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しおりを挟む陽妃が落ち着くまで撫でていた俺に弟は涙を堪えてから、ゆっくりと離れた
もう大丈夫そうかと思い、リビングにあるソファーへと移動し其となく向き合うように座り、片手で頬に残る涙を拭く
『 御前の好きな相手は、男か? 』
「 ん.... 」
『 本当、俺と同じだな.... 』
女としてサイトに登録していれば必然的に出会う相手は男性になる
これが男として登録してたなら女になるんだろうが、陽妃の様子からしてずっと女の子で通してるのだろ
俺も弟と思うより妹のように可愛がることの方が多いが、どちらでも可愛い陽妃には変わりない
「 ....お兄ちゃんもホモだもんね。だから彼女出来ない.... 」
『 悪かったな? 』
痛いところを突くと思う
俺は両親のような仲睦まじ夫婦も理想とするのだが、自分の容姿が童顔の為にどうしても美形やらイケメンの男に憧れから惚れることが多い
大半は自分から声をかけてフラれたりするから、30代になり今は恋愛などそっちのけで仕事に専念していた
「 悪くないけど....やっぱり兄弟だなって。そう言えば、夜に会った人とはどうだった? 」
『 兄弟だからな。夜に会った....あぁ、その事なんだが.... 』
「 ん? 」
血の繋がった兄弟だからこそ、目の色も髪色も同じであり華奢な身体や童顔も親譲りでそっくりだと思う
何度か頭を撫でてから微笑む陽妃に、そう言えば昨夜に出会ったカイがクラスにいるときはどんな奴が知りたかった
『 和泉 海斗って知ってるか? 』
「 和泉....あぁ!私より賢い人だ!話したことないけど、バスケ部らしい。大きいんだよ 」
此のぐらいかな?なんて片手を頭の上から離れた場所に置き、身長の大体の高さを見せる陽妃だがそれは座ってるときの差だろう
実際に並んで立ったら俺と15㎝程はある身長差に圧倒されるぐらいと思うんだが、話したことがないと言うならそんな分からないか
『 そいつは....兄とかいるのか? 』
「 兄?どうだろ....月曜日に聞いてみようか? 」
『 聞けるならな 』
「 分かったよ。でも、なんで和泉君の事を知りたいの? 」
弟からしたらクラスメートの名前を出した事すら不思議だろ
だが此処で言わないのは俺達のルールに反するのだが、何となく言って弟が興味を持っても今、好きな人との関係を崩したくないから誤魔化した
「 わっ! 」
ガバッと被さった俺に、ソファーへと押し倒された陽妃は驚きながらも俺を見上げ可愛らしく微笑み頬へと手を当ててきた
『 昨日会った青年にそんな奴の名前を聞いただけさ。友達かもな? 』
「 28歳なのにー? 」
『 若かったよ。騙されたな、陽 』
軽く笑ってから髪に触れ額へと擦り当てれば、陽は俺の首へと両手を回し抱き締めてくる
「 騙された。でも、私も騙してるからいいや....興味ないからさ。適当に話切るね 」
『 あぁ、切っていいよ.... 』
陽妃がそいつとネットの中での会話を切っても別に構わない
高校生に手を出すほど俺は飢えてもなければ、最初から陽妃にちょっかいかける男が気に入らなかっただけだ
メアドを教えたが、連絡を切ると言うなら二度と会わないだろう
そうなると、考えても仕方無いと今は休みの日を満喫しすることにする
『 御前と一緒に一日中居られるなんて、お兄ちゃん一週間頑張った甲斐がある.... 』
「 おーもーいー....んん!お疲れ様っ 」
『 あぁ....少し寝る.... 』
ソファーの横へと僅かに移動し
陽妃と向き合うように抱き合ったまま目を閉じ、眠りにつく
重いとか、邪魔だとか呟きながらも本気で嫌がること無く胸元に顔を埋める陽妃が可愛くて堪らない
「 お兄ちゃんにも....好きな人が出来るといいね.... 」
『 ....ん 』
陽妃が高校を卒業するまで恋愛とか止めたんだ
そんな気遣いは必要ないとばかりに強く抱き締めて、共に眠りにつく
もう、泣かせるのは嫌なんだ
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