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第十七章
騒々しい到着
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ブルクにある公爵邸玄関前に停められた馬車から、転げ出る少女がいた。
エタ・ボビッチ子爵令嬢である。
本来であれば身分順で出るのが当たり前にも関わらず、この少女が飛び出ていったのは気分が悪いのが限界に達していたのか、本の楽園に飛び込みたい思いからなのか、それとも両方なのか――定かでは無い。
とにかく、本来馬車から出るように補助するはずの女騎士ジェシー・レーマーやエタ・ボビッチ子爵令嬢の付き添い侍女はもちろんの事、迎えに出ていた執事ピエール・クラインや侍女長ブルーヌ・モリタらも突然飛び出てきた顔色の悪いご令嬢に驚き、大騒ぎになっていた。
そんな彼女を嫌そうに見下ろす女がいた。
エリージェ・ソードルである。
この女は馬車から出ると、呆然としている執事見習いの男に声をかけた。
「あなた、あそこの馬車にドル先生がいらっしゃるから呼んできて頂戴。
やはり、治療をお願いしますと伝えてね」
「畏まりました!」
エリージェ・ソードルは執事見習いの男を見送ると、女騎士ジェシー・レーマーの手を借りて梯子段から下に降りる。
それに続き、心配そうなルイーサ・ヘルメス伯爵令嬢と「エタちゃん、大丈夫」と同じく眉を寄せるクリスティーナが降りてきた。
ただ、そこまで心配をかけているにも関わらず、付き添い侍女に体を起こされているエタ・ボビッチ子爵令嬢は、「本の……楽園……」などと、砂漠の中、泉を前にして力つきそうになっている旅人のように、公爵邸に向かって手を突き上げている。
そんな、悲痛な雰囲気を出しているエタ・ボビッチ子爵令嬢を見下ろしながら、エリージェ・ソードルは、
(そういえば、別にこの子がいなくても、クリスの後ろ盾はルーに任せれば良いわね)
などと、冷めたことを考えていた。
そこに、王族ロタール・ハイセルら本好き仲間が心配そうに近寄ってきた。
王族ロタール・ハイセルはエタ・ボビッチ子爵令嬢のそばで膝を突き、その手を優しく取った。
そして、エリージェ・ソードルをキリっとしためで見上げなが言う。
「エリー、本の楽園を前に力つきようとする彼女がかわいそうとは思わないのか!
治療費が問題なら、わたしが払う!
だから、彼女を速やかに癒して上げてくれ!」
エリージェ・ソードルはため息を付いた。
「今、医療魔術師を呼びに向かわせています。
あと、治療費については払っていただく必要はございません」
ハネローレ・シュナイダー大司祭が心配そうにエタ・ボビッチ子爵令嬢を覗き込む。
「エタちゃん、大丈夫?
なんだったら、わたしが治して上げようか?」
「神聖魔術の無駄使いは止めてください」
などとやっていると、「あらあら」と言いながら、医療魔術師スーザン・ドルが執事見習いの先導で早足のまま近寄ってくる。
そして、王族ロタール・ハイセルの逆側に跪くと、魔術を行使し始めた。
そこに、馬車から降りてきただろう、第一王子ルードリッヒ・ハイセル、幼なじみオーメスト・リーヴスリー、弟マヌエル・ソードルら一行と、祖父マテウス・ルマ夫妻、レネ・マガド男爵、カタリナ・マガド令嬢らルマ家関係一行が心配そうに近寄ってくる。
そうそうたる面子が足止めをされている様子に、エリージェ・ソードルは「この子、何様のつもりかしら」とボソリと呟いた。
「まあまあ、許して上げて」
「そうよ、大目に見て上げて」
とクリスティーナとルイーサ・ヘルメス伯爵令嬢に宥められはしたが、エリージェ・ソードルは(もうこの子を招待するのは止めよう)と決意するのであった。
体調が多少戻ったのか、エタ・ボビッチ子爵令嬢はむくりと起き上がると、近くにいた侍女長ブルーヌ・モリタに「本の……楽園は……どちら……」などと動く腐乱死体の様に迫りだし、王族ロタール・ハイセルらも「案内してくれ!」「さあ、早く!」などと取り囲み始めたので、エリージェ・ソードルは頭痛を耐える様に「止めてください!」と怒鳴った。
そして、執事ピエール・クラインに視線を向ける。
老齢な執事は、好好爺とした笑みを浮かべて頷いてみせた。
そして、王族ロタール・ハイセル達に「皆様、わたしがご案内いたします」と声をかけた。
執事ピエール・クラインは王族ロタール・ハイセルに「さあ、さあ、早く案内してくれ!」などと急かされつつも「ほっほっほ、書庫は逃げませんぞ」と笑いかけつつ、先導していった。
フラフラしながらも続くエタ・ボビッチ子爵令嬢が心配なのか、クリスティーナも「クリスもエタちゃんと行くね」とエリージェ・ソードルに手を振った後、その後を付いていった。
それを、詰め寄られていた侍女長ブルーヌ・モリタが、表情をほとんど変えぬこの夫人にしては珍しく、少し呆然とした顔で見送っている。
そんな彼女に、エリージェ・ソードルは苦笑しながら言う。
「先触れにも伝えさせたけど、あの方々は本の事になるとかなり暴走するから、注意していてね。
何かあったらすぐに、わたくしに報告して頂戴」
「……畏まりました」
そこに、弟マヌエル・ソードルが近寄ってきた。
「お姉様、今からオーメスト様と剣の鍛錬をして来ても良いですか!」
「え?
