168 / 633
第168話 専用武器完成
しおりを挟む
「鍛冶って意外と時間掛かるんだな……」
「私もフルスクラッチがこんなに掛かるとは思わなかったわ」
「これなら出来上がった順に連絡貰った方が良かったかもな……」
バルガスに武器をオーダーしたのが1ヵ月前。俺とシャーリーはやることもなくベッドに寝ながら天井に向かって話している。
とはいえこの1ヵ月間、何もしていなかったわけじゃない。海の上で戦うことになるのなら足場は必要だろうと考え、その為の小さな浮島を作っていたのだ。
ぶっちゃけるとただの木製の大きなたらい。それは本来お湯を張り、一般の家庭ではお風呂として使う物である。
1個の大きさは直径1メートル強の物。それを10個ほど買い付け、縄で連結させただけ。役に立つかは不明だが、緊急時の足場や浮きとして使うことを想定していて、優れたバランス力を誇る従魔達なら、活用できるはずである。
「ふぁぁ。そろそろ出かけよっか?」
欠伸をしながらもゆっくりと体を起こしたシャーリーは、掛布団をバサリと豪快にめくる。そのままベッドの横で仁王立ちになると、俺の顔をジッと覗き込んだ。
耳からサラリと流れ落ちたシャーリーの髪が、朝日を遮り俺の顔に影を作る。
シャーリーは下着姿のまま。さすがに1ヵ月も一緒の部屋に寝泊まりすれば、遠慮もなくなるというものだ。
最初は恥じらいを持てとも言っていたが、もうそれすら諦めている。
「今日も海で遊ぶ!」
俺の隣からひょっこりと顔を出したのはミアだ。
「「またぁ……?」」
俺とシャーリーが同調するのも無理もない。ミアは最近、海で泳ぐのが甚く気に入っているようで、近くの海岸で遊ぶのがマイブームなのだ。
先程の木製のたらいが使い物になるか? という実験の為、従魔達をつれて海へと出向いたのが切っ掛けだった。
すでにミアの肌は健康的な小麦色。この街に来た時とは雲泥の差である。
最初は痛々しく赤みを帯びていた肌も、宿に帰れば回復魔法で瞬時に治ってしまう。
そのおかげで剥けた皮をはがす悪戯が出来ないのだ。風情がないというか何と言うか……。
地元の友達も出来たようで、楽しそうではあるのだが、それに付き合わされる俺とシャーリーは疲れ切っていた。子供の体力は恐ろしい……。
「もう少し鍛えたらどうです?」
「そうだな。九条殿には基礎体力が足りていないよう感じる」
「お前達と一緒にするな」
カガリとワダツミに言われても、その言葉は全く心に響かない。そもそも魔獣と人間の体力を比べるのが間違っているのだ。
俺よりも冒険者経験の長いシャーリーでさえ参っているほどだ。そこに男女の違いはあれど、種族の違いはないのである。
ミアと一緒に走り回る従魔達も、海岸では子供達の人気者だ。それを遠くから見ているだけだが、こんな平和がずっと続けばいいのにとも考えてしまう。
この後に、巨大なイカと一戦交えなければいけないと考えると、溜息しか出ず憂鬱である。
武器が先か、海賊達が先か……。行きたくはなかったのだが、一応ギルドでクラーケンに関しては調べておいた。
通常の大きさであれば、船に備え付けてあるバリスタなどでも倒せるらしいが、あの大きさともなると、それも厳しそうだ。
「今日はどうする?」
「んー。どっちでもいいけど、昨日は午前中だったし今日は午後にしようかな?」
「わかった」
ミアが遊んでいる間は、どちらかが宿に残ることにしている。急な呼び出しにも対応する為だ。
恐らく、宿の主が言伝を預かってくれるのだろうが、念の為である。
暫くすると、ミアとシャーリーは3匹の従魔を連れて海へと出発。俺は暇つぶしにコクセイをモフる作業に勤しんでいた。
しかしそんな時間も長くは続かず、宿の扉がノックされると、聞き覚えのある声が響いく。
「九条、いるか!?」
