上 下
17 / 33

友達の家

しおりを挟む



---



ある日、幼馴染の友人から連絡があり、久しぶりに遊びに来てほしいと言われた。彼女とは学生時代に仲が良かったが、しばらく会っていなかったため、私は楽しみにしてその日の夕方、彼女の家に向かった。

彼女の家は古い一軒家で、周りは少し寂れた雰囲気が漂っていた。玄関に着くと、友人は笑顔で出迎えてくれた。部屋に通され、昔の話や近況について盛り上がり、懐かしさで時間があっという間に過ぎた。

しかし、ふと気づくと、家の中がやけに静かで不自然だった。誰か他の家族がいる様子が全く感じられないのだ。不審に思い、私は「お家の人は?」と尋ねた。すると彼女は少し驚いたような表情をして、「ああ、みんな出かけてるんだよ」とだけ答えた。

そのまま少し会話が続いたが、どうも彼女の様子がおかしい。以前と変わらない笑顔ではあったが、どこかぎこちない。それに加えて、家の中の空気が重く、何かが違うと感じた。気味が悪くなってきた私は、帰る時間だと言い、急いで家を出た。

数日後、別の友人にその幼馴染のことを話したところ、彼女は驚いた顔をしてこう言った。「え?知らなかったの?彼女、もう半年前に亡くなったよ。あの家も、今は誰も住んでないはずだよ。」

その言葉を聞いた瞬間、私は全身が凍りついた。確かに私は彼女の家で彼女と話していたはずなのに…。急いで確認すると、その家は確かに今では空き家になっていた。そして、思い返してみると、あの日彼女の家のドアを開けたとき、彼女の影が少しだけ浮いていたことを思い出した。














---

この話の怖さは、主人公が普通に接していた友人がすでに亡くなっていたことに気づく点です。違和感に気づかず過ごしていた日常が、一瞬で不気味な現実へと変わり、過去と現実の境界が曖昧になる恐怖がじわじわと迫ってきます。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ちょこっと怖い話・短編集(毎話1000文字前後)──オリジナル

山本みんみ
ホラー
少しゾワっとする話、1話1000文字前後の短編集です。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜舐める編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

処理中です...