剣?」
弟マヌエル・ソードルといえば魔術という印象が強いエリージェ・ソードルが小首を捻ると、普段はおどおどした感じの少年が瞳に強い光を灯しながら言う。
「僕、強くなってお姉様をお守りしたいのです!」
「ま、まあ!」
”前回”、守って貰う所か、険悪な態度ばかりだった弟の凜凜しい言葉に、この女をして口元に手を置き、目を見張った。
そこに、幼なじみオーメスト・リーヴスリーが弟マヌエル・ソードルの肩をがっちり組んだ。
「マヌエル、良く言った!
今からお前を、立派なリーヴスリー男子にしてやるぞ!
さあ、殿下も!」
「え、僕も!?」
などと言いながら三人とその随伴達が中に入っていく。
エリージェ・ソードルは慌てて、その背に声をかけた。
「ちょっと、オーメ!
マヌエルを武狂いに染めるのは止めて頂戴!」
だが、聞こえていないのか、聞く気が無いのか、幼なじみオーメスト・リーヴスリーは二人を引き連れてグングンと中に入っていく。
そこに、ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンが笑いかけてきた。
「ハッハッハ!
リーヴスリーはともかく、弟として姉を守りたいと思う気持ちは尊重して差し上げてはどうですか?」
「そうは言っても……」
エリージェ・ソードルはルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンに振り返り、眉を寄せた。
女としては、リーヴスリー家自体は嫌いで無いが、流石にマヌエルが”武狂い”になってはたまらないと思ったのだ。
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンが視線を送ると、祖父マテウス・ルマは幾分穏やかな表情で頷いた。
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンはエリージェ・ソードルに向き直り、和やかに微笑んで見せた。
「お嬢様、もしご不安でしたら、わたしが見守って差し上げましょうか?」
エリージェ・ソードルは少し目を見開き、そして、少し気遣わしげにルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンを見上げる。
「良いの?」
「はい」とルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンは片膝を突き、女の右手を取った。
「以前もお話ししましたが、わたしもお嬢様のお力になれるのは嬉しいのです。
それに、お嬢様を守ろうとしていらっしゃるマヌエル様にも好感が持てます。
是非ともさせてください」
そこに、割り込むようにマヌエルの教育係ジン・モリタが近寄ってきた。
「お嬢様、ご安心を!
若様はジンめがしっかりおそばにいますので!
