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本編
エピローグ〜偲ぶ〜
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エピローグ(グレース視点)
あの頃の私は、本当に疲れていた。
実の父親は、私の提案は全て叶えてくれるイエスマンだったけど、いつもどこか余所余所しく冷たかった。
母親は記憶に残る前に亡くなっていた。
兄とは別の屋敷で育ち没交渉。どんな人間なのかよく知らない。
前世の記憶が無ければ私は一体どんな人間になっただろう。
前世の日本人としての記憶で寂しさを誤魔化せたけど、それは私を老成した天才少女にさせた。
知識チートで、日本食に近しい物を探す為に商会を作った。
いつの間にか周辺諸国を旅し続けていた。
周辺諸国で持ち込まれる問題に対処していたら、いつの間にか『ロックハートの知恵者』などと、御大層な二つ名が付いた。
いつの間にか国の外交官になっていた。
あの日。
あの卒業記念パーティーの晩。
可愛がってくれてる人に利用され捨てられたと思った。
信頼してる人に見捨てられたと思った。
私が救って私に忠誠を誓ってた侍従にも裏切られたと思った。
世界の全てが一斉に私に冷たくなって、私は死ぬしか道は残されていないと思い込んだ。
政治犯だった者達が私を気遣い、一緒に逃げようと提案してきた。なんたる皮肉かと面白くなった。
自暴自棄になり思うままに振舞った。
長かった髪をバッサリ切ったのもこの頃。
とても身体が軽くなった。
物理的にも心理的にも、身軽になったのだろう。
全ての柵を捨てた。
私は何者でもなく、何の責任も負わず、ただの一人の女性になった。
新たな生活は物理的には厳しかったけれど、心理的にはとても楽しかった。
辺境伯様はわたくしの意志を尊重しつつ、こっそりわたくしを守護して下さった。
修道服を身に纏い、髪をベールに隠し、瞳をサングラスで覆う。
辺境での隠遁暮らしはわたくしの荒れた精神をゆっくりゆっくり癒してくれた。
そんなわたくしを守護してくれた存在が、もう1人。
マックス・ロベスピエール。
彼の前でわたくしは『公爵令嬢』ではなかった。
『国の外交官』でもなかった。
『ロックハートの知恵者』でもなかった。
『フェアリー商会の会頭』でもなかった。
そして勿論『次期王妃』でもなかった。
彼の前でわたくしは、いつだって等身大の只の“グレース”だった。
それがとても、途轍もなく、心地良かった。
彼はいつでもわたくしを気遣ってくれた。
いつだってわたくしの意見を優先してくれた。
いつも、わたくしを熱の篭った瞳で見つめてくれた。
わたくしに愛を告げ、心を寄せて、甘やかしてくれた。
わたくしを守ると。
例えわたくしが彼を愛せなくとも、自分の気持ちは変わらないと。
だから
長く時間はかかったけど
彼の愛を、受け入れた。
わたくしは公式には『死人』だから、彼と結婚する事も、日頃傍に居る事も叶わなかった。
彼の今際の際に立ち会う事さえ、叶わなかった。
それでも
だからこそ
二人きりで過ごせる時間を大切にしてきた。
彼がわたくしを愛してくれた事、忘れたりしない。
わたくしも彼を全身全霊で愛していた。
あの赤い髪も、たくましい腕も。
朗らかな笑い声も、優しいキスも。
全部、覚えてる。
今でも、愛している。
ただ一つ、心残りがあるとすれば。
わたくしたちの子どもを授からなかった事。
孤児院の子ども達を沢山育てて、皆この国の未来の為に羽ばたいて行ったけれど。
わたくしの、彼の生きた証がちゃんと残せなかったのが気掛かりで。
だから
誰か、わたくしの気持ちを理解する、誰か。
出来れば、同じ転生者に。
あの、リリアーヌ・アーバンに、わたくしの秘密迄話したのかもしれない。
全てを受け継ぐ者として。
彼女は学者だという父親同様、わたくしたちの話を文献として残してくれるだろう。
それはいずれ誰かの目に触れ、わたくしたちの存在は語り継がれていく。子から孫へ。そのまた孫へ。
でも、まぁ、
『転生』と『乙女ゲーム』は割愛されるかもねwww
【The END】
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ここまでお読み下さり、誠に誠にありがとうございます!
