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自己紹介
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「さて、こちらは終わった。今度はそちらの番だ。まずは左側の君」
会長が刺青の男に視線を向ける。
刺青の男は生徒会メンバーに見つめられ、おずおずと口を開く。
「俺は本郷 強士郎(ほんごう きょうしろう)青鳥地区から来た」
途端に部屋の中が殺気で溢れる。
「青鳥地区ですか。あそこは人身売買などを頻繁に行っていて、その組織の本部があるそうですね。貴方はそのような事に関わりがありましたか?」
副会長は人を殺せそうな程冷たい瞳で本郷を見ている。さっきの作り笑顔よりは人間らしくていいと思うけど、相当恨みが深そうだ。
「た、確かに不良、やヤクザなら、大体の奴はやっていた。だ、だが俺はそういう事には興味が無かった、し、一度そういう世界に入っちまう、と戻って来られなくなる、から、してない。俺は強さだけが欲しくてここに来たんだ」
ちょいちょいつまずいてたけどよく言いきったな。聞いてるこっちがヒヤヒヤしたわ。まぁ、ちゃんと言っとかないと後から何されるか分かんない顔してるからな、副会長。
「そうですか」
しかし、副会長の殺気は消えない。本郷は固まったまま動けないようだ。
青鳥地区への恨みはマジで深いみたいだ。本郷を見ているが、あの綺麗な青い瞳にはもっと別の人間が映っている。
「霧人、落ち着け。次、隣の君」
会長が言うと、副会長は一瞬ハッとしたがすぐ笑顔を貼り付ける。
切り替えが早い事で。
「浅見 紅炎(あざみ こうえん)です。赤薔薇地区から来ました。宜しくお願いします」
「赤薔薇地区か。そう言えば、最近その地区で妙な噂を耳にしたんだが、君は何か知らないか?」
会長は顎に指を当てて考える仕草をする。
「噂、ですか」
「確か、真っ暗な深夜に現れ裏社会の人間を次々襲ってるとか」
「その噂なら知ってます。手がかりがなく、未だに捕まっていないとか」
「怖くはないのか?」
「何がです?」
「凶悪な犯罪者が同じ地区にいるんだぞ?」
会長は試すように俺を見る。
「もちろん怖いですよ。でも一般人が襲われたなんて噂はありませんし、普通に生活していれば大丈夫なんだと勝手に思い込んでました」
「成程。君は強いんだね」
「そんな事ありませんよ」
「そうか。では一つ質問だ。君は見た目とても気弱そうに見えるが、何故こんな不良ばかりが集まる学校を選んだのかな?」
「強くなりたいからです」
「その必要は無さそうだが」
「何故ですか?」
「この学校のトップである我々の目を見てはっきり発言出来、怖気づいている気配すら感じない。大したものだ。今まで俺達を前にして堂々としていられた奴は少ない。そして今日の試験を合格し、ここに来た。メンタルも力も強いのではないか?」
「俺が欲しい強さはもっと別のものです」
そう言った瞬間、部屋の温度が下がった気がした。
「へぇ、じゃあ何がしたいわけ?」
ずっと黙って聞いていたピアス多めの会計の人が殺気の籠った目で俺を見る。
「言えません」
「…ふん。大口叩く割にはそんなもんかよ。ったく、時間の無駄じゃねぇか」
「すみません」
嘘のように殺気が消えた。意外だ。ピアス多めの会計の人は短気そうに見えて自分をしっかりコントロール出来ている。こういう人は周りに影響されにくいから頼りになる。
多分、会長に言わせるより自分がキレたフリして話を引き出す方が自然だと思ったんだろう。
「もういいかな。そろそろ本題に入りたいんだけど」
え、この腹黒さん、自分が始めた会話を関係ない感じで終わらせたよ。いやまぁ助かったけど。
会長が刺青の男に視線を向ける。
刺青の男は生徒会メンバーに見つめられ、おずおずと口を開く。
「俺は本郷 強士郎(ほんごう きょうしろう)青鳥地区から来た」
途端に部屋の中が殺気で溢れる。
「青鳥地区ですか。あそこは人身売買などを頻繁に行っていて、その組織の本部があるそうですね。貴方はそのような事に関わりがありましたか?」
副会長は人を殺せそうな程冷たい瞳で本郷を見ている。さっきの作り笑顔よりは人間らしくていいと思うけど、相当恨みが深そうだ。
「た、確かに不良、やヤクザなら、大体の奴はやっていた。だ、だが俺はそういう事には興味が無かった、し、一度そういう世界に入っちまう、と戻って来られなくなる、から、してない。俺は強さだけが欲しくてここに来たんだ」
ちょいちょいつまずいてたけどよく言いきったな。聞いてるこっちがヒヤヒヤしたわ。まぁ、ちゃんと言っとかないと後から何されるか分かんない顔してるからな、副会長。
「そうですか」
しかし、副会長の殺気は消えない。本郷は固まったまま動けないようだ。
青鳥地区への恨みはマジで深いみたいだ。本郷を見ているが、あの綺麗な青い瞳にはもっと別の人間が映っている。
「霧人、落ち着け。次、隣の君」
会長が言うと、副会長は一瞬ハッとしたがすぐ笑顔を貼り付ける。
切り替えが早い事で。
「浅見 紅炎(あざみ こうえん)です。赤薔薇地区から来ました。宜しくお願いします」
「赤薔薇地区か。そう言えば、最近その地区で妙な噂を耳にしたんだが、君は何か知らないか?」
会長は顎に指を当てて考える仕草をする。
「噂、ですか」
「確か、真っ暗な深夜に現れ裏社会の人間を次々襲ってるとか」
「その噂なら知ってます。手がかりがなく、未だに捕まっていないとか」
「怖くはないのか?」
「何がです?」
「凶悪な犯罪者が同じ地区にいるんだぞ?」
会長は試すように俺を見る。
「もちろん怖いですよ。でも一般人が襲われたなんて噂はありませんし、普通に生活していれば大丈夫なんだと勝手に思い込んでました」
「成程。君は強いんだね」
「そんな事ありませんよ」
「そうか。では一つ質問だ。君は見た目とても気弱そうに見えるが、何故こんな不良ばかりが集まる学校を選んだのかな?」
「強くなりたいからです」
「その必要は無さそうだが」
「何故ですか?」
「この学校のトップである我々の目を見てはっきり発言出来、怖気づいている気配すら感じない。大したものだ。今まで俺達を前にして堂々としていられた奴は少ない。そして今日の試験を合格し、ここに来た。メンタルも力も強いのではないか?」
「俺が欲しい強さはもっと別のものです」
そう言った瞬間、部屋の温度が下がった気がした。
「へぇ、じゃあ何がしたいわけ?」
ずっと黙って聞いていたピアス多めの会計の人が殺気の籠った目で俺を見る。
「言えません」
「…ふん。大口叩く割にはそんなもんかよ。ったく、時間の無駄じゃねぇか」
「すみません」
嘘のように殺気が消えた。意外だ。ピアス多めの会計の人は短気そうに見えて自分をしっかりコントロール出来ている。こういう人は周りに影響されにくいから頼りになる。
多分、会長に言わせるより自分がキレたフリして話を引き出す方が自然だと思ったんだろう。
「もういいかな。そろそろ本題に入りたいんだけど」
え、この腹黒さん、自分が始めた会話を関係ない感じで終わらせたよ。いやまぁ助かったけど。
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