24 / 33
本編
オマケ(ロベスピエール回顧録より抜粋)
しおりを挟む
ロベスピエール回顧録(リリアーヌ・アーバン著)より抜粋
初めに思ったのは『女神降臨』だった。
薄暗い地下牢に舞い降りた女神。
何よりも美しく人目を惹くのは黄金の瞳と豊かに波打つ同じく黄金の髪。
圧倒的な美貌。彼女の発するオーラ。優雅で気品溢れる立ち居振る舞い。間違いなく『究極にして至高、最上級に極上の女』だと思った。
何故、こんな場所にこんな美女が?と思いつつも、なんの言葉も出ない俺たちを一通り順番に見渡した美女は。
その魅惑の唇をゆっくり笑みの形に変化させた(背後に艶やかな華が咲き乱れる幻影が確かに見えた。その後皆に確認したが、俺たち全員が“確かに花を見た!”と主張した)。
と、同時にゆっくり、実に軽く優雅にスカートを持ち上げお辞儀を(カーテシーというらしい。のちに彼女自身に解説された)、俺たちに披露した。
呆気に取られた。
初めて目にした極上の美女───誰もが想像する宮殿に住む姫君とは、彼女を指すに違いない──の披露した極上の所作。
心奪われた瞬間だった。
そしてこの美女はとんでもない事を言ってのけた。笑顔のままで。
『わたくしの首を刎ねなさい。
そして遺体を惨たらしく損壊させて、憎い奴らに見せつけるの』
さぁ!と言って美しく波打つ髪を一纏めにして、細い首筋を差し出す様さえ優雅だった。
多分、その様に、花の顔に、清廉な中にも匂い立つような色気に。
何よりも圧倒される覇気、迸る生命力に。
俺はあっさり恋に落ちたのだ。
fin
初めに思ったのは『女神降臨』だった。
薄暗い地下牢に舞い降りた女神。
何よりも美しく人目を惹くのは黄金の瞳と豊かに波打つ同じく黄金の髪。
圧倒的な美貌。彼女の発するオーラ。優雅で気品溢れる立ち居振る舞い。間違いなく『究極にして至高、最上級に極上の女』だと思った。
何故、こんな場所にこんな美女が?と思いつつも、なんの言葉も出ない俺たちを一通り順番に見渡した美女は。
その魅惑の唇をゆっくり笑みの形に変化させた(背後に艶やかな華が咲き乱れる幻影が確かに見えた。その後皆に確認したが、俺たち全員が“確かに花を見た!”と主張した)。
と、同時にゆっくり、実に軽く優雅にスカートを持ち上げお辞儀を(カーテシーというらしい。のちに彼女自身に解説された)、俺たちに披露した。
呆気に取られた。
初めて目にした極上の美女───誰もが想像する宮殿に住む姫君とは、彼女を指すに違いない──の披露した極上の所作。
心奪われた瞬間だった。
そしてこの美女はとんでもない事を言ってのけた。笑顔のままで。
『わたくしの首を刎ねなさい。
そして遺体を惨たらしく損壊させて、憎い奴らに見せつけるの』
さぁ!と言って美しく波打つ髪を一纏めにして、細い首筋を差し出す様さえ優雅だった。
多分、その様に、花の顔に、清廉な中にも匂い立つような色気に。
何よりも圧倒される覇気、迸る生命力に。
俺はあっさり恋に落ちたのだ。
fin
87
お気に入りに追加
3,672
あなたにおすすめの小説
【完結】「『王太子を呼べ!』と国王陛下が言っています。国王陛下は激オコです」
まほりろ
恋愛
王命で決められた公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢との婚約を発表した王太子に、国王陛下が激オコです。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
小説家になろうで日間総合ランキング3位まで上がった作品です。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!
【完結】「婚約者は妹のことが好きなようです。妹に婚約者を譲ったら元婚約者と妹の様子がおかしいのですが」
まほりろ
恋愛
※小説家になろうにて日間総合ランキング6位まで上がった作品です!2022/07/10
私の婚約者のエドワード様は私のことを「アリーシア」と呼び、私の妹のクラウディアのことを「ディア」と愛称で呼ぶ。
エドワード様は当家を訪ねて来るたびに私には黄色い薔薇を十五本、妹のクラウディアにはピンクの薔薇を七本渡す。
エドワード様は薔薇の花言葉が色と本数によって違うことをご存知ないのかしら?
それにピンクはエドワード様の髪と瞳の色。自分の髪や瞳の色の花を異性に贈る意味をエドワード様が知らないはずがないわ。
エドワード様はクラウディアを愛しているのね。二人が愛し合っているなら私は身を引くわ。
そう思って私はエドワード様との婚約を解消した。
なのに婚約を解消したはずのエドワード様が先触れもなく当家を訪れ、私のことを「シア」と呼び迫ってきて……。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる