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しおりを挟む「 海斗くんおはよう! 」
「 はよう 」
学校へと行けば次から次へと挨拶をしてくる女子や男子に一人ずつ挨拶を返していく
この学校にいる間は、兄の事を忘れられるような気がして気分がいい
学力が有るものが上になる
会社で一番大事なことがこの学校には既に備わっている
「 よう、海斗。小テストがあるらしいんだが、悪いが英語のノート見せてくれるか? 」
「 あぁ、いいが。ノートだけでいいのか? 」
俺の席は、後ろの扉から入って真っ直ぐ突き進んだ窓際の一番後ろ
和泉 海斗っていう古典的な" わ "から始まる名字の為に
出席番号順の席はわ行の俺は必然的に最後になる
そして目の前に座る、八木 遊馬もまたや行の為に一学期からずっと俺の前の席に居た
滅多に席替えなんてしないために、自分の周りの席以外の奴とは殆ど会話なんてしない
特にそれが男女なら、尚更だ
「 いいって、御前のノート滅茶苦茶見易いから 」
「 そうか? 」
ノートを貸すなんていつものことで、見られる事を知ってるからこそ見易く纏めた英語のノートを鞄から出し差し出していれば、教室に明るい声が響く
「 おはよう!! 」
「「 おはよう、陽ちゃん 」」
教室に入ってきたのは、確か....
このクラスでは俺の次に賢いと言われている
一ノ瀬 陽妃
クリームの髪色に色素の薄い琥珀色の瞳、それに誰もが頷くほどの美少女だと言われている彼女はその容姿から分かるほど、俺とは住む世界が違う
3年になっても新品同様の制服は毎年買い換えているのは、女子達が話してるのを聞いたことがある
俺と競ってるように成績がいい為に気にはしてるが、直接話をしたことはない
席も前の入り口から入り二番目の場所のために此処から離れてるから尚更だ
寧ろ、挨拶もまともにした事なんて数回程度じゃないかってぐらい彼女は俺には興味を示さない
その理由は直ぐに分かる
「 陽ちゃんのお兄ちゃんめっちゃ格好いいのね!写メちょうだい! 」
「 いいよ。一枚5千円ね 」
「 買う買う!! 」
「 でもさ、兄よりイケメンとかいると思うんだよね。もっとこう....モデルみたいに格好いい人! 」
「 えー、十分。陽ちゃんのお兄ちゃんも格好いいよ 」
一ノ瀬 陽妃、彼女は自らの兄の寝顔やら風呂場の隠し撮りを撮ってはファンであるクラスメートの女子に売ってたりする
そのお金で好きな物を買う彼女にとって、兄は商売道具であり、兄よりイケメンを求めてるからだ
一回りは年上だと聞いた彼女の兄より、イケメンなんて、と考えると浮かぶのは俺の兄....
「 海斗の兄貴もイケメンじゃなかったけ?女子達に売れよ 」
「 は?んな、奴知るか 」
学校にいるときは忘れたかった兄の存在を思い出すなんてな
あんなクソみたいな兄を紹介して写真でも売ったら、それなりに金のある女子達はいい餌だ
兄貴の事だから、上手くメアドでも聞いて姉や母親でも近付いて金でも貰うだろ
そんな事をしたら俺の名誉に関わるからごめんだ
学校では絶対に兄の存在は知られたくないと心に思いながら、陽妃達の話を聞いていた
「 あ、小テストあるんだ!陽ちゃん、ノート見せてー 」
「 え?ノートなんてなんもかいてないよ?私が英語の勉強するわけないじゃん 」
「 あ、そうだった!陽ちゃん、英語ペラペラなんだよね 」
「 そそ、兄が良く喋ってるから聞き慣れたんだよね 」
「( 英語だけじゃないだろ...... )」
陽妃は勉強を全くしてる様子がない
それなのにノートもなにも書かないとなると、その脳は生まれつきいいのだろう
勝ち組だと思うが、羨ましがる事はない
俺が常に3位以内に入っていれば問題ないのだからな
それに、勉強してないと言って其を自慢するような奴ではないから嫌にはなれない
どちらかと言えば清々しいほど、お嬢様気質だと思う
「 海斗、金持ちになりたかったら一ノ瀬と結婚しろよ。金持ちになれるぜ? 」
「 紐男にはなりたくないんでな。ごめんだ 」
俺が貧乏であり、将来給料のいい職に就きたい事を知ってるクラスメートはよく一ノ瀬と付き合わそうとするが興味はない
生まれてこのかた、金以外に興味のない俺は恋愛する気はない
ましては、金持ちだと分かる女とは尚更だ
「( バイトの身が、金が掛かる女を相手出来るわけないだろ.... )」
考えてみたら分かることだろうと思うが、このクラスでバイトしてるなんて俺ぐらいだろうから、何とも言えない
金の有る奴の気持ちなど分かるわけがない
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