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141話、深海の宝物庫
しおりを挟む81日目。
朝ごはんをみんなで食べ、街の見回りもそこそこに、朝のうちに海の方へ行く。イカちゃんたちに、深海の宝物庫を探してもらうように伝えるためだ。
朝ごはんに食べたパンケーキが胸にくる。マリアの真似なんかするんじゃなかった。
嗚咽を我慢しながら、砂漠を馬ちゃんで走り抜ける。揺れがキツい。いつもは気にならないのに。
海への扉を開ける。潮風がきつい。今日もうなにしてもきついかもしれない。甘いものが嫌いになりそうだ。
少しだけ休憩して、それからイカちゃんを呼ぶ。
前見た時よりいくらか大きくなってる気がするクラーケンに、深海の宝物庫の事を伝える。
すると、脳内にぼんやりとイメージが伝えられる。
……どうやら、クラーケンが宝を溜め込んである場所に、不思議な扉があるらしい。うん、それだろうね。つくづく都合がいいというか。
それなら連れてってもらおう、と思ったけど。まだ気持ち悪い。もう少し休憩して、調理班にもらったお弁当を食べてからにしよう。日傘がわりにクラーケンに太陽を遮ってもらって、のんびりと昼時を過ごす。バカンスも、いいなあ。
イカちゃんの魔法と自分の聖気術で、水中でも問題なく呼吸ができる。ちゃんと稽古しててよかった。海の中の暗さはどうにもできなかったけど、イカちゃんの宝置き場は何故か明るいそうなのでそこまでは我慢する。
イカちゃんの泳ぎはめちゃくちゃ早い。水の音を聞きながら、イカちゃんにしがみついて移動している。なかなか楽しい。今度誰かと来よう。
イカちゃんの宝置き場に着いた。
明らかなガラクタから、朽ちた船、見るからに価値のあるデカい宝石、いろいろとある。
わ、かっこいい石像もある。欲しいな。
だが、それよりも。
「空気も光もあるじゃん。扉の力かな」
息も普通にできるし、ちゃんと明るい。アビスの迷宮十四層のような、水中ドームだ。
中央に、見慣れた扉がみえる。あれが、深海の宝物庫の扉だろうか。
とりあえず入ってみよう。
扉の中は、綺麗な宝物庫だった。宝物庫といわれて想像するままの宝物庫、という感じだ。台座や棚に整然とされていて、それぞれがなんなのかの説明書きもキチンとある。
誰が残したものなのだろう。ヘリオスか、アビスかなぁ。
いろいろと気になるものはあったが、とりあえず、目的はスキルオーブだ。
スキルオーブがいくつも並ぶ棚を見つけたので、端からみていく。
各種基本属性魔法に、派生属性魔法、特殊な魔法、剣術や棒術、話術や詐術、なんでもありそうだ。
「魔物吸収は……ああ、あった」
魔物生成、魔物強化、魔物合成なんかと並んで、魔物吸収のスキルオーブがあった。
説明によれば、自分が食べた魔物の能力を完全に使用できるようになるという。……ちゃんと全部食べないといけないようだ。
つまり、トロちゃんなんかは食べきれないから吸収できない、って事だな。いや、食べないけど。
「全部食べられるくらいのサイズの魔物……うーん」
何体かしかいないのでは?
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