118 / 126
第二章
第一王子の訪問(ミュラー伯爵令嬢問題)
しおりを挟む
エリージェ・ソードルの膝の上に顎を置いていた愛猫エンカが、静かに立ち上がった。
そして、第一王子ルードリッヒ・ハイセルの元までのそのそと行くと、長椅子に座る彼の王子の、その横に上半身をのせ、王子をじっと見上げた。
猫と称しているが第一王子ルードリッヒ・ハイセルよりも遙かに巨躯な魔獣である。
それは端から見れば、獲物と見なし、飛びかからんとしてる様にも見えなくない。
実際、そばに控える王子付きの騎士が顔を強ばらせた。
だが、第一王子ルードリッヒ・ハイセルは破顔する。
そして、愛猫エンカの頭を撫でながら、
「なんだ、エンカ。
慰めてくれるのかい?」
などといっている。
大きくなったと顔をヒキツらせていたものの、小さな頃から見ていたのだ。
第一王子ルードリッヒ・ハイセルにとっても可愛いエンカなのだ。
愛猫エンカは「がうぅぅ」と気持ちよさそうに撫でられながら、第一王子ルードリッヒ・ハイセルの太股に頬ずりをした。
そんな様子に、第一王子ルードリッヒ・ハイセルはさらに笑みを深くしながら、「エンカの毛はさわり心地が良いなぁ」なんて言っている。
エリージェ・ソードルは「令嬢が殿方にそんな風に……」などと言っているが、穏やかな顔でその様子を眺めた。
そこで、ふと思い出したように第一王子ルードリッヒ・ハイセルが顔を上げた。
「そういえばエリー、ミュラー伯爵令嬢と面識があるかい?」
エリージェ・ソードルは顔をしかめる。
「ミュラー伯爵令嬢、ですか?
あのうるさい女がどうかされましたか?」
「あ、いや」と第一王子ルードリッヒ・ハイセルが少し困った顔をする。
「エリーが言っているのは、多分長女のウルズラ嬢の事だろう。
そうじゃなく、次女のハンナ嬢のことなんだけど」
「ああ、そちらですか?
一応あります。
とはいえ挨拶程度で、ろくに話したことはありませんが……。
いかがしましたか?」
「うん」と第一王子ルードリッヒ・ハイセルが少し深刻そうな顔をしながら言う。
「ミュラー伯爵が言うには、どうやらハンナ嬢はどこかの令嬢に虐められているらしいんだ」
第一王子ルードリッヒ・ハイセルの言に、この女をして驚きに目を見開く。
「虐め!?
ミュラー伯爵令嬢を?
いったい誰が!」
第一王子ルードリッヒ・ハイセルは首を横に振る。
「誰がやっているのか分からないらしい。
ハンナ嬢は頑なに否定しているらしいから。
でも、ミュラー伯爵は間違いないと断言していた」
それに対して、エリージェ・ソードルは胡乱げな顔になる。
「殿下、それはミュラー伯爵の勘違いじゃないですか?
あそこの一族は身内の件になると、盲目になる所がありますから」
この女がそのようなことを言うのには、訳があった。
――
”前回”の事だ。
エリージェ・ソードルはオールマ学院の二学年生になっていた。
その年の新入生には弟マヌエル・ソードルや発明令嬢イルゼ・アロフス、聖女クリスティーナ・ルルシエなど目立つ生徒達に隠れがちであったが、他にも注目すべき生徒がいた。
その中の一人が、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢である。
ミュラー伯爵家は北方の海に接する領を持つ五大伯爵の”筆頭”で、北の海については必ず話を通さなくてはならない一族であった。
この大貴族の中の大貴族であるエリージェ・ソードルといえども、”それなりに”気を使わなくてはならなかった。
そんな、家の令嬢が入学してくる。
その時期は、たまたま公爵領が落ち着いている時期だったこともあり、この女にしては珍しく、学園内で茶話会を開き、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢をもてなそうと思いついた。
茶話会はかなり大がかりなものになった。
カルリーヌ・トレー伯爵令嬢とその取り巻きはもちろん、ソードル公爵家、トレー伯爵家、ミュラー伯爵家との関係を作りたいと望む令嬢達が、学年を問わず集まった。
学院内の人員だけでは足りず、公爵家の使用人が給仕を行うこととなった。
