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それぞれの分岐点 その2−1
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「ファルマ嬢、こちらへ」
いつにもましてボロボロくたくたの白衣姿のリオネルはおそらく数日寮にはもどっていないのだろう。なんかこの距離で臭う気がしてしまうマリアンヌ。
「王立兵団の皆さまにもお墨付きの携行食です、たくさんありますのでみなさまにも「いえ、結構。すぐこちらに」」
生産研究所の入り口付近で中にいる人たちに挨拶をし自信作を振る舞おうと笑顔になるマリアンヌは、横から大男に半ばおしこまれひきずられながら促されるまま最奥にあるリオネルの個室研究室まで連行されていく。
「あの、でもこれだけの量はデリュース様だけでは・・・」
大きなカゴの中に入れてある袋詰めした分が今回の出張分なのであるが、それ以上の分はここの部門の方にも召し上がってもらおうと持ってきた物なのになぜかそれを許さないリオネル。
ずいずい、とおされてそしてひきづられていく可哀想な子羊ならぬマリアンヌ・ファルマを皆で見送る生産研究所燃料部門の面々。
「あぁ。ようやくあのビリビリ大魔神から解放される。。。」
「やっとだよ、”調教師様”、おいも様さまだな。ありがたい~」
「でも、いい匂いだったなぁ。なんだったんだろう。おいもちゃんいつも美味しそうなものもってきてくれるけど食べられた試しがないんだよな」
リオネルの部下A、B、Cそれぞれが思い思いに話し出す。
マリアンヌ不足でご機嫌氷点下に陥っていた天才伯爵の対応に彼らもボロボロになっていた。
天才伯爵は集中すると寝ることも食べることもせず、凡人部下たちにとってはこれほど傍迷惑な上司はいなかった。
「謎の多い人だけど、唯一あのおいもちゃんだけにはなついているんだよな」
「恋人同士だったりして?」
「いや、ないだろあの身長差だぞ。別種族にしか見えん」
「「あぁ・・・」」
そこまで低くはないのだがリオネルと比較されてはだれでもおチビさんに見えてしまうだろう。
マリアンヌ以外にリオネルに近づく数少ない女性であるマロー・スピナ公爵令嬢と並ぶイメージが強いためマリアンヌは小さく見られがちだ。
マローは武具開発だけでなく、ごりごりの現場主義の武闘派令嬢であり、そこらへんのヒョロ研究員など片手で捻り倒すような威圧と体格の持ち主だ。
いくら容姿端麗とはいえ、比べる次元などにはいない。
小柄なマリアンヌは今流行りの高い踵の施された歩きにくそうだがおしゃれな靴を好まず編み上げブーツ派なので他の女性陣と比べられるとちびっこ扱いが加速する今日この頃。
彼女の名誉のために言う、いたって彼女は、、、ちょっと小さめなだけだ。
「だけど、最近あの地味っ娘おいもちゃんさぁおっぱい大きくなってgw、うぎゃっ」
「「どうした???」」
地獄耳の変態伯爵は、研究員Aに殺気を飛ばした。 怖いですねぇ。
防音個室にマリアンヌを押し込めるとバタンと勢いよく扉を閉める変態さん。
(すーーーーーーーーーーーーーっ)
後ろからマリアンヌを抱きしめ、その頭皮の匂いを肺の奥底まで注ぎ込む。
いつものことなので慣れっこのマリアンヌだが本日は少々勝手がちがう。
「リオ、なんか臭いますよ。湯浴み、してますか?」
「・・・すみません、ちょっと忙しくて」
「そうですよね、残念。その状態だとこないだ小説で読んだアレしてあげることはできな「今、今すぐ、全身完璧に洗浄してきます!アン、ここで少々お待ちを!!」」
「まって、まって、まって!!!」
マリアンヌが止めるのも聞かず、ものすごい速度で部屋から消えたリオネルであった。
「もう、仕方ないんだから」
彼の消えた扉に対してかけた言葉と苦笑いが防音の効いた空間に吸い込まれていく。
いつにもましてボロボロくたくたの白衣姿のリオネルはおそらく数日寮にはもどっていないのだろう。なんかこの距離で臭う気がしてしまうマリアンヌ。
「王立兵団の皆さまにもお墨付きの携行食です、たくさんありますのでみなさまにも「いえ、結構。すぐこちらに」」
生産研究所の入り口付近で中にいる人たちに挨拶をし自信作を振る舞おうと笑顔になるマリアンヌは、横から大男に半ばおしこまれひきずられながら促されるまま最奥にあるリオネルの個室研究室まで連行されていく。
「あの、でもこれだけの量はデリュース様だけでは・・・」
大きなカゴの中に入れてある袋詰めした分が今回の出張分なのであるが、それ以上の分はここの部門の方にも召し上がってもらおうと持ってきた物なのになぜかそれを許さないリオネル。
ずいずい、とおされてそしてひきづられていく可哀想な子羊ならぬマリアンヌ・ファルマを皆で見送る生産研究所燃料部門の面々。
「あぁ。ようやくあのビリビリ大魔神から解放される。。。」
「やっとだよ、”調教師様”、おいも様さまだな。ありがたい~」
「でも、いい匂いだったなぁ。なんだったんだろう。おいもちゃんいつも美味しそうなものもってきてくれるけど食べられた試しがないんだよな」
リオネルの部下A、B、Cそれぞれが思い思いに話し出す。
マリアンヌ不足でご機嫌氷点下に陥っていた天才伯爵の対応に彼らもボロボロになっていた。
天才伯爵は集中すると寝ることも食べることもせず、凡人部下たちにとってはこれほど傍迷惑な上司はいなかった。
「謎の多い人だけど、唯一あのおいもちゃんだけにはなついているんだよな」
「恋人同士だったりして?」
「いや、ないだろあの身長差だぞ。別種族にしか見えん」
「「あぁ・・・」」
そこまで低くはないのだがリオネルと比較されてはだれでもおチビさんに見えてしまうだろう。
マリアンヌ以外にリオネルに近づく数少ない女性であるマロー・スピナ公爵令嬢と並ぶイメージが強いためマリアンヌは小さく見られがちだ。
マローは武具開発だけでなく、ごりごりの現場主義の武闘派令嬢であり、そこらへんのヒョロ研究員など片手で捻り倒すような威圧と体格の持ち主だ。
いくら容姿端麗とはいえ、比べる次元などにはいない。
小柄なマリアンヌは今流行りの高い踵の施された歩きにくそうだがおしゃれな靴を好まず編み上げブーツ派なので他の女性陣と比べられるとちびっこ扱いが加速する今日この頃。
彼女の名誉のために言う、いたって彼女は、、、ちょっと小さめなだけだ。
「だけど、最近あの地味っ娘おいもちゃんさぁおっぱい大きくなってgw、うぎゃっ」
「「どうした???」」
地獄耳の変態伯爵は、研究員Aに殺気を飛ばした。 怖いですねぇ。
防音個室にマリアンヌを押し込めるとバタンと勢いよく扉を閉める変態さん。
(すーーーーーーーーーーーーーっ)
後ろからマリアンヌを抱きしめ、その頭皮の匂いを肺の奥底まで注ぎ込む。
いつものことなので慣れっこのマリアンヌだが本日は少々勝手がちがう。
「リオ、なんか臭いますよ。湯浴み、してますか?」
「・・・すみません、ちょっと忙しくて」
「そうですよね、残念。その状態だとこないだ小説で読んだアレしてあげることはできな「今、今すぐ、全身完璧に洗浄してきます!アン、ここで少々お待ちを!!」」
「まって、まって、まって!!!」
マリアンヌが止めるのも聞かず、ものすごい速度で部屋から消えたリオネルであった。
「もう、仕方ないんだから」
彼の消えた扉に対してかけた言葉と苦笑いが防音の効いた空間に吸い込まれていく。
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