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第51話 死者の王
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「撃てぇーー!!」
街の南門を守る警備兵が、アンデッドの大軍に向かって攻撃を始めた。
といってもただの警備兵だ。非常時でもない平日。最低限の人数しか配置されておらず、彼等に出来る事は限られていた。
城から援軍が来るまで持ちこたえることが彼等の役割ではあるが、遥か遠くに見える王城の門が開く気配は未だなく、伝令さえ姿を見せない。
城壁に配置してあるバリスタを何度も打ち込んではいるもののその効果は薄く、1発で無力化できるのは精々数匹程度のアンデッド。
20対5000。まさに雀の涙である。
とはいえ警備隊長の指示は的確で、堀に架かる跳ね橋を上げられたのは不幸中の幸いだった。
相手に攻城兵器の類は見られない。
遠距離攻撃を仕掛けてくる気配もなく多少の時間は稼げるだろうが、何かに取り憑かれたかのように黙々と前進を続けるアンデッド達が本当に止まるのかという一抹の不安を隠せずにいた。
その先頭が堀まで辿り着くも、迫り来る軍勢の勢いは衰えない。
堀に沿って横へと広がっていくアンデッド達は、そのまま街を包囲してしまうのだろうかと憂慮したが、そうではなかった。
スケルトン同士が骨と骨とを絡め合い幾重にも重なり合わさると、出来上がったのは巨大な骨の塔である。
見上げてようやく天辺が見えるほどの骨の塔が城壁へと倒れ込み、それは塔から橋へと姿を変えた。
そこから湯水のように溢れ出て来るアンデッドの大軍を、僅か20名で押し返せるわけがない。
「くっ……。撤退! 撤退だぁぁぁぁ!!」
警備隊長の男が悲鳴にも似た号令をあげると、兵達は城壁を捨て退いて行く。
跳ね橋が降り門が音を立てて開くと、アンデッド達は何事もなかったかの如く前進を再開した。
その進行速度は非常にゆっくりとしたペースで、普段歩いているのと変わらない速度。
大通りを真っ直ぐ進むその先には、巨大な城。
アンデッド達は逃げ遅れた人々にさえ見向きもせず、ただひたすらに王宮を目指し進軍を続けた。
それはまるで亡者のパレード。
手をこまねく冒険者に警備兵達はその光景をただ茫然と見ている事しか出来なかった。
街が半分ほど飲み込まれた辺りでようやくギルドに討伐依頼が出されるも、それを受ける者など皆無。
恐らく街に被害はない。先程からうるさいほどに鳴り響いているのは避難指示の鐘の音と、一糸乱れぬ大量の足音だけ。
その中に悲鳴は含まれていなかった。
誤報を疑うほどには静か。
余計なちょっかいをかけて死ぬのは御免である。
それでも勇敢に立ち向かおうとする者達がいるのも確かだ。
しかし、それを躊躇させてしまうほどの存在に心が折れてしまったのだ。
その圧倒的な存在感。目が合っただけで、身も凍るような畏怖を覚える。
他のスケルトン達より一回り大きい漆黒のスケルトンは紅く鈍く光る双眸で王宮を睨みつけていた。
その姿を見た者は、誰もがこう言うだろう。
――あれはアンデッド達の王なのだと。
やがてそれが内門である王宮の城壁に辿り着くと、行進はピタリと止まった。
落とし格子の門を隔て、ズラリと整列した騎士達との睨み合い。
スケルトン達が己の盾に剣を打ちつけ、不快な金属音を打ち鳴らす。
その一糸乱れぬ動きは自らを鼓舞しているようにも見えるが、本当の意味はわからない。だからこその恐怖が場を支配していた。
大軍が大きく2つに割れ、そこに姿を現したのはスケルトンの王。
それを見た軍馬は嘶き暴れ回り、騎士達はそれを抑えるのに必死だった。
「待て!」
スケルトンの王が鉄格子に触れようとしたその時、王宮側から2人の騎士が門の前へと姿を見せた。
「問おうアンデッドの王よ! 何用だ!」
バイスとヒルバーク。完全武装であるが、それが役に立たないのは知っている。
バイスに至っては対峙するのは2度目。
サイズこそ違えど見ているだけで地獄に足を引っ張られるような感覚は、慣れる事なく焦燥感が拭えない。
目を合わせるだけで息が詰まるほどだ。
本来であれば城壁の上から迎撃するのがセオリーではあるのだが、そんなものが通じる相手ではないことは知っている。
だからこそ交渉に賭けた。それ以外に生き残る道はないのだ。
街に被害はない。ならば別の意図があるのだという結論に至った。
無用な争いは避け、その目的を聞き出せればあるいは……。
――――――――――
謁見の間で行われていたのは緊急対策会議。
それは荒れに荒れ、リリーは嫌悪感を隠せずにいた。
焦りと苛立ちが募り、怒号が飛び交う謁見の間。
王は口を噤んでいるが、第1王子と第2王女の言い争いは酷いもの。
それは派閥に属する貴族達も同じだ。
「お兄様の方が兵の数も質も良いではありませんか! お兄様こそ先陣に立つべきですわ!」
「ふざけるな! お前の派閥にはその色香で惑わし手に入れたプラチナの冒険者がいるはずだ! そいつはどうした!? 常に護衛につけていたではないか! そいつに任せればよいだろう!」
「ノルディックがいないのは見て判るでしょう!? それに彼は私の護衛であって兵ではありません。彼を送り出したら私を守る者がいなくなるじゃありませんか!」
派閥同士で大声を上げ、罵倒し合っているさまは見苦しい。
リリーは王座に興味がない。むしろネストのように貴族でありながら冒険者という自由な生き方に惹かれていた。
とてもではないがあの中には入って行けないと敬遠し、同じ空間にいるのも嫌でリリーはバルコニーから外を眺めていたのだ。
もちろんそれはアンデッド達の進行具合の確認の為という意味も併せ持つ。
言い争いなぞしている暇があったら、現状を把握しようと努力した方が100倍はマシ。
『魔術師は常に冷静であれ』。ネストの教えがリリーの中でしっかりと根付いていると言っても過言ではない。
王宮の外ではアンデッド達が城の門まで到達しているのが見え、お互いが一触即発といった雰囲気。
しかし、何かがおかしいとすぐに気が付いた。
街は火の手が上がるわけでもなく、見下ろす城下は平和と言って差し支えない。
王宮へと延びる大通りはアンデッドで溢れているが、微動だにせずただ立っているだけである。
門の前には騎士団と多くの兵達。その先頭にはヒルバークとバイス。
対峙しているのはスケルトンだが、その雰囲気は全くの別物であった。
今いるバルコニーは7階だ。その声が聞こえるわけがない。
それでも注視してその動向を観察していると、突然そのスケルトンがこちらを見上げたのだ。
リリーの視線と鮮血のように赤く光る双眸が交差し、跳ね上がる鼓動。
一瞬で全身に鳥肌が立ち、全速力で走ったかのように心の臓が鳴り響く。
まるで金縛りにでもあったかのように目が離せなかった。
その視線上に突如として割って入ったのは、スケルトンの手の甲。
その指には見覚えのある指輪がはめられていた。
薄蒼に輝くサファイアの輝き。
それはリリーの派閥の証。全てが同じものではなく、その台座は個別にデザインされたものだ。
それには見覚えがあった。
最近まで自分の手の中にあった物。九条に与えた物と同じ物だ。
漆黒のスケルトンが視線を外すと、緊張が解けたように自然と体が動いた。
「お父様、少しの間失礼します!」
バルコニーから部屋の中へ戻ったリリーは、王にそう声をかけると一目散に部屋を出て行った。
その異変に気付き、ネストも後を追おうと走り出す。
「アンカースは何処へ行くのですか!? まさか逃げるつもりなのではないですよねぇ……」
その一言でネストは足を止めた。
緊急時だと言うのにニヤニヤと気色悪い笑みを浮かべるブラバ卿。
仕方なくバルコニーへと戻り、下の様子を確認する。
恐らくはヒルバークとバイスの元へと向かったはずだが、そこに探している者達の姿はなかった。
――――――――――
突然後ろから複数の悲鳴が聞こえ、ネストは謁見の間へと目を向けた。
何事かと思い部屋に戻ると、そこにいたのはヒルバークとバイス。
その後ろには、リリーを抱き抱えたスケルトンロードの姿。
それがレッドカーペットを歩くさまは、死神がリリーを迎えに来たかのようにも見え、貴族達は出来るだけそれから離れようと、壁際へと後退った。
「ヒルバーク! 貴様血迷ったか!?」