当日は雲のひとかけらも見あたらない、茶話会日和であった。
晴天の学院庭園は、華やかな令嬢達の笑い声で満ちた。
そのもっとも上座席を、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢に用意した。
その両脇にエリージェ・ソードルとカルリーヌ・トレー伯爵令嬢が座っていた。
席にはお茶だけではなく、カルリーヌ・トレー伯爵令嬢が用意した外国の珍しいお菓子が並び、選ばれた高位貴族の令嬢達がそれを摘みながら、話に花を咲かせていた。
だが、肝心のハンナ・ミュラー伯爵令嬢は緊張しているのか、強ばった顔のまま、なかなか話に入ってこない。
時折、カルリーヌ・トレー伯爵令嬢から海の話などを振られていても「はい」「いいえ」「そうですね」程度をボソボソと呟くだけだった。
元来、こういう煮え切らない態度の令嬢のことをエリージェ・ソードルは嫌う。
嫌うと言うよりも、相手をするのが面倒くさくなるというのが正しいか。
特に何の感慨もなく、無視をしたことだろう。
だが、この時、珍しいことにこの女、気にした。
その茶話会がハンナ・ミュラー伯爵令嬢の為に開いたものということもあるし、ミュラー伯爵家にはこの女をして、そうするだけの家格と”利益”があった。
故に、この女、令嬢相手には非常に珍しいことに、自身から話を振った。
「ミュラー伯爵令嬢、あなたって、何か趣味とかはあるのかしら?」
エリージェ・ソードルの中では――そして、恐らく世間一般でいえば、ごく当たり障りの無い質問だっただろう。
周りにいる令嬢達もニコニコしつつ、読書や編み物等の良くある答えに対して、どう盛り上げるべきかと考えていた。
ところがである。
ハンナ・ミュラー伯爵令嬢、「ヒィ!」と体を振るわせた。
そして、何故か崩れるように椅子から落ちていったのである。
突然、理由も分からず失神した令嬢を目の前に、エリージェ・ソードルもカルリーヌ・トレー伯爵令嬢も、その席にいる令嬢達も「え?」「え、え?」と漏らしながら呆然とそれを見つめるしかなかった。
話はそれだけにとどまらなかった。
ミュラー伯爵家の一族にまとわりつかれる様になったのだ。
ミュラー伯爵、前ミュラー伯爵、前ミュラー伯爵夫人、ミュラー伯爵夫人、ミュラー伯爵の叔父、ミュラー伯爵の叔母、ミュラー伯爵の弟、ミュラー伯爵の妹、ミュラー伯爵令嬢の兄姉四人などなどだ。
共通して言えるのは、人の話を一切聞かないという所だ。
公爵邸に押し掛けては、あの子に何をした? 何故苛めた? あの子が何をしたというのだ? そんなことをして恥ずかしくないのか?
ということから、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢がいかに可愛いのかを長々と話し続けた。
エリージェ・ソードルが茶話会を開いて趣味の話を聞いただけと、何度言ってもまるで耳に入っていないのか、ギャアギャアとわめき散らした。
初めの内は、名門ミュラー伯爵家ということで、いちいち相手にしていたのだが、らちがあかず、もう来るなと突っぱねるようになったのだが……。
外出時に待ち伏せや、貴族院で取り囲み等をし始めた。
特に酷いのはウルズラ・ミュラー伯爵令嬢で、毎日のように公爵家やオールマ学院に乗り込んできて、がなり続けた。
長身のエリージェ・ソードルをさらに上回る大柄な女性で、頭越しに怒鳴られて、耳鳴りがするほどであった。
最終的には、我慢できなくなったエリージェ・ソードルが、ミュラー伯爵邸に乗り込み、一族をボコボコした上で、大貴族として屈辱的な事であったが、”真偽の魔術石”による正否の証明を行った。
その動かぬ証拠の為か、『今度絡んできたら、一族全員北オールマ海の海底まで沈めてやる』という令嬢にあるまじき”狂った”発言の為か、顔を腫らした一族一同、涙目でコクコクと頷いていた。
――
「ミュラー伯爵家は併呑時のいきさつから伯爵となっていますが、その家格も領の規模も辺境伯であってもおかしくない家――そんなこと、国内の貴族であれば幼子でも知ってる事だと思いますが……」
「まあ、僕もそう思うんだけどね。
ミュラー伯爵は絶対そうだと言い張っててね」
「はあ?
