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本編

オマケ(ロベスピエール回顧録より抜粋)

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ロベスピエール回顧録(リリアーヌ・アーバン著)より抜粋


 初めに思ったのは『女神降臨』だった。
薄暗い地下牢に舞い降りた女神。
何よりも美しく人目を惹くのは黄金の瞳と豊かに波打つ同じく黄金の髪。
圧倒的な美貌。彼女の発するオーラ。優雅で気品溢れる立ち居振る舞い。間違いなく『究極にして至高、最上級に極上の女』だと思った。

何故、こんな場所にこんな美女が?と思いつつも、なんの言葉も出ない俺たちを一通り順番に見渡した美女は。

その魅惑の唇をゆっくり笑みの形に変化させた(背後に艶やかな華が咲き乱れる幻影が確かに見えた。その後皆に確認したが、俺たち全員が“確かに花を見た!”と主張した)。

と、同時にゆっくり、実に軽く優雅にスカートを持ち上げお辞儀を(カーテシーというらしい。のちに彼女自身に解説された)、俺たちに披露した。

呆気に取られた。

初めて目にした極上の美女───誰もが想像する宮殿に住む姫君とは、彼女を指すに違いない──の披露した極上の所作。
心奪われた瞬間だった。


そしてこの美女はとんでもない事を言ってのけた。笑顔のままで。

『わたくしの首を刎ねなさい。
そして遺体を惨たらしく損壊させて、憎い奴らに見せつけるの』


さぁ!と言って美しく波打つ髪を一纏めにして、細い首筋を差し出す様さえ優雅だった。

多分、その様に、花のかんばせに、清廉な中にも匂い立つような色気に。

何よりも圧倒される覇気、迸る生命力に。

俺はあっさり恋に落ちたのだ。




fin
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