「恐れながら申し上げます! 陛下、この者は敵ではございません」
「なんだと!?」
スケルトンロードがリリーを優しく降ろすと、王に対して跪いた。
「ごきげんよう、スタッグの王よ。この姿で会うのは300年ぶりだな……」
力のある者が王に跪き、目を疑う光景に驚きを隠せない貴族達。
それは国王であるアドウェールも同じこと。
スケルトンロードの言っていることが理解出来なかった。
「敵でないならまずはリリーを離せ!」
「それは無理というものだ。王女を離せば君達は私を亡き者にしようとするだろう? まぁ、我はすでに死んでいるが……。言葉は悪いが人質だと思ってくれたまえ」
近衛兵達は王から付かず離れずの距離を取りつつスケルトンロードを取り囲むと、槍を突き立てようとその隙を窺っていた。
「わ……私は大丈夫。それよりもお父様、話を聞いて上げて」
リリーの表情は強張っている。
それは恐怖から来るものなのだろうが、嫌がっているようには見えず、逃げ出そうとはしていなかった。
リリーは震えながらも、自らの意志で隣に立っているのだ。
「……何が望みだ」
「望み? 何か勘違いをしているようだが、我は何も望まない。預かり物を返しに来た、それだけだ。今日は曝涼式典なのだろう?」
スケルトンロードが立ち上がり外套の裏に手を回すと、そこから取り出したのは深緑色装丁をした1冊の本。
それを天高く掲げ、宣言したのだ。
「アンカースに名を連ねる者よ! 今こそこれをお返ししよう。盟友バルザックとの約束を果たす時が来たのだ!」
それに視線が集まるのは必然。
その中で最も驚きを隠せなかったのがネストだろう。
スケルトンロードが掲げたそれは300年前の国宝たる魔法書。しかし、それは焼失しているのだ。
本物のはずがないと頭では否定しているのに、ネストは藁をも掴む思いでそれに縋りついた。
警戒もせずふらふらと覚束ない足取りでスケルトンロードへと歩み寄り、何も言わずに差し出された魔法書を受け取った。
あとはそれを開くだけ。それだけで真贋を見極めることができるのに、その勇気が出ない。
「ネスト……。私を信じて……」
スケルトンロードの脇に立つリリーから僅かばかりに漏れた声。
それに小さく頷き、覚悟を決めると魔法書をゆっくりと開いた。
しっかりと確認するかのように目を走らせ、それは徐々に速度を上げていく。
捲れば捲るほどに疑いようがなくなり、それは確信へと変わっていった。
(嘘……嘘だ……。なんで……。燃えてしまったはずなのに……。ここにあるはずがないのに……)
そして巻末には、著者:バルザック・フォン・アンカースと力強くその名が綴られていたのだ。
ネストから溢れ出る涙は、それが本物だということを物語っていた。
「嘘だ! その魔法書は燃えたはず! 偽物だ!!」
声を荒げたのはブラバ卿。魔法書を燃やした張本人だ。
それが本物であろうはずがないことはまごうことなき事実である。
「燃えた? ……燃えただと!? 何故貴様がそれを知っているのだ!?」
スケルトンロードと目が合うと、ブラバ卿はそこから視線を外せなくなった。
自ら墓穴を掘ってしまった事に気が付き、言い訳をしようにも上手く頭が回らない。
鋭い視線から感じるのは明確な殺意。
それは恐怖以外の感情を封じられてしまったのかと思うほど。
誰かの影に隠れようにも、護衛を含めすでにブラバ卿の周りには誰もいない。
呼吸困難になりそうなほどの畏怖を覚え、ブラバ卿は過呼吸で気絶する寸前であった。
「確かにこれは燃えたはず……。なんで……なんであなたがこれを持っているの!?」
「……バルザックとの約束だ。それ以上の理由が必要なのか?」
「それは……」
魔法書が返ってきたのだ。それで十分。
理由なぞ必要ない。……ないのだが、どうしても納得がいかなかった。
スケルトンロードの言っていることが正しいと思えるだけの証拠が欲しかった。
「……そうだな……。アストロラーベに隠された手紙の答え。それを墓に手向けてやれば、自ずと理解出来るだろう……」
ネストの表情が驚きへと変わり、目頭が徐々に熱くなる。
ネストはそれだけで、全てを信じることが出来た。
それはアンカース家の者しか知り得ない事実。
家に代々伝わる杖の名と、隠された手紙の秘密なのだ。
