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昼休みの休み時間にスマホを開き、メールを打とうか考える

メアドは既に登録してるが、メールの文をなんて送ればいいか迷う

この間は....なんて社交辞令を言うべきか素直に謝ってしまうのが先か....

「 はぁー.... 」

女性相手にメールなんて打ったこと無いし、その最初がこんな送り辛い内容なら尚更難易度は高い
ゲームのように間違えればデータを消すなんて事は出来るわけがない
一発勝負にこんなに弱かったかと溜め息を吐く俺に、前に座っていた本気八木やぎ 遊馬あすまは弁当片手に振り返り告げる

「 さっきから何度溜め息吐いてんだよ。生理痛の女みたいに気持ちわりぃぞ 」

「 ....悩んでんだよ。ほっとけ 」

気持ち悪いなんて俺も思っている
こんなメールの文を何度見て何度削除してその度に溜め息吐いてるんだからな
女々しくてヘタレで、気持ち悪い以外の言葉はないだろ

「 友達をほっとけるわけないだろ、何に悩んでんだ? 」

目の前にいるだけのクラスメートを友達だと思ったことは俺には有るだろうか
バラバラに食べる昼飯や小テストの範囲を見せ合うだけの相手が、友達?
いや、それを友達と認めないなら俺とリクさんはなんだと思うから今は認めて、駄目元で相談してみた

「 ....年上相手に送るメールの内容が思い付かないんだよ 」

「 へぇ、女? 」

「 女だけど.... 」

そう言うときだけ感がいいと思う
普段はぽわっとボケてるような遊馬だがこういう余り知らなくてもいい時だけズカズカと当てやがるから、心に矢が刺さった気がする

「 年上の女かぁ.... 」

弁当のおかずを一つ食い、割り箸を口元に当ててにやにやと笑う遊馬に悪いか?とばかりに目を向ければ彼はにっと白い歯を見せ笑った

「 年上の女の事には年上の男に聞く!すれ恋って知ってるだろ? 」

「 ....あの、出会い系サイトな.... 」

「 そ!それに登録して、男と知り合ってアドバイスとか相談とか何気無く聞いてもらったらどうだ?俺も恋愛より、今は相談役と話す方が楽しいからよ 」

馬鹿兄貴がやってる出会い系サイトを俺が登録したくはない
只でさえ、リクさんに年齢含めて騙して会ったのに次は同じ性別の男に仲良くなりながら相談に乗ってもらうとか
正気の沙汰ではないな

「 ....出会い系サイトに興味ない 」

「 そう言うなって、相談に乗ってくれる男と出逢うことは運だけど。メールのやり取りとかなれるんじゃね?ほら、御前って連絡すら堅いからさ 」

友達に送るメートを含めて連絡内容は必要最低限しか文に書かない
文字を打つのが怠いとか面倒とか、そう言う理由なんて一切ないが単純になんて打てばいいか分からないんだ

遊馬の言葉を聞きながら何気無く検索してアプリのインストール部分を見て指を止める

「 ....年上の女性に帰す内容を早く決めたいのに、そんな相談できそうな人と出逢うのから先って無理ないか? 」

「 そんな事ないさ。帰ってる時にすれ違って夜に話がスタートすれば話のネタとして女性に送るメートとか聞けばいいんじゃね?俺は年上の女なんて興味ないから分からんがな 」

アドバイスは出来ないとはっきり告げる遊馬の言葉に、半信半疑でインストールのボタンを押した
ダウンロードが始まりアプリを開き、机に頬をつけていた顔をあげ設定場面を見せる

「 年齢どうすんだよ 」

「 年齢は二十歳でいいんじゃね?プロフィールもざっと大学生っぽく書けばさ 」

「 ....嘘書くのかよ 」

「 大学生は学生だろ?嘘じゃない。年収もバイトの額でも大学生ならあり得るって 」

嘘に嘘を積み重ねて、なんとなくこのプロフィールを埋めるのは心痛いが 
何も書かないのも相手に不安を与えるかも知れないと思い、仕方なく適当に埋めていく

出身地 日本、血液型 O型、学歴 高卒、年収300万以下、仕事 学生、休日 不定期、煙草 吸わない、お酒 飲まない 身長187㎝、一緒に住んでる人 実家暮らし、出逢うまでの希望、なんて部分を埋めてから
自分の好きな事や趣味のカテゴリーを登録して、数個質問を埋めてから登録は完了だ

「 これでいいか? 」

弁当を食べ終わった遊馬に登録したものを見せれば、こいつはスマホを受け取り俺に告げる 

「 十分じゃん。これなら女の子とも知り合えるんじゃね?大学生なんてモテるからなー 」

「 ....まだ高校生だがな 」

随分と本人確認がないスカスカのサイトなんだと思うが、それでもやってる人は多いのだろ

どうなるかは知らないが、今は身を任せてしまおうとアイコンが適当にアルバムから使われた風景の写メになったが、それでも登録は終わり

スマホを置き、机へと顔を当てる

「 ....嘘に嘘を塗り固めて....高校生だとバレた時が怖いな.... 」

「 弱音吐くなんて珍しい。バレたらそんときだろ? 」

弱音だって吐くさ、
こんな気持ちは初めてなんだからな



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