『設定集、SS用』殺戮(逆ハー)エンドを迎えた悪役令嬢様も、二度目は一人に絞り込んだ模様です

人紀

文字の大きさ
3 / 3

(SS)クリスティーナ、九歳

しおりを挟む
 こんにちわ!

 クリスはね、クリスティーナ!

 九歳!

 クリスって呼んでね!

 クリスはね、今、おじょ~様のお家にいるの。

 すんごく大きくて、立派で、初めて見た時目が飛び出るぐらいビックリした!

 前のお母さんのお勤め? 先もすっご~いって思ったけど、何だかそんなものも、ポンッっと吹っ飛んじゃうほど、大きいの。

 おじょ~様もとっても綺麗だし、優しいし、立派だし!

 お母さんが前のお勤め先のおじさんに虐められている時に助けてくれた!

 その時は本当に怖くって、ボロボロ泣いちゃったけど、そのおかげでおじょ~様に会えて、クリスとっても幸せだよ!



 だけど、クリスは知ってるの。



 御貴族様? は立派であればあるほど、お相手をする場合はお行儀良くしないといけないって。

 酒場によく来てたボブおじさんは”ちょっと”お行儀良くしてなかっただけで、ぶん殴られて片目を潰されたんだって!

 怖い!

 周りのおじさん達は”まおとこ”をしたとか何とか言っていた。

 ”まおとこ”が何なのかよく分からないけど、お行儀良くしないといけないのは間違いないんだよぉ。

 だけど、クリスは大丈夫!

 ボブおじさんから御貴族様に会った時のお行儀良くする方法を教わっているもの。

 だから、早速実践する事にしたの。

 朝に見かけたお嬢様に、お行儀良く朝の挨拶をしたよ!



「おじょ~様!

 今日も色女っぷりに磨きがかかってやすねぇ~」



 凄いでしょう!

 ボブおじさんからは”色男”と教わっていたけど、お嬢様は女の子だから、”色女”って言ったの。

 クリスは応用おーよーが利くのよ!

 だけど、優しいおじょ~様はクリスがお行儀良くするのを好まないのか、クリスの応用おーよー力自慢まで聞き終えた後、苦いお薬を飲んだ時のような顔で、「クリスは”取りあえず”、普段通りで良いのよ」と言ってくれたの。



 普段通りのクリスが良いと言ってくれるなんて、本当におじょ~様は優しい!



 今までは大体、「静かにしてろ」とか「余計な事を喋るな」とか「もうやめて!」とか言われる事が多かったから、クリス、感動しちゃった。

 だから、おじょ~様に抱きついて、「おじょ~様、好き!」って言っちゃった。

 おじょ~様は「フフフ、わたくしも好きよ」と笑いながら、クリスの頭を撫でてくれたよ!



 でもむろん、優しいおじょ~様はそう言ってくれるけど、人によっては態度を変えなくてはならない事を、クリス知っているもん。



 ボブおじさんも、普段は酒場で舎弟しゃてーさん相手にふんぞり返っていたの。

 何でも、他のおじさんが言うには、ボブおじさんみたいな人をお山の大将っていうんだって。

 お山を支配しているなんて、凄い!

 そんなボブおじさんだけど、奥さんが迎えに来ると、「ごめんなさい、ごめんなさい」とちっちゃくなってたんだよ。

 で、クリスにこっそり、「これが”しょせいじゅつ”だ」ってニヤリと教えてくれた。

 なんでも、面倒な相手を黙らせる高等こーとー技術なんだって!

 凄いよね!

 クリス感動しちゃった!

 だから、奥さんに、「ボブおじさん凄いね!」ってそのことを褒めたら、何故かボブおじさん、殴られてた。



 何でだろう?



 それはともかく、相手によって態度を変える事はとても重要なの。

 おじょ~様は普段通りが良いって事だから、そのままで。

 あと、ミーナさんも優しいし言う事を聞いてくれるし、なんだか弱そうだからそのままで良いとして、おじょ~様のお家の中で絶対に丁寧に接しないといけない人がいるの。



 それは侍女長じじょちょーさんなの。



 普段から、ビシッ! っと言うか、キッ! というかきつい顔をしているお婆ちゃんで、お婆ちゃんが前にいると何となく皆、ビクビクしているの。

 お母さんなんて、しょっちゅう怒られているみたいで、「たった十枚皿を割ったくらいで」とか「男の人にお仕事手伝って貰っただけなのに」とか「モテたことが無いから嫉妬してるのよ」とかいつもブツブツ言っているの。

 よく分からないけど、怖い人ってのは間違いないの。

 多分、このお屋敷の中では、おじょ~様の次に偉いのだと思う。



 だからある日、侍女長じじょちょーさんに呼び出しを受けた時なんて、クリスしっかりと”しょせいじゅつ”をしたの。

「ごめんなさい! ごめんなさい!