酒に焼かれた喉の所為か、しゃがれた声はバルガスだ。
急いで扉を開けると、バルガスが両手に抱えていたのは大きな3つの布袋。
「頼まれていた物が出来たぞ!」
白い歯をむき出しにして笑顔を見せるバルガス。その表情から出来栄えが想像できるほどである。
嬉しいのはむしろこちら側だ。ひとまず中へと招き入れると、バルガスは重そうな袋をテーブルの上へと置いた。
「ふぅ……」
バルガスは、額の汗を持っていた手ぬぐいのような物で拭うと、ドワーフには少し高いであろう椅子に腰かける。
「今、何か飲み物を……」
「酒がいい!」
「あっ、はい……」
もちろん用意している。それがドワーフに対する礼儀であるからだ。
「嬢ちゃん達はどうした? 出かけているのか?」
「ええ。昼になったら1度帰ってくると思いますけど」
「そうか……。それまで待たせてもらっても?」
「もちろんです」
丁度良かった。バルガスには悪いが、暇つぶしの話し相手にはもってこいである。
「じゃぁ、先に九条には渡してしまおう」
そう言って布袋から取り出したのは、俺が頼んでいた金剛杵。
それは、ミスリル本来の色とは違う黒を基調とした色あいだ。
「ミスリルにオニキスを混ぜ込んだ。オニキスは精神力をサポートする効果がある。魔法も使うお前さんみたいなハイブリッドタイプ向きに仕上げたんだが……」
テーブルに置かれたそれを手に取った。さすがとしか言いようがなく、見た目はイメージした物そのまま。手に吸い付くような感覚は、息を呑むほどである。
まるで、長年使っていた実家の撞木を握っているかのよう。その驚きように満足したのか、バルガスは酒を煽りながらも笑顔を見せた。
「不具合があれば言ってくれ。すぐに修正する」
「……いいえ、完璧だと思います。すごくいい。なんと表現していいかわかりませんが、一心同体……。コイツも自分の体の一部みたいだ……」
「それが聞けただけで職人冥利に尽きるってもんだ。ありがてぇ」
自分の仕事が褒められることこそ、最高のお返しなのだと言わんばかり。
照れ隠しのつもりなのかバルガスは一気に酒を飲み干すと、そこからは饒舌であった。
まだ午前中だというのに、宴会でもしているのかと思う程ガバガバ飲む。もちろん飲んでいるのはバルガスだけで、俺は一口も飲んでいない。
飲みたいが今は我慢である。飲んでしまえば帰ってきた2人に白い目で見られるのは明白。それに朝から飲むという行為には、多少なりとも罪悪感を覚える。
気分よく話すバルガスに相槌を打つだけの簡単なお仕事。とは言え、その内容は有益なものであった。
バルガスの工房前ですれ違った、オルクスのことを聞けたからである。
「そう言えば、俺達が武器のフルスクラッチを頼んだ時にいたフードの男性。実は知り合いだったんですけど、彼が何かしたんですか?」
「あぁ、そうだったのか。アイツはまぁ、そこそこ有名な船団に所属していてな……。金払いが良くて、そこからの仕事は良く受けてたんだ。依頼されてた仕事は完璧に仕上げた。後はカネを受け取るだけだったんだが、10年程前から急に音沙汰がなくなっちまった。そしてそれを急に取りに来たと思ったら、ツケておいてくれと言われてな。それで頭に血が上っちまったんだ。あの時はすまなかったな」
「いえ、気にしていませんので」
バルガスはオルクスが海賊だということを知らないのだろう。いや、知っていて隠しているだけかもしれないが、関係性がわかっただけでも十分だ。
10年前。恐らくはバルバロスが死んだ時。そしてこのタイミングで取りに来たということは、白い悪魔に関係している可能性は高いと踏んだ。
「で、それは渡したんですか?」
