46 / 79
さよならへのカウントダウン その3
しおりを挟む
避妊薬の原料在庫管理表を回収しお土産にたくさんの焼き芋も受け取り、新たな包装用資材の検討をするためにマリアンヌは資料管理室へと向かっていた。
事務本館の階段を上がり資料管理室のフロアへ来ると働き出してすぐの頃にご挨拶して以来、なにかとお世話をしてくれる”3人姉さん”がいた。彼女たちがネイトと楽しそうにわちゃわちゃしている。
「おそようございます、あれ3人姉さんお疲れ様です。何か御用ですか?」
資料管理室近くまでやってくると、よろよろと立つ同僚のネイトと数メートル先の通路にいつも楽しく遊んでくれる綺麗どころのお姉様たちがみえた。
「あなたっ、いつもそうやって私たちのことをひとまとめに呼ぶんじゃないわよっ!私の名前はライラック・フェルゲンよ、ライラック様とお呼びなさいと言っているでしょうっ」
金髪巻毛が今日もゴージャスに揺れながら、こちらへ戻ってくる。
「ごきげんよう、ライラック様。えーと、あとは、えーとっ。。。」
マリアンヌはやはり人の名前を覚えるのが苦手なのである。
「・・・ステラ・スノーワースよ、あなた何年先輩に名乗らせれば気が済むの?」
マリアンヌ的推し、研究所一番の黒髪美女が呆れ顔である。
「ミモレ・シルバティーの名前はもう、絶対に、完璧に、覚えているわよね!?(きゅるん」
「あ、えっとぅ、、、はぃ」
「おま、わすれてただろっ?あん!?(凄み」
年齢不詳の茶髪美少女は今日も絶好調に人格がぶれている。
それにしてもリオネルのこともあり、3人の名前をいまだに覚えることができない自身のトリ頭っぷりに情けなくなるマリアンヌであった。
「ところで、お姉様方私のことをお話しのように聞こえたのですがご用はお済みでしたでしょうか」
手元のお芋に気を取られながらも、麗しき3人のお姉様方にはいつも構ってもらっている恩もあるので礼は尽くしたいマリアンヌ。
「あ、ええ、あなたにお祝いを伝えたくて伺ったのだけどいらっしゃらなかったから」
「ほほう。それはありがとうございます。して、何のお祝い?」
親切にも慶事にお祝いごとを、とおっしゃるがここ最近不調と不和はあれど何もめでたいことなど身に覚えのないマリアンヌは不思議顔である。
それにしても良い香りの手元のお芋を、気心のしれたお姉様を前に気が緩み、ついつい口にしてしまったマリアンヌ。
もぐもぐと不遜にも貴族令嬢の前で食べ始めたマリアンヌに対し、
「人に話しかけておいて芋を食べるなっ!」
長いまつげに縁取られた美しいグリーンアイをこぼれそうに開きライラック・フェルゲンが叫ぶ。再び集まる周囲の目。
「(もぐもぐもぐ、ごくん) 大変失礼いたしました。熱いうちにいただくのが作ってくれた方へのマナーと考えこのように。冷めても美味しいのですが、やはり熱い焼き芋は”焼き”芋だけに焼かれてなんぼのものですから。もしよろしかったらレシピと新種の芋をおもちになりますか?美味しいんですよ」
「ちょ、っちょっとあなた、いらないからっ」
「ほんとうに美味しいんですよ、あ、みなさんにも午後にお芋配りますねー」
と、フロアにいる人たちに声をかける気配り上手シゴデキなマリアンヌ。
フロアにいる何人かは通路に顔をだし、笑顔でこちらに手を振ってくれている。
「ねぇ、あなた。恋人がいらっしゃるってほんと?しかも上級研究員なの?」
「・・・はい、おります。今のところ。。。」
「なに、意味深ね?いまのところってなに?ちょっとそこのところ詳しく話してもらいましょうか」
ぐいぐいと来るお姉様方に圧倒される。しかし今は勤務時間中である。
「経験豊富なお姉様方に相談したいことはやまのようにあるのですが、今は仕事中ですので改めて終業後などにお時間をいただければとおもいます」
ぺこり、と頭をさげてお姉様方にもお芋を配り終えたことだし。と資料管理室へ戻ろうとするマリアンヌを止めたのは金髪巻毛美女のライラック様である。
「なぜ私たちがあなたのために、仕事終わりに時間を割かなくちゃいけないのよ!」
「・・・だめでしたか、、、では「だめとはいってないわよ」」
ん?とライラックを見つめると腕を組み顎をあげそっぽを向きながらもチラチラとこちらを見ている。
「あの・・・ではお話を聞いていただけると?」
「まぁ、どうしてもというなら聞いてあげなくもなくはないわね」
聞くのか聞かないのか、どっちなんだいっ!とそばにいたネイトは心の中で盛大にツッコんでいた。
「では本日終業後に、、、」
「構わないわよ、お二人もよろしくて?」
「「もちろん!!」」
実のところ、経験豊富そうに見えるだけで、ほとんど経験値が無に近い3人組だということはマリアンヌは全くわかっていなかった。
そして終業時間になるやいなや、3人姉さんは資料管理室を突撃しマリアンヌを半ば拉致のような形で捕獲し王都で流行のレストランの個室に連行していったのであった。
そこは図らずもマントデドラゴ社の経営する、マリアンヌとリオネルに縁のあるレストランだった。
事務本館の階段を上がり資料管理室のフロアへ来ると働き出してすぐの頃にご挨拶して以来、なにかとお世話をしてくれる”3人姉さん”がいた。彼女たちがネイトと楽しそうにわちゃわちゃしている。
「おそようございます、あれ3人姉さんお疲れ様です。何か御用ですか?」
資料管理室近くまでやってくると、よろよろと立つ同僚のネイトと数メートル先の通路にいつも楽しく遊んでくれる綺麗どころのお姉様たちがみえた。
