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思い出した事
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男を見て初めて笑みがこぼれる。
「この計画はあんたが首謀者?裏に誰かいるのかな?」
「さぁな」
へらへらと笑う男。
諦めか、余裕か。どちらにせよ癇に障る。
倒れたままの男の足に銃を突きつけ、笑顔で聞く。
「どこがいい?」
「あ?」
「選ばせてあげる」
「は?」
「ここ?それともここ?」
膝や太ももに銃を当てていく。
「分かんないかぁ。じゃあ私が決めてあげる」
バンっ
「がぁぁぁぁっ!」
男の叫びとともに足からどろどろと流れ出る液体。
「で?裏にいる奴の名前は?」
「ぐっ……っく、くそっ」
痛みを堪えながらも答えようとしない男。
これは当たりかもしれないな。
「まだ?」
「な、何?……はぁっはぁ…」
「まだ?待ちくたびれちゃったし、もう一箇所いっとこうか」
「ま、待て!」
バンっ
「うがぁぁぁぁっ!」
今度は反対の足から液体が流れ出る。
「あーあ、こんなに汚して。掃除するのも大変なんだよ?」
「………み…」
「ん?」
「く…黒根 実巳(くろね さねみ)だ……」
ズキッ
ガタンっ
名前を聞いた瞬間、酷い頭痛に襲われ膝をつく。
何だ?
耐えられない程の痛みに意識を持っていかれそうになる。頭を抑えながらも何とか意識を維持する。
ああ、そうか。黒根 実巳。こいつだ。思い出した。今までこいつを思い出すまいと無意識に記憶の端に追い出して固く閉ざしていた。だから思い出そうとする度に酷い頭痛に襲われ、目を覚ませば何も覚えていなかった。私の体が言っているんだ。忘れろと。こいつは危険だと。
「ははっははははははっ」
頭痛なんか関係ない。ようやく思い出せたよ。世。やった。
「…イカレてやがる」
「ああ、イカれてるよ。今までずっと自分の為だけにそいつの事を忘れていたなんて。ははははっ」
喜びで我を忘れそうだ。
「それで?そいつは今どこにいる?」
「…もう、いねぇよ」
「はぁ?」
「黒根はもう、隠れちまってる、だろうよ…はぁっはぁ…武器も、この作戦も全部…奴が考えたもんだ…だが、奴は全く興味がねぇ、んだよ…誰が死のうとな…」
「ゴミめ。相変わらずだな」
「も、いいだろ…はぁっはぁ……」
「ああ、まぁいいか。収穫はあったし」
少しほっとしたような表情の男。
「じゃあ、次は地獄で会おう」
膝をついたまま銃を男の頭に向ける。
「ま、待て…も、いいだろ。黒根の事は話した…これ以上は何も知らねぇ…っ」
「ああ。もうこれ以上収穫もなさそうだし、いいよ。君に用はなくなった」
引き金を引こうとした瞬間、
「花子!」
声のした方を見ながら溜め息を漏らす。
いくらなんでもタイミングが良すぎるよ。
同時に心が揺らぐ。
「屋敷にいないとだめじゃん。父さん」
動揺を見せないように笑顔を向ける。
でも確実にそこにいる全員に作り笑いだと気づかれていただろう。
「この計画はあんたが首謀者?裏に誰かいるのかな?」
「さぁな」
へらへらと笑う男。
諦めか、余裕か。どちらにせよ癇に障る。
倒れたままの男の足に銃を突きつけ、笑顔で聞く。
「どこがいい?」
「あ?」
「選ばせてあげる」
「は?」
「ここ?それともここ?」
膝や太ももに銃を当てていく。
「分かんないかぁ。じゃあ私が決めてあげる」
バンっ
「がぁぁぁぁっ!」
男の叫びとともに足からどろどろと流れ出る液体。
「で?裏にいる奴の名前は?」
「ぐっ……っく、くそっ」
痛みを堪えながらも答えようとしない男。
これは当たりかもしれないな。
「まだ?」
「な、何?……はぁっはぁ…」
「まだ?待ちくたびれちゃったし、もう一箇所いっとこうか」
「ま、待て!」
バンっ
「うがぁぁぁぁっ!」
今度は反対の足から液体が流れ出る。
「あーあ、こんなに汚して。掃除するのも大変なんだよ?」
「………み…」
「ん?」
「く…黒根 実巳(くろね さねみ)だ……」
ズキッ
ガタンっ
名前を聞いた瞬間、酷い頭痛に襲われ膝をつく。
何だ?
耐えられない程の痛みに意識を持っていかれそうになる。頭を抑えながらも何とか意識を維持する。
ああ、そうか。黒根 実巳。こいつだ。思い出した。今までこいつを思い出すまいと無意識に記憶の端に追い出して固く閉ざしていた。だから思い出そうとする度に酷い頭痛に襲われ、目を覚ませば何も覚えていなかった。私の体が言っているんだ。忘れろと。こいつは危険だと。
「ははっははははははっ」
頭痛なんか関係ない。ようやく思い出せたよ。世。やった。
「…イカレてやがる」
「ああ、イカれてるよ。今までずっと自分の為だけにそいつの事を忘れていたなんて。ははははっ」
喜びで我を忘れそうだ。
「それで?そいつは今どこにいる?」
「…もう、いねぇよ」
「はぁ?」
「黒根はもう、隠れちまってる、だろうよ…はぁっはぁ…武器も、この作戦も全部…奴が考えたもんだ…だが、奴は全く興味がねぇ、んだよ…誰が死のうとな…」
「ゴミめ。相変わらずだな」
「も、いいだろ…はぁっはぁ……」
「ああ、まぁいいか。収穫はあったし」
少しほっとしたような表情の男。
「じゃあ、次は地獄で会おう」
膝をついたまま銃を男の頭に向ける。
「ま、待て…も、いいだろ。黒根の事は話した…これ以上は何も知らねぇ…っ」
「ああ。もうこれ以上収穫もなさそうだし、いいよ。君に用はなくなった」
引き金を引こうとした瞬間、
「花子!」
声のした方を見ながら溜め息を漏らす。
いくらなんでもタイミングが良すぎるよ。
同時に心が揺らぐ。
「屋敷にいないとだめじゃん。父さん」
動揺を見せないように笑顔を向ける。
でも確実にそこにいる全員に作り笑いだと気づかれていただろう。
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