すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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車の中で見えた学生達は妹と同じ高校の制服を着ていた男子達だった

よく見かける為に、通学の時間は其なりに把握してるが社会人が関わることはない

将来、新社会人として入ってくるなら関わるだろうが大半は違う企業に行くだろう

「 今日のスケジュールの確認ですが.... 」

『 あぁ、なんか覚えていた方がいいのはあるか? 』

「 先日決められた会議の事が何点か 」

そう言えば、前回は妹が夜に人と会ってくれなんて言ってから会議に参加しても上の空だった事を思い出す

なんて面倒なんだと自然と溜め息を吐き、エレベーターへと乗り込り黒澤君がスイッチを押す様子を見て階の数字を見る

『 なぁ、御前は出会い系サイトの" スレ恋 "って知ってるか? 』

「 今人気があるサイトですよね。アプリに登録してるだけですれ違った人が分かるとか....それがどうかしました? 」 

『 そう、それって....年齢偽装して登録できるか調べてくれないか? 』

「 いいですが、必要なことですか? 」

『 ....俺が必要だ 』

あのアプリには裏がある気がしてならない
大半の出会い系サイトには身分証の提示やらあるのだが、あのサイトには其がない

それがどういうことかと考えたら推測は自ずとつくだろ

目的地に着いたエレベーターを降り、オフィスへと向かった俺は頭の中でそのサイトの事を考えていた

「 社長、ちょっと調べた結果分かりましたよ 」

『 なんだ? 』

仕事を終え、続けて会議の事について提示案を見ていた俺にその間に調べてくれていた黒澤君は戻ってくるなり
俺の机にノートパソコンを置き、スイッチを開けば内容を見せる

「 年齢層は20代から30代ですが、偽装することは容易いみたいです。必要な身分証の提示は有りませんし、アプリを入れれば強制的に現在地が分かるGPSが発動しますし、500万の登録者の半数は....サクラかと 」

『 あぁ、やっぱりな 』

「 やっぱりとは? 」

サクラ、それは登録してから人と出逢う約束をすればそれだけで金が貰える
相手がどんな奴だろうが代理のものを立てればサクラとバレずにデートをする

デートのプランもすべてそのサクラをして者がやれば、そのプラン通りに動くだけの者は金を払う必要も下手に深く関わる必要もないんだ

『 俺の妹がこのアプリしててな、サクラをしてるんじゃないかと思った 』

「 えっ、妹さんですか? 」

『 金が欲しいんだろ。まったく....それで、相手もサクラの場合、御互いにメールの中で話していても出逢う本人達は初対面。そんなの出会い系サイトとしてどうかしてるだろ 』

「 確かに矛盾はしてますが、其処で仲良くなればサクラの代行人でもいいんじゃないですか?恋愛なんて其々なんですし 」

サクラの代行人をしてしまった俺にその事を言うか?と何気無く黒澤君を見るが彼の言葉も一理ある

どんな理由で出逢っても恋愛に発展すればサイトはそれで十分なんだろ 
サクラがいようがいまいが、登録人数が増えてカップルの成功率が増えればアプリは課金勢を増やし盛り上がり売り上げは上がる

『 だからってな、GPSがガバガバのサイトなんてどうかしてるぞ。行動が筒抜けじゃないか 』

「 考えが古いんですよ。GPSを使ったアプリなんて今ではごろっとありますよ。社会現象を引き起こしたモンスターを捕まえるアプリもGPS使いますし....求人募集や不動産のサイトも自分の位置とその位置を調べるためにGPS機能は使ってます 」

『 ......GPS機能なんて無くなればいいのに 』

「 無理を言わないでください。今ではカーナビを作るのにも必要になって来てるんですから昭和の考えは止めましょ? 」

そりゃ昭和の人間だが、だからって現在地や歩いてる場所すらガバガバのアプリを使って楽しんでる若者が理解できない

すれ違った相手と恋をするなんて、そんな一瞬しか見ない相手と恋をしてというか気になるからその人がサイトをしていれば、そのサイトからメッセージを送るなんて変だろ

『 気に入らん 』

「 では、サイトに登録してみたらどうですか? 」

『 は? 』

「 よく言うでしょ。とりあえずやってみようって。否定するだけじゃなくやれば考えも変わりますよ? 」 

『 俺がやるなら黒澤君もアプリいれてな? 』

「 嫌ですよ。毎日すれ違う人とピコンピコン鳴るなんて....あ、 」

『 何で御前は通知音しってんだ!まさか、やってるな!? 』

「 興味本意ですって! 」

なんだよ、俺の周りの奴もやってるのか!と驚くよりもこの秘書が出会い系サイトを使ってるなんて思わなかったから内心驚く

サイトで出会わなくてもモテるだろうに、分からないと思った俺だが取り敢えずアプリを入れて設定してみた

『 いれてしまった.... 』

「 挑戦も大事ですよ。社長! 」

笑顔で告げる黒澤君に俺はアプリで男性として登録し、
そして男性とはメッセージ交換できるようにした

男性が男性と繋がる理由の一つとしては、友達を作ると言う目的だ 

サクラが多いって知った中で
やるなんて思わないだろ



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