むしろ、わたしがご指南して差し上げれば、若様にもお嬢様をお守りできるお力が付くと思いますぞ!」
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンは張り合うようにやってきた教育係ジン・モリタに苦笑をしているが、エリージェ・ソードルは頼もしく感じ「ありがとうジン、頼りにしているわ」と何度も頷いている。
因みに、ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンと教育係ジン・モリタにはいくつもの共通点があるが、もっとも有名なのは、”稽古の苛烈さ”である。
ルマ家騎士時代に体感済みの地獄の訓練は元より、ソードル家の古参騎士から鬼稽古の内容を聞かされていた女騎士ジェシー・レーマーなどは、
「若様……大丈夫かしら?」
などと顔をひきつらせていたのだが、そんな事をまるで察せられないエリージェ・ソードルは、中に入っていく二人の背を眺めながら「ウルフとジンが見てくれるなら安心ね」などと胸をなで下ろすのであった。
エタ・ボビッチ子爵令嬢である。
本来であれば身分順で出るのが当たり前にも関わらず、この少女が飛び出ていったのは気分が悪いのが限界に達していたのか、本の楽園に飛び込みたい思いからなのか、それとも両方なのか――定かでは無い。
とにかく、本来馬車から出るように補助するはずの女騎士ジェシー・レーマーやエタ・ボビッチ子爵令嬢の付き添い侍女はもちろんの事、迎えに出ていた執事ピエール・クラインや侍女長ブルーヌ・モリタらも突然飛び出てきた顔色の悪いご令嬢に驚き、大騒ぎになっていた。
そんな彼女を嫌そうに見下ろす女がいた。
エリージェ・ソードルである。
この女は馬車から出ると、呆然としている執事見習いの男に声をかけた。
「あなた、あそこの馬車にドル先生がいらっしゃるから呼んできて頂戴。
やはり、治療をお願いしますと伝えてね」
「畏まりました!」
エリージェ・ソードルは執事見習いの男を見送ると、女騎士ジェシー・レーマーの手を借りて梯子段から下に降りる。
それに続き、心配そうなルイーサ・ヘルメス伯爵令嬢と「エタちゃん、大丈夫」と同じく眉を寄せるクリスティーナが降りてきた。
ただ、そこまで心配をかけているにも関わらず、付き添い侍女に体を起こされているエタ・ボビッチ子爵令嬢は、「本の……楽園……」などと、砂漠の中、泉を前にして力つきそうになっている旅人のように、公爵邸に向かって手を突き上げている。
そんな、悲痛な雰囲気を出しているエタ・ボビッチ子爵令嬢を見下ろしながら、エリージェ・ソードルは、
(そういえば、別にこの子がいなくても、クリスの後ろ盾はルーに任せれば良いわね)
などと、冷めたことを考えていた。
そこに、王族ロタール・ハイセルら本好き仲間が心配そうに近寄ってきた。
王族ロタール・ハイセルはエタ・ボビッチ子爵令嬢のそばで膝を突き、その手を優しく取った。
そして、エリージェ・ソードルをキリっとしためで見上げなが言う。
「エリー、本の楽園を前に力つきようとする彼女がかわいそうとは思わないのか!
治療費が問題なら、わたしが払う!
だから、彼女を速やかに癒して上げてくれ!」
エリージェ・ソードルはため息を付いた。
「今、医療魔術師を呼びに向かわせています。
あと、治療費については払っていただく必要はございません」
ハネローレ・シュナイダー大司祭が心配そうにエタ・ボビッチ子爵令嬢を覗き込む。
「エタちゃん、大丈夫?
なんだったら、わたしが治して上げようか?」
「神聖魔術の無駄使いは止めてください」
などとやっていると、「あらあら」と言いながら、医療魔術師スーザン・ドルが執事見習いの先導で早足のまま近寄ってくる。
そして、王族ロタール・ハイセルの逆側に跪くと、魔術を行使し始めた。
そこに、馬車から降りてきただろう、第一王子ルードリッヒ・ハイセル、幼なじみオーメスト・リーヴスリー、弟マヌエル・ソードルら一行と、祖父マテウス・ルマ夫妻、レネ・マガド男爵、カタリナ・マガド令嬢らルマ家関係一行が心配そうに近寄ってくる。
そうそうたる面子が足止めをされている様子に、エリージェ・ソードルは「この子、何様のつもりかしら」とボソリと呟いた。
「まあまあ、許して上げて」
「そうよ、大目に見て上げて」
とクリスティーナとルイーサ・ヘルメス伯爵令嬢に宥められはしたが、エリージェ・ソードルは(もうこの子を招待するのは止めよう)と決意するのであった。
体調が多少戻ったのか、エタ・ボビッチ子爵令嬢はむくりと起き上がると、近くにいた侍女長ブルーヌ・モリタに「本の……楽園は……どちら……」などと動く腐乱死体の様に迫りだし、王族ロタール・ハイセルらも「案内してくれ!」「さあ、早く!」などと取り囲み始めたので、エリージェ・ソードルは頭痛を耐える様に「止めてください!」と怒鳴った。
そして、執事ピエール・クラインに視線を向ける。
老齢な執事は、好好爺とした笑みを浮かべて頷いてみせた。
そして、王族ロタール・ハイセル達に「皆様、わたしがご案内いたします」と声をかけた。
執事ピエール・クラインは王族ロタール・ハイセルに「さあ、さあ、早く案内してくれ!」などと急かされつつも「ほっほっほ、書庫は逃げませんぞ」と笑いかけつつ、先導していった。
フラフラしながらも続くエタ・ボビッチ子爵令嬢が心配なのか、クリスティーナも「クリスもエタちゃんと行くね」とエリージェ・ソードルに手を振った後、その後を付いていった。
それを、詰め寄られていた侍女長ブルーヌ・モリタが、表情をほとんど変えぬこの夫人にしては珍しく、少し呆然とした顔で見送っている。
そんな彼女に、エリージェ・ソードルは苦笑しながら言う。
「先触れにも伝えさせたけど、あの方々は本の事になるとかなり暴走するから、注意していてね。
何かあったらすぐに、わたくしに報告して頂戴」
「……畏まりました」
そこに、弟マヌエル・ソードルが近寄ってきた。
「お姉様、今からオーメスト様と剣の鍛錬をして来ても良いですか!」
「え?
