ゾクッとくる？怖い話・短編集(オリジナル)

隣の住人

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ある日、安いアパートを見つけて引っ越した。部屋は少し古びていたが、住むには問題なかった。隣の住人は会ったことがないが、毎晩遅くに何か物音が聞こえる。話し声や何かを引きずるような音が、薄い壁越しに響いてくるのだ。

最初は気にしなかったが、ある晩、夜中にその音があまりに大きくなり、眠れなくなった。ドア越しに「少し静かにしてもらえますか？」と声をかけたが、反応はなかった。それ以来、音はさらにひどくなった。

数日後、我慢できずに管理人に苦情を言うと、管理人は驚いた顔で言った。

「隣の部屋？そこ、誰も住んでないですよ。数か月前から空き部屋のはずです。」

背筋が凍った私は、確認のため隣の部屋のドアをノックしてみた。しかし返事はない。管理人に頼んで鍵を開けてもらうと、中は荒れ果てた部屋だった。家具もほとんどなく、何もないはずなのに、床には何かが引きずられたような長い線が残っていた。

その夜、再び隣の部屋から音が響いてきた。まるで、誰かが重い荷物を引きずるような音が、壁のすぐ向こうから聞こえていた。




























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住人がいると思い込んでいた隣の部屋が実は「空き部屋」であるという事実と、にもかかわらずそこからの音が続くことです。壁越しに響く音が、存在しないはずの「誰か」を暗示している点が不気味です。