「銛だよ。特注のな。あんなもの売り物になりゃしねぇ。頼まれたのは6本だったが1本だけ渡してやった。残りの5本はカネを払ったらくれてやるつもりだが、まぁもう来ねぇだろうな。何年も客商売やってると大体わかるんだよ。まぁ手切れ金だと思って諦めるつもりだ。残りは溶かして再利用だな」
「それ、俺に売ってくれませんか?」
「はぁ?」
売り物にもならない特注の銛。それを買い取るというのだから、不思議に思っても仕方がない。
とは言え、溶かして再生するにしても労力はかかる。それを引き取ってもらえるのならば、バルガスにとって悪い話ではないはずだ。
「オルクスに渡した1本も含めた全額を支払うなら考えてやる。その後オルクスのヤツがカネを持って来れば、その分は返金しよう」
「おいくらですか?」
「全額で金貨600枚だ」
払えない額ではない。巨大な銛ということは、確実に対白い悪魔用と見て間違いないだろう。
正直高額ではあるが、背に腹は代えられない。あの白い悪魔と呼ばれるクラーケンと対峙するのだ。万全を期すべきである。
それに白い悪魔を倒すことが出来れば、海賊船をくれると言っていた。元々貰うつもりはなかったが、それを換金すれば十分元が取れるのではないだろうか?
「今回の余ったミスリル鉱石でどうにかなりませんか?」
「……本当にいいのか? 言っちゃ悪いが、そんなに信用できる奴なのか? 返ってくる保障なんかないぞ?」
「ええ。構いません。よろしく頼みます」
一瞬悩んだ様子を見せたバルガスであったが、俺と目を合わせるとすぐに首を縦に振った。
「……わかった。お前さんがそこまで言うなら持って来てやる」
「俺も行きましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
困惑にも似た表情を浮かべつつも、バルガスは残っていた酒を一気に飲み干し、宿を出て行った。
白い悪魔を倒す為にと言えればいいのだが、そうはいかない。何も知らないバルガスを巻き込むわけにはいかないのだ。
「私もフルスクラッチがこんなに掛かるとは思わなかったわ」
「これなら出来上がった順に連絡貰った方が良かったかもな……」
バルガスに武器をオーダーしたのが1ヵ月前。俺とシャーリーはやることもなくベッドに寝ながら天井に向かって話している。
とはいえこの1ヵ月間、何もしていなかったわけじゃない。海の上で戦うことになるのなら足場は必要だろうと考え、その為の小さな浮島を作っていたのだ。
ぶっちゃけるとただの木製の大きなたらい。それは本来お湯を張り、一般の家庭ではお風呂として使う物である。
1個の大きさは直径1メートル強の物。それを10個ほど買い付け、縄で連結させただけ。役に立つかは不明だが、緊急時の足場や浮きとして使うことを想定していて、優れたバランス力を誇る従魔達なら、活用できるはずである。
「ふぁぁ。そろそろ出かけよっか?」
欠伸をしながらもゆっくりと体を起こしたシャーリーは、掛布団をバサリと豪快にめくる。そのままベッドの横で仁王立ちになると、俺の顔をジッと覗き込んだ。
耳からサラリと流れ落ちたシャーリーの髪が、朝日を遮り俺の顔に影を作る。
シャーリーは下着姿のまま。さすがに1ヵ月も一緒の部屋に寝泊まりすれば、遠慮もなくなるというものだ。
最初は恥じらいを持てとも言っていたが、もうそれすら諦めている。
「今日も海で遊ぶ!」
俺の隣からひょっこりと顔を出したのはミアだ。
「「またぁ……?」」
俺とシャーリーが同調するのも無理もない。ミアは最近、海で泳ぐのが甚く気に入っているようで、近くの海岸で遊ぶのがマイブームなのだ。
先程の木製のたらいが使い物になるか? という実験の為、従魔達をつれて海へと出向いたのが切っ掛けだった。
すでにミアの肌は健康的な小麦色。この街に来た時とは雲泥の差である。
最初は痛々しく赤みを帯びていた肌も、宿に帰れば回復魔法で瞬時に治ってしまう。