伏して御礼申し上げますm(_ _)m
若きロベスピエールがグレースの指輪を手にフォーサイス公爵に“彼女の遺志は俺が継ぎます”と対決する所とか、フォーサイス公爵視点とかを何処にも入れられなかったのがプチ後悔です。
ジョン主体にしちゃったからなぁ。
思いの外、彼に肩入れしてしまった。最初のプロットでは獄中死だったのに。『まさか』生き延びるとは。
(´>ω∂`)テヘペロ
グレースパッパは娘大切だけど、いずれ王族になる娘なので自分は臣下として接してました。グレースパッパにはリリーさんが初恋で棚ぼた式に結婚したのでレオン王太子にちょっとだけ後ろめたく思ってた、とか。お話の流れ的に削除案件でした。
この話で一番書きたかったのが、主要人物皆が『まさかこんな事になるとは』と思う所。
それぞれ違う思いの『まさか』でしたが(特にジョン)どうだったでしょうか。
途中、HOTランクインも教えて頂きまして、私自身も『まさか』という思いを味わいました。www
心臓バクバクですよ(*º ロ º *)!!
次点は転生者同士のオタク話の咲かせ方です。
転生した先でベルばらの話が出来たらサイコーかも、とwww
まぁ、完結が一番の目標なので書き上げられて概ね満足です。
あと一話、オマケをお楽しみ下さいませ
お時間頂けましたら幸いです
m(*_ _)m
2021,06,16(追記)
温かいお言葉に励まされ調子に乗り、番外編も書きました。
『フォーサイス公爵の走馬灯』(全5話)
『ジョン、という人』(全1話)
そして外伝『真か偽か』(全1話)
『乙女ゲーム“この恋をアナタと”の真実』(全2話)←蛇足回
合わせてお楽しみ頂けたら幸いです
m(_ _)m
あの頃の私は、本当に疲れていた。
実の父親は、私の提案は全て叶えてくれるイエスマンだったけど、いつもどこか余所余所しく冷たかった。
母親は記憶に残る前に亡くなっていた。
兄とは別の屋敷で育ち没交渉。どんな人間なのかよく知らない。
前世の記憶が無ければ私は一体どんな人間になっただろう。
前世の日本人としての記憶で寂しさを誤魔化せたけど、それは私を老成した天才少女にさせた。
知識チートで、日本食に近しい物を探す為に商会を作った。
いつの間にか周辺諸国を旅し続けていた。
周辺諸国で持ち込まれる問題に対処していたら、いつの間にか『ロックハートの知恵者』などと、御大層な二つ名が付いた。
いつの間にか国の外交官になっていた。
あの日。
あの卒業記念パーティーの晩。
可愛がってくれてる人に利用され捨てられたと思った。
信頼してる人に見捨てられたと思った。
私が救って私に忠誠を誓ってた侍従にも裏切られたと思った。
世界の全てが一斉に私に冷たくなって、私は死ぬしか道は残されていないと思い込んだ。
政治犯だった者達が私を気遣い、一緒に逃げようと提案してきた。なんたる皮肉かと面白くなった。
自暴自棄になり思うままに振舞った。
長かった髪をバッサリ切ったのもこの頃。
とても身体が軽くなった。
物理的にも心理的にも、身軽になったのだろう。
全ての柵を捨てた。
私は何者でもなく、何の責任も負わず、ただの一人の女性になった。
新たな生活は物理的には厳しかったけれど、心理的にはとても楽しかった。
辺境伯様はわたくしの意志を尊重しつつ、こっそりわたくしを守護して下さった。
修道服を身に纏い、髪をベールに隠し、瞳をサングラスで覆う。
辺境での隠遁暮らしはわたくしの荒れた精神をゆっくりゆっくり癒してくれた。
そんなわたくしを守護してくれた存在が、もう1人。
マックス・ロベスピエール。
彼の前でわたくしは『公爵令嬢』ではなかった。
『国の外交官』でもなかった。
『ロックハートの知恵者』でもなかった。
『フェアリー商会の会頭』でもなかった。
