まで始めれるかもしれないってもの 

『 でも、出会い系なんて....変な男いそうじゃん.... 』

出会い系はいい噂がない
会えば50代過ぎたオッサンだとか
ヤり目的だとばかりの内容に眉を寄せて考えれば女子達は顔を見合って笑みを浮かべる

「 年上と知り合えるんだよ?メッセージだけでも楽しいし! 」

「 すれ違った人の中で好きな相手を選べるから、高学歴高収入の人なんてざらだよ! 」  

「 駅前辺りだと尚更すれ違うよね! 」

「 そうそう!やっぱり県外からも来るひといるからね 」

魅力的な話だけど、お兄ちゃんはきっと出会い系で知り合った男性と食事に行くなんて言えば雷が落ちてくると思う

『 私は遠慮するよ。先に帰るね、また明日ー 』

「 また明日! 」

軽く手を振ってから鞄を持ち教室を出れば階段の辺りにいる女子の声に立ち止まった

「 和泉って兄がイケメンだからって自慢してるけど、本人ぶっ細工だよね~マジ似てない 」

「 ほんとそれ、お兄さんらしくしてるけどメイク濃すぎて気持ち悪い 」

「 お兄さんの写真は欲しいけど、正直アイツと関わる必要ないよな 」

「「 マジそれ! 」」 

お兄ちゃんの写真を一枚、クラスメートから買った子とそれをコピーして共有し合う他のクラスの女子

A組になれなかっただけで価値が下がると言われてるからこそA組の生徒が気に入らないのはわかる
だけど、私だってお兄ちゃんに敵わないのを知ってるのに....

" 社長、行きましょうか "

" あぁ....陽。学校頑張ってな "

大きな会社の社長だと思うお兄ちゃん、かっこよくて優しくて家事が出来て
私のように偽ることしか出来ない人間に比べたら優れて手の届かない存在だとしてる

『 っ....! 』

女の子に言われただけで、辛くて少し遠回りになっても廊下の反対にある階段を使って帰ることにした

完璧なお兄ちゃんを追い掛けることは
私には出来ない....


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