猫かぶりのライオン

翠華

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反抗

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「それ恐喝じゃねぇの」


出席番号2番の奴だ。


「あくまで抑制の為だ。血の気の多いやつばっかで危ねぇ事する奴もいるからな。ま、最終手段だ。俺ら教師は馬鹿じゃねぇ」


「てめぇ、いつまでも見下してんじゃねぇよ」


「怖いねー。とりあえずお前らは休まず登校して来い。この学校は他の学校より厳しい。甘ったるい気持ちで来ると続かねぇぞ」


「ちっ」


出席番号2番はずっと恨めしそうに赤羽先生を睨み続けているが、赤羽先生は全く気にせず話を続ける。


これは後々面倒な事にならなきゃいいけど。


「今日はここまでだ。明日からもサボらず登校するように。じゃ、気をつけて帰れよ」


赤羽先生は眠そうに教室を出て行く。


「あの野郎!舐めやがって!」


出席番号2番が椅子を蹴飛ばして俺と本郷の目の前に立つ。


「おい、お前ら特待生だろ?だったらちょっと協力してくれよ。あいつ、ぶっ殺してやる」


やっぱり面倒な事になった。


「俺は人を殺しに来たわけじゃねぇ」


本郷は興味無さそうだ。


良かった。でも俺を殺してやるとか言っていたのはどこのどいつなんだか。


「俺もやめときます」


「おいおい、特待生の癖に怖かってんじゃねぇよ。てめぇら何の為にここに来てんだよ。学校の頂点取って生徒や教師全員駒として使ってやる為だろうが」


「………」


「何黙ってんだよ。特待生になったから俺みてぇな奴は相手にしませんってか?ああ?」


「はぁ…」


「あ?何溜息ついてんだよ。文句あんなら言ってみろや」


出席番号2番が本郷にガン飛ばしている。しかし本郷はあまり気にしていないようだ。何かこの短い間に本郷が大人になったように見える。


「初日から喧嘩なんてやめましょう」


「おいおい、何自分は関係ねぇみたいに言ってんだよ。てめぇも特待生だろうが。つかてめぇ試験じゃ見てねぇな。せこい手でも使ったのかよ?」


今度は止めに入った俺が標的になる。


やはり口出しなんてするもんじゃない。


「そんな事しませんよ。結構人が密集してましたし、ちゃんと見張りの先生もいました。それに、運も実力のうちと言いますから」


「ふん、てめぇ裏で何か手回してたんだろ?俺にも教えてくれよ。金か?コネか?それとも…」


出席番号2番は上から下まで舌舐めずりするように見てくる。


気持ち悪い。


「ああ、体か。その体と女みてぇなその顔ならいけるかもなぁ?」


「………」


何も言えない。でも何か気分悪ぃな。一発ぶん殴ってやろうか。


「まさか。本当に運が良かったんですよ。転んでちょっと頭ぶつけて気絶してたんですけど、目が覚めたら皆倒れてて、話がどんどん進んで気づいた時には特待生になってたって感じです」


「けっ、本当に役立たずじゃねぇか」


「はい。俺を味方につけても何の役にも立ちません。なので帰らせてもらってもいいですか?」


「ちっ、さっさと消え失せな」


「ありがとうございます」


俺は教室から聞こえる罵声を無視して鼻歌を歌いながら学校を出る。
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