それでも大丈夫な理由があるのです



メロリア・アルレーヌは、子爵家の次女として生まれ、優雅な生活を送っていた。しかし、心の奥にはいつも孤独が潜んでいた。彼女には、長年の夢である婚約者、アルレシアン伯爵家の長男ロール・アルレシアンがいたが、その夢は一瞬にして崩れ去った。

「ごめん、メロリア。僕には他に好きな人がいるんだ。」

ロールの言葉は、彼女の心を貫く矢のようだった。婚約が決まったばかりの喜びは、一瞬で絶望に変わった。しかし、彼女は表情を崩さないように努めた。周囲の人々には、何事もないかのように微笑み続けた。

ある日、メロリアは川辺でひとり、静かな時間を過ごしていた。その時、突然水しぶきが上がり、彼女の視界に映ったのは、溺れかけている王子、レオリス・グリフォリアだった。彼女は迷わず王子の元へ駆け寄り、彼を助けるために手を差し伸べた。

だが、その瞬間、彼女の運命は大きく変わった。川の流れが彼女を呑み込み、右目に激しい痛みが走った。メロリアは、自分の視力を失ったことを理解する暇もなく、意識を失った。

目を覚ました時、彼女の視界は暗闇に包まれていた。恐怖と混乱の中から、彼女を見下ろす優しい視線があった。それは、助けを求めた王子レオリスだった。彼は、彼女の身を犠牲にしてまで助けてくれたことに深い感謝を示した。

「君がいなかったら、私は今ここにいなかった。メロリア、君を一目見た瞬間から、心を奪われてしまった。」

彼の告白は、メロリアの心を温かく包み込んだ。しかし、視力を失った彼女は、果たして彼と共に歩む未来を受け入れられるのか、自問自答することしかできなかった。

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