 お山の大将、ごめんなさい!」

 ”しょせいじゅつ”が聞いたのか侍女長じじょちょーさんは、口をポカリと開けていたよ。

 そして、「何が、ごめんなさいなの? ……あと、お山の大将って?」と聞いてきたの。

 だから、クリスはボブおじさんのお話をして、クリスの”しょせいじゅつ”自慢をしてあげたの。

「立派だね」「凄いね」って言ってくれると思ったんだけど、侍女長じじょちょーさんは頭痛あたまいたを堪えるように耳の上の方を押さえると、教えてくれたの。

「クリスティーナ、それはボブさんという御方の立場では良いけれど、あなたのような女の子には不適切な対応なのよ」

 何でも、”しょせいじゅつ”は立場や性別によってやり方が変わってくるんだって!

 知らなかった!

 ボブおじさんの様なおじさんのやり方を、クリスのような女の子が真似をすると、”しょせいじゅつ”は失敗してしまうと、侍女長じじょちょーさんは丁寧に教えてくれたよ。

「その辺りは、おいおい教えていくから、取りあえずは普段通り話しなさい」

と言ってくれる侍女長じじょちょーさんに、クリス、感動しちゃった。

 おじょ~様だけでなく、侍女長じじょちょーさんまで、そのままで良いよって言ってくれるとは思わなかったもん。

 ここの皆は凄い!

 すっごく優しい!

 だから、クリス、笑顔で言ったよ。

「うん!

 クリス、普段通りにする!

 ちゃんといつも通りにする!」

 だけど、侍女長じじょちょーさんは、何故か困った様な顔になったの。

 何でだろう?

 不思議に思っていると、侍女長じじょちょーさんはハッとした顔でクリスを見てきたの。

「クリスティーナ、あなた、お嬢様にまでお山の大将とか言ってないわよね!?」

「うん?

 お嬢様はお山の大将って感じじゃ無いから言ってないよ」

「え?

 わたしはそんな感じなの?」

 侍女長じじょちょーさんは何故か、衝撃を受けた様な顔をしたの。

 恐れ多いおそれおーかったのかな?

 だから、クリスが一生懸命、「山を支配してるなんて、凄い!」って言ってあげたら、侍女長じじょちょーさんは「もう良いのよ、ありがとう」ってお礼を言ってくれたの。



 そこから、侍女長じじょちょーさんはクリスにこんな事を言ったの。

「クリスティーナ、お嬢様はとてもお忙しくされていらっしゃるでしょ。

 そんな時は、あまり話しかけてはいけません。

 その代わり、お休みの時はお疲れでなければ側にいて差し上げて。

 お行儀とかは、とりあえず後回しでいいから」

 なんでも、お仕事をしているおじょ~様は、周りが大人の人しかいないから、年が近いクリスがいてあげると、落ち着くんだって。

 よく分かんないけど、それがおじょ~様の為になるなら、クリス、頑張る!

 クリス、酒場のおばちゃんにも接待が上手って誉められてたもん!

 でも、そのことを侍女長じじょちょーさんに一生懸命話したら、何故か心配そうな顔で、「普段通りで良いのよ」と念を押されたの。

 頑張りすぎて、クリスが疲れちゃうのを心配してるのかな?

 侍女長じじょちょーさん、優しい!

 お母さんは怖いとか、酷いとか言っていたけど、クリスの話もちゃんと聞いてくれるし、優しい人だと思うの。

 たぶん、お母さんがちゃんと思ってることを伝えていないのが悪いんじゃないかな?

 だから、クリスが代わりに言って上げたの。

 お母さんが、十枚皿を割ったぐらいで怒らないで欲しいって言ってたことと、男の人に手伝って貰うことを許して欲しいって言ってたこと、あと、モテた事がないからって、”しっと”? しないでって言ってた事を丁寧てーねーにお話ししたの。

 すると、やっぱり優しい侍女長じじょちょーさんは、ニッコリしながら、後でお母さんと話し合うって言ってくれたよ。

 良かったね、お母さん!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...