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田舎女子のシティライフ その2

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ババ様に明日から来れるか?と聞かれ、はいと勢いよく返事をしてさよならしたまでは良かったのだがここはどこ?状態のマリアンヌは研究所施設内を彷徨っていた。

明日からここに集合だ、と言われた庭師小屋でババ様とさようならをして別れた後るんるんと庭の花を愛でながら移動していたらあっという間に始業30分前の鐘が鳴っている。

確か始業2時間前(独身寮から事務本館までは徒歩15分)に部屋を出たはずなのに一体なぜあの聳え立つ事務本館さえみえない場所にいるのだろうか。

気がつくと何かの門の近くまでやってきてしまった。

何人かの人が目の前を通り過ぎるが皆なぜかくすくす笑ってこちらをみてくる。ちょっと感じが悪い。

むーっとしているがこのままでは遅刻してしまうので前方からやってくる綺麗な人たちに声をかけることにした。

「あの、お急ぎのところ大変申し訳ございません。道を教えていただきたいのですがよろしいでしょうか」

「きゃっっ、何?農婦?え、文官服??あなたいったいなんなの、っていうかなんかにおうわね」

「あ、こちらがにおうのでしょうか。先程非常に良質な鶏糞けいふんを見せていただいたのでこちらで混ぜるお手伝いをさせていただいておりました。朝から香ばしい匂いに感動しました。この三又は明日からの弟子入りの記念にMy三又としていただいたものです。素晴らしいですよね」

こんな新入りの問いかけに朝の忙しい時間に反応して足を止めてくださった優しい綺麗なお姉さんにこの匂いの良さに気づいてもらえた気がしてうれしくなったマリエンヌ。

「ケイフン?ミツマタ?? ん? 鶏糞!? ちょっとやだあなた一体何者なの!?」

まぁあちら様からこちらの名を問うてくださいました。おそらく貴族令嬢らしき麗しき令嬢達ですから身分はあちらが上と思い名を尋ねるのは控えていたというのになんという僥倖。

「はい、申し遅れました。わたしは昨日から資料管理室にて補助員として働くことができましたマリアンヌ・ファルマと申します。以後お見知り置きを」

ババ様にも褒められた(褒められていない)東風武人風挨拶もおり混ぜ三又を差し出し挨拶をする。

「ちよっっとおお、新作のブーツになにか茶色いものがとんできたじゃない??一体なんなのあなたぁ?」

「はい、マリアンヌ・ファルマと申します。以後お見知り置きを」

茶髪ボブ美少女がきゃーっと叫びながらこちらに挨拶を求めてきたようなので金髪巻毛ゴージャス美人にしたのと同じ挨拶をする。

「嫌、何?わたしにまで(とんできた)!!」

私にも挨拶をしなさい、とこれまたとんでもなく綺麗な黒髪絶世の美人からも求められ気分を良くしたマリアンヌは同様に挨拶を繰り返した。

騒然とする三又を振り回す新人らしきピカピカの文官服を着た少女と美人(&姦しい)でお馴染みの美人3人組が朝から通用門の前で大騒ぎをしているため徐々に人だかりができてくる。

「マリアンヌ、朝から何してんの!?」

ネイトがいつもの時間に出勤をすると人垣ができたいた。なんだろうと思い、覗いてみると三又をもった後輩が美人だけど、、、で有名な3人組と対峙している。絶対何かトラブルに巻き込まれたに違いない。

「受付課のフェルゲン様、スノーワース様、シルバティー様失礼いたしましゅっ」

ピンチの後輩を助けようと人垣を掻き分け颯爽と登場しようとしたネイトだったが肝心なところでポカをしてしまう。通勤カバンが周りの人に引っ掛かり勢いがあまり3人と1人の間にスライディングしてしまった。

「あらっ、ネイト様おはようございます。何か落とし物ですか?一緒に探しましょうか?」

「うげっ、マリアンヌその三又なんでそんなに臭いんだよ。っていうかなんでそんなもの持ってるの?」

大事な弟子入りのしるしを臭いなどと言われ朝から腹立たしくなってしまったマリアンヌは可愛いお顔をしかめて先輩の過ちを正そうと考えた。

「ネイト様、いったい何が臭いとおっしゃいますか?このように香ばしくバランスの取れた肥料の香りはございません。それにこの年季の入り様は美しく手入れされて黒光してすばらしい逸品ではないですか?ネイト様は資料管理室の職員として私と共に審美眼を養う訓練をいっそうしなくてはなりませんね。今日から始めますか?」

「いや、何言ってんの?これ以上仕事増やそうとしないでくれる?」

突然始まった資料管理室職員による茶番に皆唖然としていたが、始業10分前の鐘が鳴り通用門前に溜まっていた人たちは次々と足を早め各自職場へと向かって行った。

「もうっ、本当に朝から何なのかしら?そこのあなたっ!」
「えっ?俺?」

突然指さされたネイトは驚き金髪巻毛ゴージャス美女、ライラック・フェルゲンを見上げると上から怒鳴り散らされる。

「ネイトとやら、いいですか?このようなくさくて芋い少女を長くマロー様の近くに置おかないようにしなさいわかりましたか!!」

ぷんぷん、と音をさせながらそれだけ言うと黒髪美人と茶髪美少女を引き連れて金髪ゴージャス美女が去って行った。

「ネイト様、あの綺麗なお姉様達とお知り合いなのですか?」

「いや、まったく。こっちはしっているけど向こうは俺のことしらないよ、っていうかさぁマリアンヌが知り合いなんじゃないの?なんでこんなところで大騒ぎしていたワケ?」

「ああ、そうでした。私道に迷ってしまって。綺麗なお姉様達だったのでつい声をかけてしまったら応答いただいたのでご挨拶していたのです」

応答してくれて、挨拶であんな騒ぎになるのかと疑問に思いながらも始業まで後5分ほどとなったためネイトはマリアンヌを急がせて事務本館まで早足で移動した。

「いったい、どうやったら独身寮からここまできて事務本館に迷えるの?」

今いた通用門は事務本館を挟んで独身寮から一番遠いところにある。間にあんなに目立つ事務本館が間にあるのにそれをスルーしてどうやったら迷ってここに出て来れるのか。

「マリアンヌは今日仕事覚えるのと並行してこの研究所の地図を頭に叩き込むことか、、、まぁそれか携帯用の用紙に地図の模写が必要だね」

地図を頭に叩き込む、と言った瞬間のマリアンヌの絶望顔に察するものがあったネイトは資料管理室で一番察する能力の高い空気の読める意味でのできる男なのであった。
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