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14、はじめての迷宮ですわ〜!
しおりを挟む四足の迷宮の前にいる。
道中や野営はまさに何事もなく、面白みもなく無事に経過した。
「おお、やはり迷宮の門は迫力があるでござるなあ」
「でっけぇですわ~!」
一通り感動したら、いざ、侵入だ。
迷宮内部は、草原のように広々としていた。
外からみたときは裏側もなく、ただの門のみだったのだが。やはりどこかに転移などさせられているということだろう。
「草の背が高いでござるなー。これは警戒しておかないと不意打ちが怖いでござる」
「サモン、ゴブリン!斥候として先頭を進ませますわ~!索敵はゴブリンと、スズナ様におまかせしますわね!」
「おお、使い捨ての肉壁は便利でござるなー」
幻影召喚でうまれたソレは、粉々に撃破されても翌日また召喚出来ることが判明している。
なので、こうやって、一番危険な位置に配備することができる。
「と、さっそく1匹……おお、シャドウウルフが単独でござる!運がいいでござるなー、仕留めるでござるよ!」
「や、やりますわよ~!」
現れたのはシャドウウルフ。薄暗い毛並み、大型犬ほどの体躯で、夜間に群れで狩りをする魔物だ。
しかしここは迷宮、そして何故か日が登っているようにみえる。シャドウウルフの強みは、ない。
とはいえスピードもパワーも人よりは上だ。
ゴブリンに素早く接近、ゴブリンが木の棒を構えるよりはやく、その喉を噛み砕く。
しかしそのスキにスズナが接近、シャドウウルフの右後ろに物音を発生させそちらに気を引き、一瞬だけ気が逸れたシャドウウルフの左側面を蹴り飛ばす。
よろけはするが倒れない程度のダメージだが、これもまた気をそらせるための攻撃だった。
音によって追撃がくると思わせ、しっかりと左を意識させる。しかしそこにはもう、スズナはいない。居るのは剣を構えた、囮役のお嬢様だ。
こいつではない、と気づいた時にはもう遅い。真上から、首に向かってダガーが振り下ろされる。
深く刺さり、絶命。シャドウウルフ、討伐完了だ。
「ふ、ふっ……さすがにウルフ系だと、体力使うでござるなー……四足はまだ早かったでござるか……?」
「わ、レベルが上がりましてよ!幻影も戦闘参加判定ですのね?」
薔薇小路 牡丹(ボタン) 17歳
レベル 4
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(小)
食事量アップ(極小)
魔法 黒『食魔法』
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
幻影 ゴブリン(極小)
「お、ドロップもきたでござる!……これは、シャドウウルフの剥製……?でかいでござる……いやでも軽い。売れるでござるかね……?」
「か、かっこいいですわ~!ほしい!ほしいけど置くところはない!残念ですけれど売却しますわ~!」
「うむ、まあ、そこそこの値にはなるでござろう、きっと。……さすがに連戦はきついでござるし、今回の探索は終わるでござるよ?我々には四足はまだ早かったでござる」
「次回はスライム迷宮にいきませんこと?」
「スライムは我々には相性がわるいでござる……いやでも、シャドウウルフの幻影がいれば問題ないでござるかね?うーん……骨が食べられるなら、骨の迷宮のほうがいいでござるが……」
「骨、まあ、食べれなくはないですわよ?粉砕して水で練って焼いて、お煎餅ですわ~!」
「食えるのか、骨……なら次回は骨の迷宮にいくでござる。……人型のノロマなら、いくらでも殺れるでござる」
一戦で難易度を理解し、撤退する。正直、一層なら余裕があると、ふたりとも思ってはいたが。戦闘力不足である。
シャドウウルフの肉やら皮やらを解体し、袋につめる。これは帰るまでの今日と明日で食べきれそうだ。
これで、次回にはシャドウウルフの幻影も戦闘につかえる。戦力増強の意味では、最速で最高の結果を得られた、といってもいいのかもしれない。
無事に全て食べ切り、町に戻った。幻影のシャドウウルフは、かわいかった。そしてそこそこつよかった。
道中、ゴブリンの群れに襲われたが、スズナとシャドウウルフが蹂躙してくれた。そしてシャドウウルフがゴブリンを1匹平らげてくれたため、ゴブリンの召喚数が1増えた。
薔薇小路 牡丹(ボタン) 17歳
レベル 4
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(小)
食事量アップ(極小)
魔法 黒『食魔法』
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
幻影 ゴブリン(極小)
ゴブリン(小)
シャドウウルフ(小)
シャドウウルフの剥製は、そこそこ高く売れた。
お貴族様からの予約が入っていたらしい。銀貨20枚になった。聞けば、剥製はドロップ率がとんでもなく低いそうだ。
ふたりはほくほく顔で、一生縁がないと思っていた高級海鮮料亭に向かった。
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