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刺される瞬間、聞こえてきた声に反応して受け身を取ったからこそ大事には至らなかった

直ぐにニュースに流れ、記者は会見を要求してきたが黒澤君はそれを全て断ってくれていた

『 ん、此は....部長からだな 』

「 貴方はなんで.... 」

『 ん? 』

机の上に置かれた幾つものお見舞いの品とそこに書かれている宛先を見ていれば新しいお見舞いの品を持ってきた黒澤君は固まった
プルプルと震えてるように怒ってる彼に傾げれば案の定、怒られた

「 そう座ってるのですか!寝てなさい、直ぐに!! 」

『 別に軽傷なんだからいいだろ。大袈裟な.... 』

「 確かに受け身をとって両手で押さえので刺さった深さも浅かったみたいですが....手の方が傷が酷いとか.... 」

そう、聞こえてきた声に咄嗟に走ってきた者の姿を捉えた為に受け身を取り
真剣白刃取りの様に包丁を刃の部分と上を包むようにもったせいで、利き手である左手の手の平はぱっすりと切っていた

お陰で、腹より縫ったと言われた手の平には包帯がされてるから右手しか使えない状態だ

刃渡り12㎝の包丁だが、実際に刺さったのはその半分以下だったらしい
それとなく鍛えた腹筋によって皮膚と筋肉は切れても臓器までは届かなかったらしくそこまで痛みもない

吊ったような感覚だけ残るが、問題は手の方だ
一時は握れないから右手で書くしかない

『 俺の事はいいんだよ。大袈裟な秘書のせいで3日入院とか....お陰で2日目なのにこのお見舞い品の数....どうしてるぜ 』

「 貴方を心配してる方々は多いってことですよ。文句を言わない 」

『 ったく....それで、分かったのか? 』

「 えぇ、この件は警察の方が早く調べましたね 」

黒澤君が来たのには他でもない
俺が目を閉じる迄に伝えたことの調べがついたのだろ

" 死ね、新輝.... "

刺した瞬間に告げた言葉は俺ではなく、父の名前だった
あの人の仕事を受け継いでる以上、いつかは反感を買うと思ってたがまさかこんなことにはなるとは思わなかった

その日の昼過ぎには目を覚ました俺だが、ニュースは既に刺した男が死んでる情報は流れていた

「 警察官も新輝様に直接連絡を取ろうとしたみたいですが、あの人が何処にいるのかさっぱりなので時間はかかるかと。けれど、今回の犯人は新輝様に多額の借金を抱えていたのは事実のようです 」

『 ....今思うと、和泉が変に殺しに来なくて助かったな.... 』

「 そうですね。お金で人は壊れてしまう 」

和泉は俺を殺す事無く借金返済の道を選んだ
どんなに辛くても苦しくても金を返すために頑張って来たのは分かるからこそ、少し言い過ぎてしまったとも後悔してる

「 ホントだよ。まぁ、今となったら死んでもらったら困るけどね 」

『 拓海!なんで.... 』

「 おっと、誤解しないで。今は元同級生としてだから 」

警戒する黒澤君だが、彼は直ぐに片手で落ち着かせるよう合図すれば俺の方に持ってきた物を見せては近付き机の上のお土産を寄せてから箱を置いた

先に開いた拓海によって中は露になれば、其処にはケーキが入っていた

『 ケーキ? 』

「 頭を使うときには糖分がいいって言うでしょ?だからどうぞって思ってさ 」

「 毒でも入ってそうですね 」

それはごもっともだと黒澤君の言葉に頷きながらショートケーキへと手を伸ばす

借金返済が終わってから少しでもまともなのが食べれてるならいいか

「 流石に俺でも大好物までは毒を盛らないよ!もっと別のにね 」

『 他国でやったことあるんだな....ったく、いただきます 』

「 止む終えずね....秘書君もどうぞ 」

「 ....いただきます 」

黒澤君もまたショートケーキを手に取れば備え付けのプラスチックのスプーンを出し
一口食べる  

なんて右手は扱い難いんだと思いながら口に含めば、予想以上に旨かった

『 悪くない....そう言えば、御前の弟が居たから俺は輸血をそこまでしてないんだ。礼を言っててくれ....将来いい医者になれるだろって.... 』

「 海君はヘタレだけど、学んだことを瞬時にやるのは優れてるからね....気に入らないけど伝えとくよ....会えばね 」 

『 会わないのか? 』

あの日、海斗が頑張ってくれていたのは知っている
そして最後まで止血するの為に手が血で汚れても塞いでた事は命の恩人だとばかりに思う

両親を俺に殺されたと知ったなら、助けなかっただろうか....

「 喧嘩しちゃってさ....。君と俺の関係知ってるみたい。後、両親の事も.... 」

『 !!.... 』

「 あぁ、だから直ぐに帰ったのですね。顔合わせは出来ないって呟いたので.... 」

黒澤君の言葉に俺が寝てる間にそんな話をしてたのかと思うと同時に
知っていても助けてくれた海斗には感謝しかない

それでも、会わない方がいいのだろうか....

拓海の為でもあり、海斗自身の為でもある



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