そのおかげで剥けた皮をはがす悪戯が出来ないのだ。風情がないというか何と言うか……。
地元の友達も出来たようで、楽しそうではあるのだが、それに付き合わされる俺とシャーリーは疲れ切っていた。子供の体力は恐ろしい……。
「もう少し鍛えたらどうです?」
「そうだな。九条殿には基礎体力が足りていないよう感じる」
「お前達と一緒にするな」
カガリとワダツミに言われても、その言葉は全く心に響かない。そもそも魔獣と人間の体力を比べるのが間違っているのだ。
俺よりも冒険者経験の長いシャーリーでさえ参っているほどだ。そこに男女の違いはあれど、種族の違いはないのである。
ミアと一緒に走り回る従魔達も、海岸では子供達の人気者だ。それを遠くから見ているだけだが、こんな平和がずっと続けばいいのにとも考えてしまう。
この後に、巨大なイカと一戦交えなければいけないと考えると、溜息しか出ず憂鬱である。
武器が先か、海賊達が先か……。行きたくはなかったのだが、一応ギルドでクラーケンに関しては調べておいた。
通常の大きさであれば、船に備え付けてあるバリスタなどでも倒せるらしいが、あの大きさともなると、それも厳しそうだ。
「今日はどうする?」
「んー。どっちでもいいけど、昨日は午前中だったし今日は午後にしようかな?」
「わかった」
ミアが遊んでいる間は、どちらかが宿に残ることにしている。急な呼び出しにも対応する為だ。
恐らく、宿の主が言伝を預かってくれるのだろうが、念の為である。
暫くすると、ミアとシャーリーは3匹の従魔を連れて海へと出発。俺は暇つぶしにコクセイをモフる作業に勤しんでいた。
しかしそんな時間も長くは続かず、宿の扉がノックされると、聞き覚えのある声が響いく。
「九条、いるか!?」
酒に焼かれた喉の所為か、しゃがれた声はバルガスだ。
急いで扉を開けると、バルガスが両手に抱えていたのは大きな3つの布袋。
「頼まれていた物が出来たぞ!」
白い歯をむき出しにして笑顔を見せるバルガス。その表情から出来栄えが想像できるほどである。
嬉しいのはむしろこちら側だ。ひとまず中へと招き入れると、バルガスは重そうな袋をテーブルの上へと置いた。
「ふぅ……」
バルガスは、額の汗を持っていた手ぬぐいのような物で拭うと、ドワーフには少し高いであろう椅子に腰かける。
「今、何か飲み物を……」
「酒がいい!」
「あっ、はい……」
もちろん用意している。それがドワーフに対する礼儀であるからだ。
「嬢ちゃん達はどうした? 出かけているのか?」
「ええ。昼になったら1度帰ってくると思いますけど」
「そうか……。それまで待たせてもらっても?」
「もちろんです」
丁度良かった。バルガスには悪いが、暇つぶしの話し相手にはもってこいである。
「じゃぁ、先に九条には渡してしまおう」
そう言って布袋から取り出したのは、俺が頼んでいた金剛杵。
それは、ミスリル本来の色とは違う黒を基調とした色あいだ。
「ミスリルにオニキスを混ぜ込んだ。オニキスは精神力をサポートする効果がある。魔法も使うお前さんみたいなハイブリッドタイプ向きに仕上げたんだが……」
テーブルに置かれたそれを手に取った。さすがとしか言いようがなく、見た目はイメージした物そのまま。手に吸い付くような感覚は、息を呑むほどである。
まるで、長年使っていた実家の撞木を握っているかのよう。その驚きように満足したのか、バルガスは酒を煽りながらも笑顔を見せた。
「不具合があれば言ってくれ。すぐに修正する」
「……いいえ、完璧だと思います。すごくいい。なんと表現していいかわかりませんが、一心同体……。コイツも自分の体の一部みたいだ……」
「それが聞けただけで職人冥利に尽きるってもんだ。ありがてぇ」
自分の仕事が褒められることこそ、最高のお返しなのだと言わんばかり。