放心してしまったかのように力なく座り込むネストは、ようやく念願の魔法書が手に入ったという実感が湧きあがり、胸がいっぱいになった。
「……ありがとう……ございます……」
魔法書を抱き抱え、大粒の涙をボロボロと流しながらもネストは礼を言い続けた。
「すまなかったな。王女よ」
スケルトンロードに背中を押され、リリーはネストを抱きしめた。
その涙の意味を知る者の1人として、喜びと感動を分かち合う為に……。
「人質を解放したぞ! 今だ! 殺れ! 近衛兵!」
今が好機とばかりにブラバ卿が号令を下す。
確かに隙だらけだった。しかし、泣き崩れるネストとリリーを前にして、それに従おうとする者は誰1人としていなかったのだ。
「何故、誰も動かんのだ!!」
スケルトンロードは再度ブラバ卿へと視線を向けた。
「そうだ、人質で思い出したぞ。最近お前に一言いいたいと言う死者がいたな。今呼び出してやる」
スケルトンロードが取り出したのは人間の頭蓋骨。
それを無造作に放り投げた。
「【死者蘇生】」
伸ばした掌が赤黒い光を発すると、頭蓋骨は生前の姿を具現化していく。
そして魔法陣の中から現れたのは、1人の若い男。
その男はキョロキョロと辺りを見回し、ブラバ卿を見つけると目を見開き詰め寄った。
「ブラバ卿! 貴様嘘をついたな! 相手にするのはゴールドの冒険者が2人だけだと言ったではないか! あんなものがいるとは聞いてないぞ!!」
「ぺ……ペライス……。貴様は死んだはずだ! 何故!?」
驚きを隠せずにいたブラバ卿の表情は、瞬く間に青ざめていく。
リリーはその男の顔を見て思い出した。
「……私を人質にした人……」
「なんだと!? それはまことか!?」
アドウェールに無言で頷くヒルバーク。
そう、この男はコット村から王都スタッグへとの移動中に襲ってきたゴロツキ達のリーダーだった騎士風の男。
リリーを人質に取り、挙句カガリに殺された者である。
「貴様の所為で俺は殺されたんだ! その恨み、ここで晴らしてやる!!」
よみがえった男は近くの貴族の護衛に駆け寄ると、腰のショートソードを奪い、ブラバ卿に向かってそれを振り上げた。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃ!」
あまりの迫力に腰が抜け、ぺたりと座り込むブラバ卿。
その剣がブラバ卿の頭を割る瞬間だった。
「【呪縛】」
無数の暗黒の鎖が激昂する男を束縛したのだ。
「ぐぅ!? 何故だ! 死の王! 俺の恨みを晴らすためによみがえらせてくれたのではないのか!?」
「言いたい事があるからと言ったのは貴様だ。殺しを許可した覚えはない。時と場を弁えろ。ここは王の間だ。例え自分の城ではないとてそこを血で汚すのは許さん。ここではない別の場所で機会を作ってやる。そこで存分に殺すがいい」
激しく暴れていた男はそれを聞くと、大人しくなった。
そして恨みを込めてブラバ卿へと言い放つ。
その眼光には、スケルトンロードに勝るとも劣らない憎悪が込められていたのだ。
「いずれお前を殺してやる! 覚悟しておけ! 絶対にだ!!」
そう言うと男は暗黒の鎖と共に灰となり、持っていたショートソードは音を立て地面に落ちた。
情けなくもガタガタと震えるブラバ卿。
そこに向けられるアドウェールの表情は怒りに満ちていたのだ。
スケルトンロードはリリーに跪くと、派閥の証である指輪を自分の指から抜き、それをリリーの小さな掌に置いた。
「王女よ。これはもう俺には必要ない。ここでお返ししよう」
それは耳打ちでもするかのような小さな声。
顔を上げたリリーが僅かながらに口を開くも、スケルトンロードはそれをかき消すかのように声を張り上げた。
「我が目的は成就した! さらばだスタッグの王よ。もう会うこともないだろう。曝涼式典を続けるがいい」
その言葉と共にスケルトンロードは塵と消え、それと同時に外にいたアンデッドの大群も消え去った。
目下の脅威は去り、残されたのは派閥の証と1つの頭蓋骨だけ。
式典なんて続けられる空気じゃないと誰もが思っていたであろうが、皆それを口には出さなかった。
その後、ネストは王へと魔法書を返還し、無事曝涼式典は閉幕を迎えたのである。
街の南門を守る警備兵が、アンデッドの大軍に向かって攻撃を始めた。
といってもただの警備兵だ。非常時でもない平日。最低限の人数しか配置されておらず、彼等に出来る事は限られていた。
城から援軍が来るまで持ちこたえることが彼等の役割ではあるが、遥か遠くに見える王城の門が開く気配は未だなく、伝令さえ姿を見せない。
城壁に配置してあるバリスタを何度も打ち込んではいるもののその効果は薄く、1発で無力化できるのは精々数匹程度のアンデッド。
20対5000。まさに雀の涙である。
とはいえ警備隊長の指示は的確で、堀に架かる跳ね橋を上げられたのは不幸中の幸いだった。
相手に攻城兵器の類は見られない。
遠距離攻撃を仕掛けてくる気配もなく多少の時間は稼げるだろうが、何かに取り憑かれたかのように黙々と前進を続けるアンデッド達が本当に止まるのかという一抹の不安を隠せずにいた。
その先頭が堀まで辿り着くも、迫り来る軍勢の勢いは衰えない。
堀に沿って横へと広がっていくアンデッド達は、そのまま街を包囲してしまうのだろうかと憂慮したが、そうではなかった。
スケルトン同士が骨と骨とを絡め合い幾重にも重なり合わさると、出来上がったのは巨大な骨の塔である。
見上げてようやく天辺が見えるほどの骨の塔が城壁へと倒れ込み、それは塔から橋へと姿を変えた。
そこから湯水のように溢れ出て来るアンデッドの大軍を、僅か20名で押し返せるわけがない。
「くっ……。撤退! 撤退だぁぁぁぁ!!」
警備隊長の男が悲鳴にも似た号令をあげると、兵達は城壁を捨て退いて行く。
跳ね橋が降り門が音を立てて開くと、アンデッド達は何事もなかったかの如く前進を再開した。
その進行速度は非常にゆっくりとしたペースで、普段歩いているのと変わらない速度。
大通りを真っ直ぐ進むその先には、巨大な城。
アンデッド達は逃げ遅れた人々にさえ見向きもせず、ただひたすらに王宮を目指し進軍を続けた。
それはまるで亡者のパレード。
手をこまねく冒険者に警備兵達はその光景をただ茫然と見ている事しか出来なかった。
街が半分ほど飲み込まれた辺りでようやくギルドに討伐依頼が出されるも、それを受ける者など皆無。
恐らく街に被害はない。先程からうるさいほどに鳴り響いているのは避難指示の鐘の音と、一糸乱れぬ大量の足音だけ。
その中に悲鳴は含まれていなかった。
誤報を疑うほどには静か。
余計なちょっかいをかけて死ぬのは御免である。
それでも勇敢に立ち向かおうとする者達がいるのも確かだ。
しかし、それを躊躇させてしまうほどの存在に心が折れてしまったのだ。
その圧倒的な存在感。目が合っただけで、身も凍るような畏怖を覚える。
他のスケルトン達より一回り大きい漆黒のスケルトンは紅く鈍く光る双眸で王宮を睨みつけていた。
その姿を見た者は、誰もがこう言うだろう。
――あれはアンデッド達の王なのだと。
やがてそれが内門である王宮の城壁に辿り着くと、行進はピタリと止まった。
落とし格子の門を隔て、ズラリと整列した騎士達との睨み合い。
スケルトン達が己の盾に剣を打ちつけ、不快な金属音を打ち鳴らす。
その一糸乱れぬ動きは自らを鼓舞しているようにも見えるが、本当の意味はわからない。だからこその恐怖が場を支配していた。
大軍が大きく2つに割れ、そこに姿を現したのはスケルトンの王。
それを見た軍馬は嘶き暴れ回り、騎士達はそれを抑えるのに必死だった。
「待て!」
スケルトンの王が鉄格子に触れようとしたその時、王宮側から2人の騎士が門の前へと姿を見せた。
「問おうアンデッドの王よ! 何用だ!」
バイスとヒルバーク。完全武装であるが、それが役に立たないのは知っている。
バイスに至っては対峙するのは2度目。
サイズこそ違えど見ているだけで地獄に足を引っ張られるような感覚は、慣れる事なく焦燥感が拭えない。
目を合わせるだけで息が詰まるほどだ。
本来であれば城壁の上から迎撃するのがセオリーではあるのだが、そんなものが通じる相手ではないことは知っている。
だからこそ交渉に賭けた。それ以外に生き残る道はないのだ。
街に被害はない。ならば別の意図があるのだという結論に至った。
無用な争いは避け、その目的を聞き出せればあるいは……。
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謁見の間で行われていたのは緊急対策会議。
それは荒れに荒れ、リリーは嫌悪感を隠せずにいた。
焦りと苛立ちが募り、怒号が飛び交う謁見の間。
王は口を噤んでいるが、第1王子と第2王女の言い争いは酷いもの。
それは派閥に属する貴族達も同じだ。
「お兄様の方が兵の数も質も良いではありませんか! お兄様こそ先陣に立つべきですわ!」
「ふざけるな! お前の派閥にはその色香で惑わし手に入れたプラチナの冒険者がいるはずだ! そいつはどうした!? 常に護衛につけていたではないか! そいつに任せればよいだろう!」
「ノルディックがいないのは見て判るでしょう!? それに彼は私の護衛であって兵ではありません。彼を送り出したら私を守る者がいなくなるじゃありませんか!」
派閥同士で大声を上げ、罵倒し合っているさまは見苦しい。
リリーは王座に興味がない。むしろネストのように貴族でありながら冒険者という自由な生き方に惹かれていた。
とてもではないがあの中には入って行けないと敬遠し、同じ空間にいるのも嫌でリリーはバルコニーから外を眺めていたのだ。
もちろんそれはアンデッド達の進行具合の確認の為という意味も併せ持つ。
言い争いなぞしている暇があったら、現状を把握しようと努力した方が100倍はマシ。
『魔術師は常に冷静であれ』。ネストの教えがリリーの中でしっかりと根付いていると言っても過言ではない。
王宮の外ではアンデッド達が城の門まで到達しているのが見え、お互いが一触即発といった雰囲気。
しかし、何かがおかしいとすぐに気が付いた。
街は火の手が上がるわけでもなく、見下ろす城下は平和と言って差し支えない。
王宮へと延びる大通りはアンデッドで溢れているが、微動だにせずただ立っているだけである。
門の前には騎士団と多くの兵達。その先頭にはヒルバークとバイス。
対峙しているのはスケルトンだが、その雰囲気は全くの別物であった。
今いるバルコニーは7階だ。その声が聞こえるわけがない。
それでも注視してその動向を観察していると、突然そのスケルトンがこちらを見上げたのだ。
リリーの視線と鮮血のように赤く光る双眸が交差し、跳ね上がる鼓動。
一瞬で全身に鳥肌が立ち、全速力で走ったかのように心の臓が鳴り響く。
まるで金縛りにでもあったかのように目が離せなかった。
その視線上に突如として割って入ったのは、スケルトンの手の甲。
その指には見覚えのある指輪がはめられていた。
薄蒼に輝くサファイアの輝き。
それはリリーの派閥の証。全てが同じものではなく、その台座は個別にデザインされたものだ。
それには見覚えがあった。
最近まで自分の手の中にあった物。九条に与えた物と同じ物だ。
漆黒のスケルトンが視線を外すと、緊張が解けたように自然と体が動いた。
「お父様、少しの間失礼します!」
バルコニーから部屋の中へ戻ったリリーは、王にそう声をかけると一目散に部屋を出て行った。
その異変に気付き、ネストも後を追おうと走り出す。
「アンカースは何処へ行くのですか!? まさか逃げるつもりなのではないですよねぇ……」
その一言でネストは足を止めた。
緊急時だと言うのにニヤニヤと気色悪い笑みを浮かべるブラバ卿。
仕方なくバルコニーへと戻り、下の様子を確認する。
恐らくはヒルバークとバイスの元へと向かったはずだが、そこに探している者達の姿はなかった。
――――――――――
突然後ろから複数の悲鳴が聞こえ、ネストは謁見の間へと目を向けた。
何事かと思い部屋に戻ると、そこにいたのはヒルバークとバイス。
その後ろには、リリーを抱き抱えたスケルトンロードの姿。
それがレッドカーペットを歩くさまは、死神がリリーを迎えに来たかのようにも見え、貴族達は出来るだけそれから離れようと、壁際へと後退った。
「ヒルバーク! 貴様血迷ったか!?」
「恐れながら申し上げます! 陛下、この者は敵ではございません」
「なんだと!?」
スケルトンロードがリリーを優しく降ろすと、王に対して跪いた。
「ごきげんよう、スタッグの王よ。この姿で会うのは300年ぶりだな……」
力のある者が王に跪き、目を疑う光景に驚きを隠せない貴族達。
それは国王であるアドウェールも同じこと。
スケルトンロードの言っていることが理解出来なかった。
「敵でないならまずはリリーを離せ!」
「それは無理というものだ。王女を離せば君達は私を亡き者にしようとするだろう? まぁ、我はすでに死んでいるが……。言葉は悪いが人質だと思ってくれたまえ」
近衛兵達は王から付かず離れずの距離を取りつつスケルトンロードを取り囲むと、槍を突き立てようとその隙を窺っていた。
「わ……私は大丈夫。それよりもお父様、話を聞いて上げて」
リリーの表情は強張っている。
それは恐怖から来るものなのだろうが、嫌がっているようには見えず、逃げ出そうとはしていなかった。
リリーは震えながらも、自らの意志で隣に立っているのだ。
「……何が望みだ」
「望み? 何か勘違いをしているようだが、我は何も望まない。預かり物を返しに来た、それだけだ。今日は曝涼式典なのだろう?」
スケルトンロードが立ち上がり外套の裏に手を回すと、そこから取り出したのは深緑色装丁をした1冊の本。
それを天高く掲げ、宣言したのだ。
「アンカースに名を連ねる者よ! 今こそこれをお返ししよう。盟友バルザックとの約束を果たす時が来たのだ!」
それに視線が集まるのは必然。
その中で最も驚きを隠せなかったのがネストだろう。
スケルトンロードが掲げたそれは300年前の国宝たる魔法書。しかし、それは焼失しているのだ。
本物のはずがないと頭では否定しているのに、ネストは藁をも掴む思いでそれに縋りついた。
警戒もせずふらふらと覚束ない足取りでスケルトンロードへと歩み寄り、何も言わずに差し出された魔法書を受け取った。
あとはそれを開くだけ。それだけで真贋を見極めることができるのに、その勇気が出ない。
「ネスト……。私を信じて……」
スケルトンロードの脇に立つリリーから僅かばかりに漏れた声。
それに小さく頷き、覚悟を決めると魔法書をゆっくりと開いた。
しっかりと確認するかのように目を走らせ、それは徐々に速度を上げていく。
捲れば捲るほどに疑いようがなくなり、それは確信へと変わっていった。
(嘘……嘘だ……。なんで……。燃えてしまったはずなのに……。ここにあるはずがないのに……)
そして巻末には、著者:バルザック・フォン・アンカースと力強くその名が綴られていたのだ。
ネストから溢れ出る涙は、それが本物だということを物語っていた。
「嘘だ! その魔法書は燃えたはず! 偽物だ!!」
声を荒げたのはブラバ卿。魔法書を燃やした張本人だ。
それが本物であろうはずがないことはまごうことなき事実である。
「燃えた? ……燃えただと!? 何故貴様がそれを知っているのだ!?」
スケルトンロードと目が合うと、ブラバ卿はそこから視線を外せなくなった。
自ら墓穴を掘ってしまった事に気が付き、言い訳をしようにも上手く頭が回らない。
鋭い視線から感じるのは明確な殺意。
それは恐怖以外の感情を封じられてしまったのかと思うほど。
誰かの影に隠れようにも、護衛を含めすでにブラバ卿の周りには誰もいない。
呼吸困難になりそうなほどの畏怖を覚え、ブラバ卿は過呼吸で気絶する寸前であった。
「確かにこれは燃えたはず……。なんで……なんであなたがこれを持っているの!?」
「……バルザックとの約束だ。それ以上の理由が必要なのか?」
「それは……」
魔法書が返ってきたのだ。それで十分。
理由なぞ必要ない。……ないのだが、どうしても納得がいかなかった。
スケルトンロードの言っていることが正しいと思えるだけの証拠が欲しかった。
「……そうだな……。アストロラーベに隠された手紙の答え。それを墓に手向けてやれば、自ずと理解出来るだろう……」
ネストの表情が驚きへと変わり、目頭が徐々に熱くなる。
ネストはそれだけで、全てを信じることが出来た。
それはアンカース家の者しか知り得ない事実。
家に代々伝わる杖の名と、隠された手紙の秘密なのだ。
放心してしまったかのように力なく座り込むネストは、ようやく念願の魔法書が手に入ったという実感が湧きあがり、胸がいっぱいになった。
「……ありがとう……ございます……」
魔法書を抱き抱え、大粒の涙をボロボロと流しながらもネストは礼を言い続けた。
「すまなかったな。王女よ」
スケルトンロードに背中を押され、リリーはネストを抱きしめた。
その涙の意味を知る者の1人として、喜びと感動を分かち合う為に……。
「人質を解放したぞ! 今だ! 殺れ! 近衛兵!」
今が好機とばかりにブラバ卿が号令を下す。
確かに隙だらけだった。しかし、泣き崩れるネストとリリーを前にして、それに従おうとする者は誰1人としていなかったのだ。
「何故、誰も動かんのだ!!」
スケルトンロードは再度ブラバ卿へと視線を向けた。
「そうだ、人質で思い出したぞ。最近お前に一言いいたいと言う死者がいたな。今呼び出してやる」
スケルトンロードが取り出したのは人間の頭蓋骨。
それを無造作に放り投げた。
「【死者蘇生】」
伸ばした掌が赤黒い光を発すると、頭蓋骨は生前の姿を具現化していく。
そして魔法陣の中から現れたのは、1人の若い男。
その男はキョロキョロと辺りを見回し、ブラバ卿を見つけると目を見開き詰め寄った。
「ブラバ卿! 貴様嘘をついたな! 相手にするのはゴールドの冒険者が2人だけだと言ったではないか! あんなものがいるとは聞いてないぞ!!」
「ぺ……ペライス……。貴様は死んだはずだ! 何故!?」
驚きを隠せずにいたブラバ卿の表情は、瞬く間に青ざめていく。
リリーはその男の顔を見て思い出した。
「……私を人質にした人……」
「なんだと!? それはまことか!?」
アドウェールに無言で頷くヒルバーク。
そう、この男はコット村から王都スタッグへとの移動中に襲ってきたゴロツキ達のリーダーだった騎士風の男。
リリーを人質に取り、挙句カガリに殺された者である。
「貴様の所為で俺は殺されたんだ! その恨み、ここで晴らしてやる!!」
よみがえった男は近くの貴族の護衛に駆け寄ると、腰のショートソードを奪い、ブラバ卿に向かってそれを振り上げた。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃ!」
あまりの迫力に腰が抜け、ぺたりと座り込むブラバ卿。
その剣がブラバ卿の頭を割る瞬間だった。
「【呪縛】」
無数の暗黒の鎖が激昂する男を束縛したのだ。
「ぐぅ!? 何故だ! 死の王! 俺の恨みを晴らすためによみがえらせてくれたのではないのか!?」
「言いたい事があるからと言ったのは貴様だ。殺しを許可した覚えはない。時と場を弁えろ。ここは王の間だ。例え自分の城ではないとてそこを血で汚すのは許さん。ここではない別の場所で機会を作ってやる。そこで存分に殺すがいい」
激しく暴れていた男はそれを聞くと、大人しくなった。
そして恨みを込めてブラバ卿へと言い放つ。
その眼光には、スケルトンロードに勝るとも劣らない憎悪が込められていたのだ。
「いずれお前を殺してやる! 覚悟しておけ! 絶対にだ!!」
そう言うと男は暗黒の鎖と共に灰となり、持っていたショートソードは音を立て地面に落ちた。
情けなくもガタガタと震えるブラバ卿。
そこに向けられるアドウェールの表情は怒りに満ちていたのだ。
スケルトンロードはリリーに跪くと、派閥の証である指輪を自分の指から抜き、それをリリーの小さな掌に置いた。
「王女よ。これはもう俺には必要ない。ここでお返ししよう」
それは耳打ちでもするかのような小さな声。
顔を上げたリリーが僅かながらに口を開くも、スケルトンロードはそれをかき消すかのように声を張り上げた。
「我が目的は成就した! さらばだスタッグの王よ。もう会うこともないだろう。曝涼式典を続けるがいい」
その言葉と共にスケルトンロードは塵と消え、それと同時に外にいたアンデッドの大群も消え去った。
目下の脅威は去り、残されたのは派閥の証と1つの頭蓋骨だけ。
式典なんて続けられる空気じゃないと誰もが思っていたであろうが、皆それを口には出さなかった。
その後、ネストは王へと魔法書を返還し、無事曝涼式典は閉幕を迎えたのである。
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