上 下
83 / 193
番外編

01

しおりを挟む

『 フフフ~ン、フフフ~ン 』

鼻歌を歌いながら朝の支度をする

指定の制服は女子物、赤いチェックのリボンをつけ同じ柄のスカートを履き
ブレザーは紺色をしている

セミロングのクリーム色髪を片手で纏めてから片手に持っていた同じ色のウィッグを後頭部からつけ、伸びたロングの髪と元の髪を交わるよう指で軽くとかし
自らの前髪をセットすれば顔の左右を見て頷く

『 よし、今日も可愛い。あ、忘れてた! 』 

大切なものを忘れてたと、ポーチから口紅とリップをつけ艶の出るグロスを塗り
アクセサリーケースに入っていたシルバー細工のついたネックレスをつけ胸元へと入れる
見えなくてもいい、細いチェーンだけ見れたら十分だし此はつけてるからそこ意味がある

見せるためのじゃないからこそ頷く

何処からどうみても私は" 女の子 "

「 陽~、お兄ちゃん仕事行ってくるなー? 」

『 待ってまって!私も行く! 』 

私には14歳離れた兄がいる
普通の兄なら自慢しないのだけど
この人はその辺りの男とは比べれないほどかっこ良くて綺麗な顔立ちをしてる

顔だけじゃないスタイルもいいし
料理の腕だっていい

「 メイクしなくても可愛いだろ....って、スカート短くないか? 」

『 短くないし。もー、口煩いなぁ 』

「 膝より下だろ 」

『 昭和の人間め! 』 

「 なっ!? 」

口煩い点を除けば完璧なお兄ちゃんだと思う
お兄ちゃんが嫌そうにするもの嫌だから、短くしていたスカートを丸めた部分を膝上辺りまで下げてからぱっと手を開けば、何処か不満そうでも諦めて、お兄ちゃんは私の顎に触れそのまま頬へと口付けを落とした

「 頑張って行ってらっしゃい。俺の愛しいプリンセス 」

『 ふふっ、お兄ちゃんも頑張ってね 』

私は両親の顔も
お兄ちゃんから両親の話すら余り聞いたこともない
けれどスウェーデンと日本人のハーフらしく
お兄ちゃんのスキンシップそれ譲りで、私も英国風のスキンシップは嫌いじゃないし寧ろ大好きだったりする

御返しにとばかりにぎゅっと抱き締めれば、お兄ちゃんが使ってる香る甘い香水の匂いに顔を胸板へと埋めていれば
悶えたように顔を反らしていた

「 ....かわ、いいかよ.... 」

「 ほら、貴方達。仕事の時間ですよ 」

「 そうだった、それじゃ気を付けてな 」

『 はーい! 』

お兄ちゃんは何処かの会社の社長をしてるらしく、玄関へとやって来たのは秘書の黒澤さん

お兄ちゃんより身長も高くて、年齢も上なんだけど若々しい、悔しいけどお兄ちゃんの隣にいて相応しいイケメン男性だと思う

『 ...... 』

お兄ちゃんが何処の会社の社長かは知らないしどんな仕事をしてるか分からない

でも、妹として家で待つことはなんの苦でもない

知らないことは他にも沢山ある

誕生日、血液型、どこで産まれたのか、
どのこ学校に行ったのか
色々知らないことが多くてもお兄ちゃんが帰ってきてくれるならそれだけでよかった

学校迄は自転車で向かう為に家の駐車場の端に置かれたそれを使って登校する

歩くにはちょっと距離があるんだよね

『 こう、少女漫画みたいに曲がり角でぶつかって恋愛とかに発展しないかな~って流石にないか。私、自転車だし 』

自転車でぶつかるなんて只の交通事故なんじゃないかって思うとあり得ないな~って笑ってしまう

そんな事よりも今は急ごそうと信号のない交差点を右に曲がれば驚いた

「 うわっ!!? 」

『 !!!? 』

なんでそんなところに人が立ってるの!って思った時には遅くて急ブレーキの後にぶかった感覚と共に痛む手の平や膝を気遣う前にぶかった人へと視線を向けた

『 ぎゃぁぁ!!スミマセン!スミマセン!!血がぁ!! 』

此でも医学部の生徒なのに、ばたんと俯せで倒れてる男性へと近付いた 
俯せになってる男性からは広がる血を見て驚いて、身体を起こそうと肩に触れこちらへと向けば目を見開く 

『 えっ.... 』 

なんか、倒れてた時はフードつきパーカーと下はアンバランスなスウェットを着てた為にお年寄りでも引いてしまったのかと思えば違った

おでこから血は出てるも整った顔立ちは兄よりも堀が深くイケメンだと思う

『 いや、そうじゃなくて!お兄さんしっかりして! 』

「 はっ....!一瞬、御迎えが来てた.... 」

ぱっと目を開いた男性は私の腕から起き上がりその場で座れば額に触れ血を見てから、適当に取り出したメモ帳を切り折り曲げてから抑えていた

『 あの、すみません....前方不注意でぶかって.... 』

「 いや、俺も曲がり角ギリギリに立ってたから仕方無いよ。見ての通り平気だから、気にしないで? 」

『 ありがとうございます 』

平気そうには見えないのだけど、爽やかに笑った男性は自転車を起き上がらせてくれた

それにて、微笑んで片手を差し出す

「 ほら、学校に遅刻するよ? 」

『 あっ、ありがとうございます!次にお会いしたときに御礼します! 』

「 楽しみにしてるよ 」

ひらりと手を振った爽やかイケメンのお兄さんは、金髪に蒼空のような水色に近い青い目をしていた

日本語上手だったけど、きっと外国人だと思いながら自転車を漕ぎ学校へと急ぐ

また会えるといいな


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

メス落ち♡からの創世再始動

ひづき
BL
赤い蔓状の触手に捕まり、幼少期から知り合いの神父に空中で犯される青年アリスタ。 地上には無数の死体があるのに、それどころじゃないのに、きもちいい♡らめぇ♡ 人外攻め/強姦/空中浮遊/野外露出/触手/流血/小スカ匂わせ/嘔吐イキ/攻めフェラ(ノドコキ)/メス落ち/男体妊娠匂わせ/惨殺/転生/公開プレイ(観客は死体オンリー)/精神破壊/洗脳………などなど順不同 以上を詰め込んだ頭の悪いお話です。 なるべくグロくならないよう、さらっと、しれっと略したら全体的に短くなりました! ひとつでもダメだと思った方は読まずに引き返して下さい。 宜しくお願い致します。

自分のことを疎んでいる年下の婚約者にやっとの思いで別れを告げたが、なんだか様子がおかしい。

槿 資紀
BL
年下×年上 横書きでのご鑑賞をおすすめします。 イニテウム王国ルーベルンゲン辺境伯、ユリウスは、幼馴染で5歳年下の婚約者である、イニテウム王国の王位継承権第一位のテオドール王子に長年想いを寄せていたが、テオドールからは冷遇されていた。 自身の故郷の危機に立ち向かうため、やむを得ず2年の別離を経たのち、すっかりテオドールとの未来を諦めるに至ったユリウスは、遂に自身の想いを断ち切り、最愛の婚約者に別れを告げる。 しかし、待っていたのは、全く想像だにしない展開で――――――。 展開に無理やり要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。 内容のうち8割はやや過激なR-18の話です。

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】奴隷に堕ちた騎士

蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。 ※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。 誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。 ※無事に完結しました!

初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…? タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。 歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

処理中です...