照れ隠しのつもりなのかバルガスは一気に酒を飲み干すと、そこからは饒舌であった。
まだ午前中だというのに、宴会でもしているのかと思う程ガバガバ飲む。もちろん飲んでいるのはバルガスだけで、俺は一口も飲んでいない。
飲みたいが今は我慢である。飲んでしまえば帰ってきた2人に白い目で見られるのは明白。それに朝から飲むという行為には、多少なりとも罪悪感を覚える。
気分よく話すバルガスに相槌を打つだけの簡単なお仕事。とは言え、その内容は有益なものであった。
バルガスの工房前ですれ違った、オルクスのことを聞けたからである。
「そう言えば、俺達が武器のフルスクラッチを頼んだ時にいたフードの男性。実は知り合いだったんですけど、彼が何かしたんですか?」
「あぁ、そうだったのか。アイツはまぁ、そこそこ有名な船団に所属していてな……。金払いが良くて、そこからの仕事は良く受けてたんだ。依頼されてた仕事は完璧に仕上げた。後はカネを受け取るだけだったんだが、10年程前から急に音沙汰がなくなっちまった。そしてそれを急に取りに来たと思ったら、ツケておいてくれと言われてな。それで頭に血が上っちまったんだ。あの時はすまなかったな」
「いえ、気にしていませんので」
バルガスはオルクスが海賊だということを知らないのだろう。いや、知っていて隠しているだけかもしれないが、関係性がわかっただけでも十分だ。
10年前。恐らくはバルバロスが死んだ時。そしてこのタイミングで取りに来たということは、白い悪魔に関係している可能性は高いと踏んだ。
「で、それは渡したんですか?」
「銛だよ。特注のな。あんなもの売り物になりゃしねぇ。頼まれたのは6本だったが1本だけ渡してやった。残りの5本はカネを払ったらくれてやるつもりだが、まぁもう来ねぇだろうな。何年も客商売やってると大体わかるんだよ。まぁ手切れ金だと思って諦めるつもりだ。残りは溶かして再利用だな」
「それ、俺に売ってくれませんか?」
「はぁ?」
売り物にもならない特注の銛。それを買い取るというのだから、不思議に思っても仕方がない。
とは言え、溶かして再生するにしても労力はかかる。それを引き取ってもらえるのならば、バルガスにとって悪い話ではないはずだ。
「オルクスに渡した1本も含めた全額を支払うなら考えてやる。その後オルクスのヤツがカネを持って来れば、その分は返金しよう」
「おいくらですか?」
「全額で金貨600枚だ」
払えない額ではない。巨大な銛ということは、確実に対白い悪魔用と見て間違いないだろう。
正直高額ではあるが、背に腹は代えられない。あの白い悪魔と呼ばれるクラーケンと対峙するのだ。万全を期すべきである。
それに白い悪魔を倒すことが出来れば、海賊船をくれると言っていた。元々貰うつもりはなかったが、それを換金すれば十分元が取れるのではないだろうか?
「今回の余ったミスリル鉱石でどうにかなりませんか?」
「……本当にいいのか? 言っちゃ悪いが、そんなに信用できる奴なのか? 返ってくる保障なんかないぞ?」
「ええ。構いません。よろしく頼みます」
一瞬悩んだ様子を見せたバルガスであったが、俺と目を合わせるとすぐに首を縦に振った。
「……わかった。お前さんがそこまで言うなら持って来てやる」
「俺も行きましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
困惑にも似た表情を浮かべつつも、バルガスは残っていた酒を一気に飲み干し、宿を出て行った。
白い悪魔を倒す為にと言えればいいのだが、そうはいかない。何も知らないバルガスを巻き込むわけにはいかないのだ。
12
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる