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友達の家
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ある日、幼馴染の友人から連絡があり、久しぶりに遊びに来てほしいと言われた。彼女とは学生時代に仲が良かったが、しばらく会っていなかったため、私は楽しみにしてその日の夕方、彼女の家に向かった。
彼女の家は古い一軒家で、周りは少し寂れた雰囲気が漂っていた。玄関に着くと、友人は笑顔で出迎えてくれた。部屋に通され、昔の話や近況について盛り上がり、懐かしさで時間があっという間に過ぎた。
しかし、ふと気づくと、家の中がやけに静かで不自然だった。誰か他の家族がいる様子が全く感じられないのだ。不審に思い、私は「お家の人は?」と尋ねた。すると彼女は少し驚いたような表情をして、「ああ、みんな出かけてるんだよ」とだけ答えた。
そのまま少し会話が続いたが、どうも彼女の様子がおかしい。以前と変わらない笑顔ではあったが、どこかぎこちない。それに加えて、家の中の空気が重く、何かが違うと感じた。気味が悪くなってきた私は、帰る時間だと言い、急いで家を出た。
数日後、別の友人にその幼馴染のことを話したところ、彼女は驚いた顔をしてこう言った。「え?知らなかったの?彼女、もう半年前に亡くなったよ。あの家も、今は誰も住んでないはずだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、私は全身が凍りついた。確かに私は彼女の家で彼女と話していたはずなのに…。急いで確認すると、その家は確かに今では空き家になっていた。そして、思い返してみると、あの日彼女の家のドアを開けたとき、彼女の影が少しだけ浮いていたことを思い出した。
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この話の怖さは、主人公が普通に接していた友人がすでに亡くなっていたことに気づく点です。違和感に気づかず過ごしていた日常が、一瞬で不気味な現実へと変わり、過去と現実の境界が曖昧になる恐怖がじわじわと迫ってきます。
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