「あなたっ、いつもそうやって私たちのことをひとまとめに呼ぶんじゃないわよっ!私の名前はライラック・フェルゲンよ、ライラック様とお呼びなさいと言っているでしょうっ」
金髪巻毛が今日もゴージャスに揺れながら、こちらへ戻ってくる。
「ごきげんよう、ライラック様。えーと、あとは、えーとっ。。。」
マリアンヌはやはり人の名前を覚えるのが苦手なのである。
「・・・ステラ・スノーワースよ、あなた何年先輩に名乗らせれば気が済むの?」
マリアンヌ的推し、研究所一番の黒髪美女が呆れ顔である。
「ミモレ・シルバティーの名前はもう、絶対に、完璧に、覚えているわよね!?(きゅるん」
「あ、えっとぅ、、、はぃ」
「おま、わすれてただろっ?あん!?(凄み」
年齢不詳の茶髪美少女は今日も絶好調に人格がぶれている。
それにしてもリオネルのこともあり、3人の名前をいまだに覚えることができない自身のトリ頭っぷりに情けなくなるマリアンヌであった。
「ところで、お姉様方私のことをお話しのように聞こえたのですがご用はお済みでしたでしょうか」
手元のお芋に気を取られながらも、麗しき3人のお姉様方にはいつも構ってもらっている恩もあるので礼は尽くしたいマリアンヌ。
「あ、ええ、あなたにお祝いを伝えたくて伺ったのだけどいらっしゃらなかったから」
「ほほう。それはありがとうございます。して、何のお祝い?」
親切にも慶事にお祝いごとを、とおっしゃるがここ最近不調と不和はあれど何もめでたいことなど身に覚えのないマリアンヌは不思議顔である。
それにしても良い香りの手元のお芋を、気心のしれたお姉様を前に気が緩み、ついつい口にしてしまったマリアンヌ。
もぐもぐと不遜にも貴族令嬢の前で食べ始めたマリアンヌに対し、
「人に話しかけておいて芋を食べるなっ!」
長いまつげに縁取られた美しいグリーンアイをこぼれそうに開きライラック・フェルゲンが叫ぶ。再び集まる周囲の目。
「(もぐもぐもぐ、ごくん) 大変失礼いたしました。熱いうちにいただくのが作ってくれた方へのマナーと考えこのように。冷めても美味しいのですが、やはり熱い焼き芋は”焼き”芋だけに焼かれてなんぼのものですから。もしよろしかったらレシピと新種の芋をおもちになりますか?美味しいんですよ」
「ちょ、っちょっとあなた、いらないからっ」
「ほんとうに美味しいんですよ、あ、みなさんにも午後にお芋配りますねー」
と、フロアにいる人たちに声をかける気配り上手シゴデキなマリアンヌ。
フロアにいる何人かは通路に顔をだし、笑顔でこちらに手を振ってくれている。
「ねぇ、あなた。恋人がいらっしゃるってほんと?しかも上級研究員なの?」
「・・・はい、おります。今のところ。。。」
「なに、意味深ね?いまのところってなに?ちょっとそこのところ詳しく話してもらいましょうか」
ぐいぐいと来るお姉様方に圧倒される。しかし今は勤務時間中である。
「経験豊富なお姉様方に相談したいことはやまのようにあるのですが、今は仕事中ですので改めて終業後などにお時間をいただければとおもいます」
ぺこり、と頭をさげてお姉様方にもお芋を配り終えたことだし。と資料管理室へ戻ろうとするマリアンヌを止めたのは金髪巻毛美女のライラック様である。
「なぜ私たちがあなたのために、仕事終わりに時間を割かなくちゃいけないのよ!」
「・・・だめでしたか、、、では「だめとはいってないわよ」」
ん?とライラックを見つめると腕を組み顎をあげそっぽを向きながらもチラチラとこちらを見ている。
「あの・・・ではお話を聞いていただけると?」
「まぁ、どうしてもというなら聞いてあげなくもなくはないわね」
聞くのか聞かないのか、どっちなんだいっ!とそばにいたネイトは心の中で盛大にツッコんでいた。
「では本日終業後に、、、」
「構わないわよ、お二人もよろしくて?」
「「もちろん!!」」
実のところ、経験豊富そうに見えるだけで、ほとんど経験値が無に近い3人組だということはマリアンヌは全くわかっていなかった。
そして終業時間になるやいなや、3人姉さんは資料管理室を突撃しマリアンヌを半ば拉致のような形で捕獲し王都で流行のレストランの個室に連行していったのであった。
そこは図らずもマントデドラゴ社の経営する、マリアンヌとリオネルに縁のあるレストランだった。
56
お気に入りに追加
354
あなたにおすすめの小説
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】
臣桜
恋愛
『ガーランドの翠玉』、『妖精の紡いだ銀糸』……数々の美辞麗句が当てはまる17歳のリディアは、国王ブライアンに見初められ側室となった。しかし間もなくブライアンは崩御し、息子であるオーガストが成人して即位する事になった。17歳にして10歳の息子を持ったリディアは、戸惑いつつも宰相の力を借りオーガストを育てる。やがて11年後、21歳になり成人したオーガストは国王となるなり、28歳のリディアを妻に求めて……!?
※毎日更新予定です
※血の繋がりは一切ありませんが、義息子×義母という特殊な関係ですので地雷っぽい方はお気をつけください
※ムーンライトノベルズ様にも同時連載しています
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる