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八話

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襲撃事件から数日が経ち、カタリアとレアンドロスの絆はさらに深まりました。レアンドロスは宮廷内の信頼できる護衛を増やし、カタリアがどこへ行くにも常に守られるように配慮しました。

しかし、襲撃の主謀者が捕らえられたとき、彼女のもとに告げられた真実は衝撃的でした。その背後には、レアンドロスの長年の側近であり、カタリアを見下す冷たい視線を送っていた貴族たちが関わっていたのです。彼らは、異国の娘が皇帝の心を奪うことを受け入れられず、自分たちの権威を守ろうと画策していたのでした。

レアンドロスは激怒しました。忠誠を誓っていたはずの側近たちが裏切り、彼の大切な人を狙うとは想像すらしていなかったのです。貴族たちへの裁きが進む中で、カタリアは複雑な感情に苛まれていました。自分がここにいることでレアンドロスに重い負担をかけ、彼の帝国に不安をもたらしているのではないか、という思いが胸を締め付けていたのです。

「わたしが、ここを去れば、陛下の負担が軽くなるのでは……」

カタリアは一人で宮殿の庭に佇み、夜空を見上げながら自問自答しました。その時、ふと背後に人の気配を感じ、振り返るとレアンドロスが立っていました。彼はカタリアの不安な表情を見つめ、静かに彼女の手を取りました。

「カタリア、何も言わずに立ち去ろうとしているのか?」

その問いに、彼女はうつむきながら小さくうなずきました。

「わたしがいることで、陛下が危険に晒されるのが耐えられないのです。どうしても、わたしのために皆が争うのを見たくありません」

レアンドロスは深いため息をつき、カタリアの肩をそっと引き寄せました。

「そなたがいなくなれば、私は心の半分を失うことになる。それは、帝国にとっても決して良いことではない」

彼の言葉には、真摯な思いが込められていました。

「そなたの存在は、私にとって必要不可欠だ。貴族たちが何を思おうと、私が守ると決めたものを手放すことはない」

レアンドロスの決意を聞き、カタリアは再び胸が温かくなるのを感じました。彼女はこの地に留まり、彼の傍にいることを心に決めたのです。どんな危険が訪れようとも、二人で乗り越えていく覚悟が彼女の中で育まれていました。

その後、貴族たちの一部は処罰され、残りの者も忠誠を誓い直しました。レアンドロスとカタリアの絆は、宮廷内でも次第に認められるようになり、彼女は皇帝の「遂げ人」としての役目を果たしていくのでした。

カタリアは、かつて孤独で無価値だと思っていた自分が、いまでは帝国の未来を共に背負う存在になれたことに驚きと喜びを感じていました。そして、彼女を支え、守り抜くと誓ってくれたレアンドロスと共に、彼女もまた彼を守りたいと願うようになっていたのです。
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