そして勿論『次期王妃』でもなかった。
彼の前でわたくしは、いつだって等身大の只の“グレース”だった。
それがとても、途轍もなく、心地良かった。
彼はいつでもわたくしを気遣ってくれた。
いつだってわたくしの意見を優先してくれた。
いつも、わたくしを熱の篭った瞳で見つめてくれた。
わたくしに愛を告げ、心を寄せて、甘やかしてくれた。
わたくしを守ると。
例えわたくしが彼を愛せなくとも、自分の気持ちは変わらないと。
だから
長く時間はかかったけど
彼の愛を、受け入れた。
わたくしは公式には『死人』だから、彼と結婚する事も、日頃傍に居る事も叶わなかった。
彼の今際の際に立ち会う事さえ、叶わなかった。
それでも
だからこそ
二人きりで過ごせる時間を大切にしてきた。
彼がわたくしを愛してくれた事、忘れたりしない。
わたくしも彼を全身全霊で愛していた。
あの赤い髪も、たくましい腕も。
朗らかな笑い声も、優しいキスも。
全部、覚えてる。
今でも、愛している。
ただ一つ、心残りがあるとすれば。
わたくしたちの子どもを授からなかった事。
孤児院の子ども達を沢山育てて、皆この国の未来の為に羽ばたいて行ったけれど。
わたくしの、彼の生きた証がちゃんと残せなかったのが気掛かりで。
だから
誰か、わたくしの気持ちを理解する、誰か。
出来れば、同じ転生者に。
あの、リリアーヌ・アーバンに、わたくしの秘密迄話したのかもしれない。
全てを受け継ぐ者として。
彼女は学者だという父親同様、わたくしたちの話を文献として残してくれるだろう。
それはいずれ誰かの目に触れ、わたくしたちの存在は語り継がれていく。子から孫へ。そのまた孫へ。
でも、まぁ、
『転生』と『乙女ゲーム』は割愛されるかもねwww
【The END】
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ここまでお読み下さり、誠に誠にありがとうございます!
伏して御礼申し上げますm(_ _)m
若きロベスピエールがグレースの指輪を手にフォーサイス公爵に“彼女の遺志は俺が継ぎます”と対決する所とか、フォーサイス公爵視点とかを何処にも入れられなかったのがプチ後悔です。
ジョン主体にしちゃったからなぁ。
思いの外、彼に肩入れしてしまった。最初のプロットでは獄中死だったのに。『まさか』生き延びるとは。
(´>ω∂`)テヘペロ
グレースパッパは娘大切だけど、いずれ王族になる娘なので自分は臣下として接してました。グレースパッパにはリリーさんが初恋で棚ぼた式に結婚したのでレオン王太子にちょっとだけ後ろめたく思ってた、とか。お話の流れ的に削除案件でした。
この話で一番書きたかったのが、主要人物皆が『まさかこんな事になるとは』と思う所。
それぞれ違う思いの『まさか』でしたが(特にジョン)どうだったでしょうか。
途中、HOTランクインも教えて頂きまして、私自身も『まさか』という思いを味わいました。www
心臓バクバクですよ(*º ロ º *)!!
次点は転生者同士のオタク話の咲かせ方です。
転生した先でベルばらの話が出来たらサイコーかも、とwww
まぁ、完結が一番の目標なので書き上げられて概ね満足です。
あと一話、オマケをお楽しみ下さいませ
お時間頂けましたら幸いです
m(*_ _)m
2021,06,16(追記)
温かいお言葉に励まされ調子に乗り、番外編も書きました。
『フォーサイス公爵の走馬灯』(全5話)
『ジョン、という人』(全1話)
そして外伝『真か偽か』(全1話)
『乙女ゲーム“この恋をアナタと”の真実』(全2話)←蛇足回
合わせてお楽しみ頂けたら幸いです
m(_ _)m
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