本当にいるのであれば、なんと言いますか、命知らずな愚か者という事になりますが……」
大貴族筆頭のソードル公爵家、さらに言えば、その膨大な魔力量と恐るべき”黒い霧”でその名を轟かせていた時期のエリージェ・ソードルですら、一時ながらも頭を悩ませた一族である。
普通の令嬢であれば、どんな目に遭わされるか分かったものでは無かった。
「少なくとも、オールマ王国の貴族の中には、居ないと思いますわ」
「ま、そうだよね」
「がぅ!」
余りにも良い頃合いに愛猫エンカが吠えたものだから、エリージェ・ソードルも第一王子ルードリッヒ・ハイセルも目を丸くして顔を見合わせた。
そして、二人して吹き出し、和やかに笑った。
そして、第一王子ルードリッヒ・ハイセルの元までのそのそと行くと、長椅子に座る彼の王子の、その横に上半身をのせ、王子をじっと見上げた。
猫と称しているが第一王子ルードリッヒ・ハイセルよりも遙かに巨躯な魔獣である。
それは端から見れば、獲物と見なし、飛びかからんとしてる様にも見えなくない。
実際、そばに控える王子付きの騎士が顔を強ばらせた。
だが、第一王子ルードリッヒ・ハイセルは破顔する。
そして、愛猫エンカの頭を撫でながら、
「なんだ、エンカ。
慰めてくれるのかい?」
などといっている。
大きくなったと顔をヒキツらせていたものの、小さな頃から見ていたのだ。
第一王子ルードリッヒ・ハイセルにとっても可愛いエンカなのだ。
愛猫エンカは「がうぅぅ」と気持ちよさそうに撫でられながら、第一王子ルードリッヒ・ハイセルの太股に頬ずりをした。
そんな様子に、第一王子ルードリッヒ・ハイセルはさらに笑みを深くしながら、「エンカの毛はさわり心地が良いなぁ」なんて言っている。
エリージェ・ソードルは「令嬢が殿方にそんな風に……」などと言っているが、穏やかな顔でその様子を眺めた。
そこで、ふと思い出したように第一王子ルードリッヒ・ハイセルが顔を上げた。
「そういえばエリー、ミュラー伯爵令嬢と面識があるかい?」
エリージェ・ソードルは顔をしかめる。
「ミュラー伯爵令嬢、ですか?
あのうるさい女がどうかされましたか?」
「あ、いや」と第一王子ルードリッヒ・ハイセルが少し困った顔をする。
「エリーが言っているのは、多分長女のウルズラ嬢の事だろう。
そうじゃなく、次女のハンナ嬢のことなんだけど」
「ああ、そちらですか?
一応あります。
とはいえ挨拶程度で、ろくに話したことはありませんが……。
いかがしましたか?」
「うん」と第一王子ルードリッヒ・ハイセルが少し深刻そうな顔をしながら言う。
「ミュラー伯爵が言うには、どうやらハンナ嬢はどこかの令嬢に虐められているらしいんだ」
第一王子ルードリッヒ・ハイセルの言に、この女をして驚きに目を見開く。
「虐め!?
ミュラー伯爵令嬢を?
いったい誰が!」
第一王子ルードリッヒ・ハイセルは首を横に振る。
「誰がやっているのか分からないらしい。
ハンナ嬢は頑なに否定しているらしいから。
でも、ミュラー伯爵は間違いないと断言していた」
それに対して、エリージェ・ソードルは胡乱げな顔になる。
「殿下、それはミュラー伯爵の勘違いじゃないですか?
あそこの一族は身内の件になると、盲目になる所がありますから」
この女がそのようなことを言うのには、訳があった。
――
”前回”の事だ。
エリージェ・ソードルはオールマ学院の二学年生になっていた。
その年の新入生には弟マヌエル・ソードルや発明令嬢イルゼ・アロフス、聖女クリスティーナ・ルルシエなど目立つ生徒達に隠れがちであったが、他にも注目すべき生徒がいた。
その中の一人が、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢である。
ミュラー伯爵家は北方の海に接する領を持つ五大伯爵の”筆頭”で、北の海については必ず話を通さなくてはならない一族であった。
この大貴族の中の大貴族であるエリージェ・ソードルといえども、”それなりに”気を使わなくてはならなかった。
そんな、家の令嬢が入学してくる。
その時期は、たまたま公爵領が落ち着いている時期だったこともあり、この女にしては珍しく、学園内で茶話会を開き、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢をもてなそうと思いついた。
茶話会はかなり大がかりなものになった。
カルリーヌ・トレー伯爵令嬢とその取り巻きはもちろん、ソードル公爵家、トレー伯爵家、ミュラー伯爵家との関係を作りたいと望む令嬢達が、学年を問わず集まった。
学院内の人員だけでは足りず、公爵家の使用人が給仕を行うこととなった。
当日は雲のひとかけらも見あたらない、茶話会日和であった。
晴天の学院庭園は、華やかな令嬢達の笑い声で満ちた。
そのもっとも上座席を、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢に用意した。
その両脇にエリージェ・ソードルとカルリーヌ・トレー伯爵令嬢が座っていた。
席にはお茶だけではなく、カルリーヌ・トレー伯爵令嬢が用意した外国の珍しいお菓子が並び、選ばれた高位貴族の令嬢達がそれを摘みながら、話に花を咲かせていた。
だが、肝心のハンナ・ミュラー伯爵令嬢は緊張しているのか、強ばった顔のまま、なかなか話に入ってこない。
時折、カルリーヌ・トレー伯爵令嬢から海の話などを振られていても「はい」「いいえ」「そうですね」程度をボソボソと呟くだけだった。
元来、こういう煮え切らない態度の令嬢のことをエリージェ・ソードルは嫌う。
嫌うと言うよりも、相手をするのが面倒くさくなるというのが正しいか。
特に何の感慨もなく、無視をしたことだろう。
だが、この時、珍しいことにこの女、気にした。
その茶話会がハンナ・ミュラー伯爵令嬢の為に開いたものということもあるし、ミュラー伯爵家にはこの女をして、そうするだけの家格と”利益”があった。
故に、この女、令嬢相手には非常に珍しいことに、自身から話を振った。
「ミュラー伯爵令嬢、あなたって、何か趣味とかはあるのかしら?」
エリージェ・ソードルの中では――そして、恐らく世間一般でいえば、ごく当たり障りの無い質問だっただろう。
周りにいる令嬢達もニコニコしつつ、読書や編み物等の良くある答えに対して、どう盛り上げるべきかと考えていた。
ところがである。
ハンナ・ミュラー伯爵令嬢、「ヒィ!」と体を振るわせた。
そして、何故か崩れるように椅子から落ちていったのである。
突然、理由も分からず失神した令嬢を目の前に、エリージェ・ソードルもカルリーヌ・トレー伯爵令嬢も、その席にいる令嬢達も「え?」「え、え?」と漏らしながら呆然とそれを見つめるしかなかった。
話はそれだけにとどまらなかった。
ミュラー伯爵家の一族にまとわりつかれる様になったのだ。
ミュラー伯爵、前ミュラー伯爵、前ミュラー伯爵夫人、ミュラー伯爵夫人、ミュラー伯爵の叔父、ミュラー伯爵の叔母、ミュラー伯爵の弟、ミュラー伯爵の妹、ミュラー伯爵令嬢の兄姉四人などなどだ。
共通して言えるのは、人の話を一切聞かないという所だ。
公爵邸に押し掛けては、あの子に何をした? 何故苛めた? あの子が何をしたというのだ? そんなことをして恥ずかしくないのか?
ということから、ハンナ・ミュラー伯爵令嬢がいかに可愛いのかを長々と話し続けた。
エリージェ・ソードルが茶話会を開いて趣味の話を聞いただけと、何度言ってもまるで耳に入っていないのか、ギャアギャアとわめき散らした。
初めの内は、名門ミュラー伯爵家ということで、いちいち相手にしていたのだが、らちがあかず、もう来るなと突っぱねるようになったのだが……。
外出時に待ち伏せや、貴族院で取り囲み等をし始めた。
特に酷いのはウルズラ・ミュラー伯爵令嬢で、毎日のように公爵家やオールマ学院に乗り込んできて、がなり続けた。
長身のエリージェ・ソードルをさらに上回る大柄な女性で、頭越しに怒鳴られて、耳鳴りがするほどであった。
最終的には、我慢できなくなったエリージェ・ソードルが、ミュラー伯爵邸に乗り込み、一族をボコボコした上で、大貴族として屈辱的な事であったが、”真偽の魔術石”による正否の証明を行った。
その動かぬ証拠の為か、『今度絡んできたら、一族全員北オールマ海の海底まで沈めてやる』という令嬢にあるまじき”狂った”発言の為か、顔を腫らした一族一同、涙目でコクコクと頷いていた。
――
「ミュラー伯爵家は併呑時のいきさつから伯爵となっていますが、その家格も領の規模も辺境伯であってもおかしくない家――そんなこと、国内の貴族であれば幼子でも知ってる事だと思いますが……」
「まあ、僕もそう思うんだけどね。
ミュラー伯爵は絶対そうだと言い張っててね」
「はあ?
本当にいるのであれば、なんと言いますか、命知らずな愚か者という事になりますが……」
大貴族筆頭のソードル公爵家、さらに言えば、その膨大な魔力量と恐るべき”黒い霧”でその名を轟かせていた時期のエリージェ・ソードルですら、一時ながらも頭を悩ませた一族である。
普通の令嬢であれば、どんな目に遭わされるか分かったものでは無かった。
「少なくとも、オールマ王国の貴族の中には、居ないと思いますわ」
「ま、そうだよね」
「がぅ!」
余りにも良い頃合いに愛猫エンカが吠えたものだから、エリージェ・ソードルも第一王子ルードリッヒ・ハイセルも目を丸くして顔を見合わせた。
そして、二人して吹き出し、和やかに笑った。
11
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる