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しおりを挟む席を外した時にトイレへと行き、兄へと連絡すれば今 女の子と映画観る予定やらなんやら言ってたけど逸れどころじゃない
デートなんて初めてだからどうしたらいいなんて事を聞いたけど" 流れに任せてたらー? "なんて来てたから返事がない
ふざけんな、くそ兄貴!なんて思ったが食事も注文した今、帰るに帰れなくなっていた
諦めて席へと戻り、兄として話をしたいたが俺じゃないから何処か違和感がある
『 好きな女性のタイプは? 』
「 えっ、女性のタイプですか?そうですね.... 」
テーブルマナーすらままならない俺を気遣ってか、それとも気にしてないのか分からないが緩やかに浮かべた笑みを崩さないリクさんは大人の女性らしい
彼女のような大人の女性ならタイプかも知れない、なんて思うがそれはきっと兄になりきった答えではない
少し考える素振りを見せてから答える
「 素直な女性がタイプです 」
嘘をついてる俺が素直な女性がタイプ、なんて言える立場では無いが兄の好みなら素直で可愛らしい女性が好きだろ
俺なりに選んだ言葉だったのだが、リクさんはへぇと興味無さげに呟き赤ワイン飲む
「( やっぱり18歳じゃないよな )」
グラスからして赤ワインのそれに、18歳が飲めるわけがない
そして俺も同じのを注文してるからこの手元にあるのは赤ワインだろう
高校にいる俺が飲むのか?そう考えていれば、視線が向かれるためにグラスをそっと持ち密かに匂いを嗅ぎ、口へと含んだ
「 ん....?飲みやすい 」
『 ふふっ、それは良かったわ 』
赤ワインってこんなに葡萄らしいのものなのか?って思うが飲みやすいとついつい空にすれば、彼女はゆっくりと立ち上がる
『 そろそろ、出ましょ? 』
「 あ、はい。そうですね 」
互いの皿は空のために此処にいても仕方無いかと彼女の後をついていけば、レジで止まることなく外に出ることに疑問になる
あ、俺が支払うのかと店員へと視線を向ければ彼は答えた
「 気を付けてお帰りなさいませ。お会計は終えられてますよ 」
「 ?分かりました....ご馳走様でした 」
誰が終えたんだろ?って疑問になりながら外へと出れば階段を下りた先で彼女は大きく背伸びをしていた
『 食べた食べた 』
「 あの.... 」
『 ん? 』
男として、兄の代わりとして俺はきっとどちらにしてもダメ男だろ
会計すらスマートに終われ無いのだから
「 会計....ありがとうございます 」
兄の名義でするわけがないのは知ってるために、その場で礼を言えばリクさんはふっと笑みを溢した
『 なんのこと? 』
「 えっ.... 」
『 私の方こそごちそうさま。次は私の行きたいところで良いですか? 』
「 あ、はい!是非行きましょ 」
会計はきっと彼女なのに、それすら無かったように微笑む表情は狡いと思う
兄の代わりだと忘れそうな程にもっとリクさんが気になるのは何故だろうか
不器用で金しか興味のない俺には高嶺の華にしか思えない
『 近くだから歩きましょ 』
「 分かりました。あの、寒くないですか? 」
『 大丈夫ですよ 』
俺が高校生だと知ったら嫌だろうか、なんて思うが彼女が気になるのは兄であって俺じゃない
この一時的な感情も21時までなのだから忘れてしまおうと、今は隣を歩く事だけを楽しんでいた
話す内容はとても些細なことだが、彼女を知れて嬉しいと思うのは何故かは分からない
『 此処、久々にやりたかったんです 』
「 いいですね、こういうのするんですか? 」
『 たまにですがね、しましょ 』
着いた先は、ボウリングやビリヤード、カラオケ、ダーツ等が出来る場所であり
此処なら俺も友達と来ていたことが有るために出来るって思うからこそ嬉しくなる
中へと入れば早速、レジへと向かった彼女の後ろに着いていく
『 ドリンク飲み放題で。なにします? 』
「 あ、ボウリングなんてどうですか? 」
『 ボウリングね、なら先にボウリングして....また後から決めます 』
「 かしこまりました 」
時間をみれば20時を過ぎている
それでもボウリングをするなら21時前がギリギリだろうかと思いながらさっさとトレーを持ちドリンクバーへと向かった彼女に着いていく
「 お酒飲むんですか? 」
『 あ、ダメかな? 』
「 いいですけど。飲みすぎて酔わないでくださいね 」
『 はーい、分かったよ 』
お酒を含めた飲み放題だが、俺は気にする為にレモンサイダーを選び彼女はバーの人にお酒を貰えば、共に二階のボウリング場へと行く
靴を選び、ボールを選ぶのだが俺は13を選びリクさんは9と11を選んでから置く
余り意識してなかったが案外、細くてスラッとした綺麗な指をしてるんだよな....
『 渾名はリクだから、お兄さん。お先にどうぞ 』
「 分かりました。では、カイト....頑張りますね 」
『 ファイト! 』
女性なのに友達と一緒に来てるようなそんな感覚になるのは早かった
しっかりと借りた靴を履き直し、椅子に座ったリクさんがお酒を飲み見てる為に久々のボウリングに気合いは入る
「 ....よし 」
小さく息を履き、軽く助走をつけて転がせば大きなカーブを画きボールはピンの真ん中を貫く
「 よっしゃ!! 」
『 すごっ、あ、残念。1ピン残ってるよ 』
「 えっ?そんな....よし、倒してやる 」
『 ふふっ、頑張ってー 』
笑顔で振り返ったのに残ってることに肩を落とし、もう一度戻ってきたボールを掴み端のピンを狙う
そんな上手く当たるわけもなく、1ピン残した俺は肩を落とすも交代でやって来た彼女は笑った
『 勝負しよ。負けて方がボウリングの会計奢るってどう? 』
「 いいですよ! 」
『 ふふっ、そうこなくっちゃ 』
彼女がどんな実力かは知らないが、勝負事が楽しくない高校生なんていないだろ
頑張って下さいと伝えてから椅子へと戻れば11のボールを持った彼女は綺麗なフォームで転がした
『 ....あ、 』
「 ふっ! 」
投げるまでは綺麗だったのだが、転がった先がガターだった為に吹き出しそうになった俺に、彼女は振り返り苦笑いを浮かべた
『 久々だから!これから!これからだから! 』
「 そうですね、応援してます 」
『 もう!本心じゃないね! 』
「 あははっ! 」
雰囲気のいいレストランもいいけど、そうやって笑いあえる場所の方が俺には向いてると思う
二度目もガターだった為に二人で笑ってから俺の番になる、負けてやれば、なんて思うが勝負事には負けれないのが若さだと思う
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