剣?」
弟マヌエル・ソードルといえば魔術という印象が強いエリージェ・ソードルが小首を捻ると、普段はおどおどした感じの少年が瞳に強い光を灯しながら言う。
「僕、強くなってお姉様をお守りしたいのです!」
「ま、まあ!」
”前回”、守って貰う所か、険悪な態度ばかりだった弟の凜凜しい言葉に、この女をして口元に手を置き、目を見張った。
そこに、幼なじみオーメスト・リーヴスリーが弟マヌエル・ソードルの肩をがっちり組んだ。
「マヌエル、良く言った!
今からお前を、立派なリーヴスリー男子にしてやるぞ!
さあ、殿下も!」
「え、僕も!?」
などと言いながら三人とその随伴達が中に入っていく。
エリージェ・ソードルは慌てて、その背に声をかけた。
「ちょっと、オーメ!
マヌエルを武狂いに染めるのは止めて頂戴!」
だが、聞こえていないのか、聞く気が無いのか、幼なじみオーメスト・リーヴスリーは二人を引き連れてグングンと中に入っていく。
そこに、ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンが笑いかけてきた。
「ハッハッハ!
リーヴスリーはともかく、弟として姉を守りたいと思う気持ちは尊重して差し上げてはどうですか?」
「そうは言っても……」
エリージェ・ソードルはルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンに振り返り、眉を寄せた。
女としては、リーヴスリー家自体は嫌いで無いが、流石にマヌエルが”武狂い”になってはたまらないと思ったのだ。
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンが視線を送ると、祖父マテウス・ルマは幾分穏やかな表情で頷いた。
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンはエリージェ・ソードルに向き直り、和やかに微笑んで見せた。
「お嬢様、もしご不安でしたら、わたしが見守って差し上げましょうか?」
エリージェ・ソードルは少し目を見開き、そして、少し気遣わしげにルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンを見上げる。
「良いの?」
「はい」とルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンは片膝を突き、女の右手を取った。
「以前もお話ししましたが、わたしもお嬢様のお力になれるのは嬉しいのです。
それに、お嬢様を守ろうとしていらっしゃるマヌエル様にも好感が持てます。
是非ともさせてください」
そこに、割り込むようにマヌエルの教育係ジン・モリタが近寄ってきた。
「お嬢様、ご安心を!
若様はジンめがしっかりおそばにいますので!
むしろ、わたしがご指南して差し上げれば、若様にもお嬢様をお守りできるお力が付くと思いますぞ!」
ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンは張り合うようにやってきた教育係ジン・モリタに苦笑をしているが、エリージェ・ソードルは頼もしく感じ「ありがとうジン、頼りにしているわ」と何度も頷いている。
因みに、ルマ家騎士団長ウルフ・クリンスマンと教育係ジン・モリタにはいくつもの共通点があるが、もっとも有名なのは、”稽古の苛烈さ”である。
ルマ家騎士時代に体感済みの地獄の訓練は元より、ソードル家の古参騎士から鬼稽古の内容を聞かされていた女騎士ジェシー・レーマーなどは、
「若様……大丈夫かしら?」
などと顔をひきつらせていたのだが、そんな事をまるで察せられないエリージェ・ソードルは、中に入っていく二人の背を眺めながら「ウルフとジンが見てくれるなら安心ね」などと胸をなで下ろすのであった。
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